第19期ありがとうファンド半期運用報告(2022年8月末~2023年2月末)
さて、ありがとうファンドは2月末に第19期中間決算を迎えました。今月のありがとうブログでは簡単に半年間の振り返りをさせていただければと思います。報告期間は前期期末の2022年8月末から2023年2月末までの6ヶ月間になります。また、これから全国6ヶ所で開催する半期運用報告会では本ブログで解説させていただく内容に加えて、足元の投資環境の整理・今後の運用方針などまで広げて話したいと考えておりますので、是非ご参加いただけますと幸いです。
下図の上段はいつも月次レポートで載せている騰落率の図になります。2月末時点の6ヶ月騰落率を比較してみますと、当ファンドは+1.0%と世界株の+1.2%に対してややアンダーパフォームする結果になりました。なお、当ファンドは特定の指数に連動する運用方針ではありませんが、パフォーマンスの説明という観点から、月次レポート、運用報告会の資料等では、世界株式指数と日本株式指数を合わせて開示しております。
さて、騰落率はあくまでも点と点の比較だけで、全体像が把握しにくいので、下段の線と面グラフで過去6ヶ月の推移を見てみましょう。赤の実線が当ファンドの推移を表しており、ミドリの点線が世界株、グレーの面グラフは皆さんがニュースなどで良く聞く身近な日本株の推移を表しております。また、比較しやすいよう、2022年8月末時点を1とした推移になっております。当ファンドは期中を通しておおむね世界株式市場と同様の動きで推移した点がご確認いただけると思います。
出所:ファクトセット等より、ありがとう投信作成
※「年率複利」は、過去の実績値であって将来の成績を保証するものではなく、またお客様ごとの購入時期によって運用結果は異なります。「年率複利」と「標準偏差」については、過去10年間の月末時点基準価額データを基に弊社にて計算しております。設定来騰落率については、ありがとうファンド設定日の 2004 年 9 月 1 日からの騰落率になります。参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。(レポート最終ページに注記があります。)
リターンの話をしたのでリスクの話もさせて下さい。当ファンドでは短期の景況感に左右されにくく、あくまでも中長期的な企業利益の成長確度が高いグロース株に厳選投資していることから、株価の変動率は比較的低位に抑えられる傾向がありました。しかし、近年こういったグロース銘柄は人気が高い分、株価が上昇しすぎる傾向があり、昨年からの金利上昇によるバリュエーション調整相場では相対的にボラティリティの高い銘柄群になりやすいことから、当ファンド全体のボラティリティも足元上昇しております。米国をはじめ主要国の利上げはいつまでも続くわけではございませんので、パフォーマンスもボラティリティも次第に落ち着きをみせてくると考えております。
【長期的なリスク水準も比較的低位に抑える】
(過去250営業日リスクの設定来からの推移)
出所:ファクトセット等より、ありがとう投信作成
ありがとうファンドは世界の幅広い国・地域に分散投資しておりますので、各国・地域別の株価推移も見てみましょう。期中後半にかけて欧州株式市場の上昇勢いが際立っていますね。これは39クッキング【ドイツ人はジャーマンポテトを知らない...?】でも述べたように、欧州地域では記録的な暖冬になったため、暖房などで使われるエネルギー需要が減り、従前にリスクと意識されていたエネルギー危機には陥らないだろうとの楽観的な観測が増え、過度な景気後退懸念が和らいだ点が欧州株式相場を支えるかたちになりました。また、欧州株式市場には中国のゼロコロナ政策転換による中国経済再開の恩恵を受ける銘柄も多くあり、欧州株式市場のリバウンドを加速させました。具体的には、当ファンドの投資例として以前紹介したルイ・ヴィトンなどのラグジュアリーブランドを有するLVMH(フランス)の株価が大きく上昇しました。暖冬でエネルギー問題はなんとかソフトランディングして、同時期に爆買い中国人復活で盛り上がったイメージでございます。
【マーケットのおさらい】
(現地通貨ベース)
出所:ファクトセット等より、ありがとう投信作成
【欧州天然ガス価格は暖冬による需要低下で下落】
(天然ガスオランダTTFと欧州株の推移)
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。欧州株価(ユーロ建て)は2019年末を100として指数化、3月7日までの日次推移
それ以外の国・地域については、前期の流れを引き継ぐかたちで主要国の利上げ動向に右往左往させられる展開が続きました。ただし、急速な利上げを進めてきた米国などではインフレのピークアウトが期待されたり、一方ではいやいやまだまだこれからという観測や高止まり懸念もあり、インフレ動向に関するgood news やbad newsに一喜一憂する展開が続き、期中を通してボックス圏で推移しました。
次に、為替の推移も見てみましょう。対ドルで比較的up downの大きな期になりました。前期までの一方的な円安進行トレンドから一転、昨年11月頃から米国のインフレのピークアウト期待が強くなるとドルが売られ、円高基調になりました。また、12月20日に日銀が事実上の利上げを決定した際も円高に振れ、米国のインフレ動向だけではなく、日銀の金融政策変更や日銀次期総裁人事動向にも右往左往させられるようになりました。為替は輸入物価や住宅ローンなど、外国資産に直接投資をしていない幅広い層の家計にも影響を与えるので、早く安定してほしいものです。
【ドル円とユーロ円のおさらい】
出所:ファクトセット等より、ありがとう投信作成
当ファンドの基準価額は日本円で算出されますので、円ベースでのマーケット推移も見ておきましょう。先ほどの現地通貨ベースの図を円ベースに換算すると以下のような推移になります。米ドル建て資産が為替要因でも低迷したため、ユーロ建てでの欧州株の堅調さがいっそう際立つかたちになりました。
【マーケットのおさらい】
(円ベース)
出所:ファクトセット等より、ありがとう投信作成
次に、あくまでも概算値になりますが、それぞれの投資先ファンドの寄与度を下記のスライドでまとめてみました。基本的には計算期間の組入比率の高いファンドほど当ファンドの基準価額への寄与度が高くなる傾向にあります。
当期は堅調だった欧州株式市場の追い風を受けて、アリアンツ・ヨーロッパ・エクイティ・グロース・セレクトファンドとアリアンツ・ユーロランド・エクイティ・グロースファンドがアウトパフォームし、ありがとうファンドの基準価額上昇に大きく貢献しました。ただし、欧州ではウクライナ戦争が長期化していることから、来冬以降のエネルギー危機再来などの可能性を鑑みて、アリアンツ・ユーロランド・エクイティ・グロースファンドを当半期中に全売却しました。
一方マイナス寄与としては、ABアメリカングロースファンドとアバディーンEM小型株式ファンドが相対的に出遅れる形になりました。
【投資先ファンド寄与度】
(概算値)
【投資先ファンドのパフォーマンス】
(2023年2月末時点)
出所:各種投資先運用会社データ、ファクトセットより、ありがとう投信作成
各国・地域市場ごとに投資先ファンドのパフォーマンスを確認してみましょう。また、厳選投資銘柄の紹介リンクもつけておきました。長期投資の銘柄選定の根幹には、単純に株を買うという行為ではなく、企業に投資するという長期的な視点が常に必要だと考えています。つまり、投資した企業が、自分で長期的に成長することが大前提ということです。時代のメガトレンドに乗ったピカピカな成長企業から、成熟して低成長になった事業中心の経営から新たな成長事業に挑戦する老舗企業など、投資例の成長ストーリー紹介を通して当ファンドの投資哲学を実感いただけたらと考えておりますので、ご一読いただけますと幸いです。
【日本株式市場】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価・指数は2022年8月末を1として指数化、2023年2月末までの推移。外貨建ての株価・指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース
▼投資例
【米国株式市場】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価・指数は2022年8月末を1として指数化、2023年2月末までの推移。外貨建ての株価・指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース
▼投資例
倉庫型店舗で爆買いしようぜ!:BJ's Wholesale Club
稼ぐスマートメーターでスマートシティでございます♪:Itron
半導体組立装置からミニLEDまで任せて39!:Kulicke & Soffa Industries
医療費削減にも貢献しますから!:Health Catalyst
垂直統合型の廃棄物処理サービスで活躍!:Casella Waste Systems
デジタル時代のカギ管理屋さん:CyberArk Software
【欧州株式市場】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価・指数は2022年8月末を1として指数化、2023年2月末までの推移。外貨建ての株価・指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース
▼投資例
パワー半導体はワガハイの心臓ナリ:Infineon Technologies
建設業のデジタライゼーションを支える縁の下の力持ち:Nemetschek
糖尿病領域の課題に全力で向き合う成長企業:Novo Nordisk
不動産取引のオンライン化だけではもう食べていけない?:Scout24
【新興国株式市場】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価・指数は2022年8月末を1として指数化、2023年2月末までの推移。外貨建ての株価・指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース
▼投資例
証明書があると安心?:Centre Testing International
火鍋屋もナメたらアカン:Xiabuxiabu Catering Management
【世界株式市場&金ETF】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価・指数は2022年8月末を1として指数化、2023年2月末までの推移。外貨建ての株価・指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース
▼投資例
泳いでよし!眺めてよし!株価もよし!:Pool Corporation
宝くじで資産運用?:International Game Technology
最後に・・・
前期からの急速な利上げやウクライナ戦争、インフレの長期化懸念など、マクロ環境的には当ファンドが厳選投資している成長企業に対して向かい風の状況が続いております。今年はインフレ動向だけではなく、急速な利上げによる実体経済への影響も懸念されており、ニュースのトップラインだけ見ていると毎日不安になりますが、当ファンドが投資している成長企業の中長期的な成長ストーリー自体は大きくは変わっていないと考えておりますので、あくまでも世界の成長企業に投資をしているという点を忘れずに長期投資をご継続いただけますと幸いです。
以上、簡単ではございますが第19期半期運用報告とさせていただきます。
39!
ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。
◆株価指数について:記載されている各国・地域市場の指数は特別注記が無い場合は以下の指数を使用しています。
【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)
【世界株】→FactSet Market Indices World 配当込み(税引き前配当再投資)
【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)
【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)
【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)
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