高性能断熱材&外壁材のグローバルリーダー:Kingspan(アイルランド)
2021年07月19日(月)
突然ですが私は子供の保育園の送り迎えを担当しております。片道歩いて15分ぐらいの距離を雨の日も晴れの日もベビーカーを押して子連れ狼スタイルで送迎しております。田舎なので送迎の通り道にたくさんの家が建っており、戦後のバラック的な家から~最近建てられた家まで様々な種類の家がございます。そういった家の外壁を見ていると昭和感たっぷりのレンガみたいなやつとか、サビたトタンもあれば、モダンな木目調の硬そうな外壁まで様々あり、注意してみてみると意外に興味深い世界でございます。梅雨が明けて厳しい暑さが続いておりますので、トタンの家なんかに住んでいたら溶けてなくなりそうな気がしてゾッとしますが受益者の皆様方に置かれましてはいかがお過ごしでしょうか?ということで前置きが長くなりましたが、今月の厳選投資銘柄は高性能断熱材&外壁材のグローバルリーダーであるKingspan(アイルランド)に注目してみましょう。
さて早速ですが同社の事業内容のイメージをザックリ把握しましょう。下記の図では同社の事業セグメントを売上高構成割合と共に示しております。『断熱パネル事業』が売上全体の64%を占めており、次に大きな割合を占めている『断熱ボード事業』の構成割合が17%なので、両方合わせて断熱材関連製品が同社の売上の8割を超えております。残り2割の売上は昼光照明、換気システムなどを手掛ける『光&空気事業』など、断熱材同様建物に関連する事業から成っております。また実際に同社の製品・サービスが提供されている建物の種類別では、大半が商業&産業施設で68%を占めており、住居が18%、残り14%がオフィス&データーセンターになっております。
出所:会社資料より、抜粋
下記のグラフでは時系列で売上高と利益率の推移を示してみました。売上全体が成長しながら、利益率も改善している様なので理想的な成長を遂げているようです。もちろん足元では新型コロナウイルスによる影響もあるので売上高が2019年対比でやや減少しておりますが、同社製品の主要な原材料である鋼材やポリウレタンなどがウッドショック同様コロナ禍で高騰しているにもかかわらず、利益率が改善できている点は原材料価格上昇分を販売価格に転嫁できる価格決定力の強さを裏付けているようにも見受けられますので、むしろポジティブな気がしますね~
【売上高と利益率の推移】
【主要5事業別利益率の推移】
出所:会社資料等より、ありがとう投信作成。利益率は無形固定資産の償却費や本業関連以外の費用を除く営業利益を参照
次に、同社主力の断熱パネルの優位性について深堀してみましょう。下記の図では熱伝導率(λ値)を同社製品と一般的に普及している断熱パネルと比較してみました。熱伝導率(λ値)は同じ厚さの断熱材を比較して熱の伝わりやすさを示す値のことで、その数値が小さいほど、熱が伝わりにくいことを表します。赤枠で囲んだものが同社の製品で、熱伝導率を低位に抑えられていることから同社製品の性能の高さが確認いただけると思います。高い断熱効果を有する同社製品を使うことにより、外壁自体の厚さも薄くすることが可能になり、これにより断熱機能だけではなく、設置費用の節約、使用できる床面積の拡大、自然光の有効活用などお財布にも地球にも優しい特典がたくさん付いてくるようです。
【熱伝導率(λ値)の比較】
出所:会社資料より、ありがとう投信作成
上記のλ値(ラムダ値)だと普通の人間は理解できないと思うので、同社がまとめているお得効果満載ページを参考にして有能さを確認してみましょう。ここでは100,000㎡の施設を例にしております。大体東京ドーム2個分の広さのようです。まず断熱パネルが薄くて済むので断熱パネルシステム自体のコストが25%節約できます。もちろん単価は通常の断熱パネルより高いので、会社の利益面では問題ないでしょう。導入時の設置費用も20%削減できて、付属品も20~30%削減できるみたいですね。薄くて済むので運搬用のトラックも297台分節約できてエコフレンドリーな感じです。導入期間も12%節約でき、60分の耐火性能も込みで、なんと今なら最大40年の保証付き!そして、このブログを見てから39分以内の電話注文でなんと半額!最後は冗談ですが、皆ハッピーな仕様になっているようです。
【キングの断熱パネルは伊達じゃない!】
出所:会社資料より、抜粋
こういった同社のエコフレンドリーな製品は二酸化炭素排出量の多い建設業界において関心が高まってきているようです。同社調べによりますと、建築物の建設と運用が世界のエネルギー使用量の36%を占めており、また建設はエネルギー関連の 39% (前段階の発電を含む) に相当する CO2 を排出し、世界の埋め立てゴミの約 30%に相当する廃棄物を出しているとされています。同社の国別売上構成割合の大きなヨーロッパ圏は元々環境に配慮する姿勢が強い地域ではありましたが、以前のブログで紹介した様にコロナ禍で合意された次世代EU復興基金ではさらに踏み込んで『環境に優しい経済への移行』を後押しする形になっており、同社の製品はこういった大きなメガトレンドの追い風に乗ってさらなる成長が見込まれそうです。また、国別売上構成2位の米国においてもバイデン政権誕生により同様の機運が高まっておりますのでこのメガトレンドは世界的な潮流になっております。
【国別の売上構成割合】
出所:ファクトセットより、抜粋
結果にコミットします的動画です
【Kingspan Planet Passionate】
環境問題は世界の問題
同社は世界でサービスを提供できる拠点を有しており
成長ストーリーは続く・・・
出所:会社資料より、抜粋
最後になりますが、参考までに株価を見て終わりにしましょう。Kingspanにまったく関係ございませんが、昔通っていた学校の近くに『キングオブキングス』という焼肉食べ放題のお店がございました。Kingspanのリサーチをしている際にキングつながりで思い出したのでググってみたところ潰れていました・・・。諸行無常の響きでございます。長期投資的にはメガトレンドに乗って最悪のケースでも潰れなさそうな会社に投資したいものですね~。いや~それにしても暑い!我が家も最先端の断熱材導入してとりあえずエアコンの電気代でも節約してみましょうかしら・・・
【長期の株価推移】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価と指数は1989年8月2日を1として指数化、2021年7月18日までの推移。外貨建ての株価と指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース
【Kingsmanではございません!】
39!
ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。
◆株価指数について:記載されている各国・地域市場の指数は特別注記が無い場合は以下の指数を使用しています。
【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)
【世界株】→FactSet Market Indices World 配当込み(税引き前配当再投資)
【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)
【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)
【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)
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