泳いでよし!眺めてよし!株価もよし!:Pool Corporation(米国)
2021年03月15日(月)
さて、今月の厳選投資銘柄紹介はアリアンツ・グローバル・エクイティ・グロースファンドで保有しているスイミングプール関連製品の卸売販売を主な事業としている米国企業Pool Corporationに注目してみたいと思います。日本にいるとプール付きの家なんて滅多に見ないし、『プールを売ってる会社が儲かってるとは到底思えないわ!』と思われがちですが、米国の環境はちょっと違うみたいですね。下記図で上場来の株価推移を見るだけでも、プールに対しての認識が変わってくるかもしれません。
【長期株価推移】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価と指数は1995年10月13日を1として指数化、2021年2月末までの推移。外貨建ての株価と指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース
まず下図で同社の売上構成を見てみましょう。米国のプール関連販売が86%と売上の大部分を占めておりますので、本日は米国を中心にお話させていただきます。他にはヨーロッパとオーストラリアにも一定のプレゼンスを有しております。また、プール以外の売上としては、芝生手入れ用機器などの灌漑関連製品&景観製品販売が売上全体の8 %程度を占めていますが、同社によるとこの分野では米国3位の規模を有しているそうです。
出所:会社資料より、抜粋
まず、同社の強みを話す前に、プール業界全体の動向を確認してみましょう。受益者の皆様方はどんな時にプールに入りたくなるでしょうか?暑い日とか乾燥した日などでしょう。ロシアのプーチンさんみたいに氷点下で冷水沐浴される戦闘力の高い方は非常に稀で、アメ人は暑くてドライな日需要が高めです(ブログ最後の方)。よって、下図でもお分かりいただけるように、比較的暖かくて、乾燥した年の業績は上振れる傾向があるようです。
【短期的な業績変動要因:天候】
出所:会社資料より、抜粋
販売拠点の数を見ても、比較的温暖な気候のカリフォルニア、アリゾナ、テキサス、フロリダがけた違いに多くなっていますね。
【同社販売拠点の分布】
出所:会社資料より、抜粋
上述した様に、季節や天候に左右されやすいビジネス環境になっておりますが、経営上問題ないのでしょうか?心配になりますよね~。下図では同社の売上構成をもう少し異なった視点で表しています。青色が米国のプールメンテナンスに係る消耗品から成る売上を表しており、直近では売上全体の約半分を占めています。確かにこういった消耗品も天候に一定程度影響されると思いますが、メンテナンスを怠ると泳ぎたいときに泳げなくなるので、継続的に必要なサービスになります。また、2つの円グラフで金融危機時と比較していますが、同時期と比べて売上全体をただ単純に拡大しただけではなく、製品ラインナップのポートフォリオをより柔軟な内容に変えている点が確認できると思います。オレンジの部分は新しいプール設置による売上高を表しています。プールは『スーパーでおやつ買ってくるわ!』とはレベルの異なる価格帯の製品です。もちろんたくさんプールを設置してくれるような景況感の良い時なら超追い風が吹きますが、人生向かい風も少なからずあり、景気が悪くなるとプール設置どころじゃなくなるので、同社ではなるべく新規のプール設置売上に頼らなくても全体として健全で持続的な成長ができるよう、製品ラインナップをよりリカーリング型の構成にシフトしてきました。
出所:会社資料より、抜粋
下図内の下のグラフでは地中に設置される新規プール設置数を表しています。金融危機の際に大きく減少している点が確認できると思います。やはり新規設置数自体はかなり景況感に左右されるようですね。金融危機以降は金融緩和による低金利環境も追い風になり徐々に戻ってきていますね。ただし作業員の確保もボトルネックになっているようで、いきなりドーンと増える感じではないようです。一方、上の方の図では設置済みのストックベースでのプール数を表しています。金融危機以前に大量に設置されたプールも設置から10年を超えてきて、部品交換、修理やアップグレードなどの需要はストックベースで継続的にあるようです。ここが同社の強みですね。
出所:会社資料より、抜粋
次に、長期的な市場環境も見てみましょう。下図では、住宅販売数とその平均価値について表しています。販売数自体は足元やや不安定な推移が見られますが、平均価値については上昇傾向が継続しております。住宅の付加価値をあげる典型的な要素としてプールや庭にあるバーベキューするコンロみたいな設備があります。私もアメリカ在住の際に、知り合いのカネ持ちの家に呼ばれ、庭のプールを前に寿司を握ったことがありますが、あちらのカネ持ちは桁違いです。そもそも給与体系が日本とは根本から異なりますし、以前ブログでも述べたように、ちゃんとカネを運用しているので、カネ持ちがさらにカネ持ちになる仕組みが出来上がっています。そういう賢い奴がプールとピザ窯みたいにカッコいいバーベキューセットを爆買いしてくれます。デフレマインドmaxの日本とは異なり、楽しい国ですね~。
出所:会社資料より、抜粋
下図では2040年までに人口が州ごとにどのように増減するかを表しています。暖かいところに住みたくなっちゃいますよね~。特にカネ持ちの引退されたシニアの方はこういった温暖な地域に移住されるのではないでしょうか。ということで、上述したプール需要増の動向ともマッチしてきますね~。家の価値を向上させるカネ余り状態も継続しており、さらには長期的な人口動態の追い風もあるということで、プール業界なかなか熱いようです。健康志向のプール需要なんてのもありますしね。
出所:会社資料より、抜粋
さて、業界全体感は何となく把握されたと思います。次に同社の強みを見ていきましょう。下図の円グラフでは米国プール事業のさらに細かい製品別の売上構成を表しています。プールのタイル売ってみたり、温水用ヒーターやポンプ売ってみたり、クリーナーや化学薬品売ってみたりとプール設置・維持するには多くの二ッチな設備・消耗品が必要になります。
出所:会社資料より、抜粋
そこで同社の役割はその数多くの製品を扱う多くのサプライヤーの窓口になって、顧客がワンストップで購入できるよう調整役をしているイメージです。2200以上から成るサプライヤーが提供する20万近くあるニッチな製品を12万の顧客へ卸しています。さらに、稼いだカネを積極的にM&Aに活用し、自社ブランドの製品も増やしてさらなる利益率向上をしたたかに狙います。
出所:会社資料より、抜粋
プール業界のニッチな世界を見てみましょう!
タイル1つとってもたくさんあります。
出所:会社資料より、抜粋
ハードスケープとの組み合わせを考えると・・・
もっとたくさんのパターンが・・・
カネ持ちはカスタマイズ好きなので・・・
出所:会社資料より、抜粋
消耗品の化学薬品もこんなにアリマス・・・
自社ブランドです・・・
出所:会社資料より、抜粋
プール買ったら、BBQセットどうですか?
そんなクロスセル対応も取りこぼしなく・・・
カッコいいキッチンもデザインしてくれます・・・
出所:会社資料より、抜粋
そんなの、アマゾンみたいにe-コマースをうまく使ってサプライヤー達が直販しちゃえばいいじゃんと思われるかもしれませんが、市場があまりにも二ッチなのと、アマゾンで『最新の鬼滅の刃23巻オーダーします!』とかいうレベルとは異なり、プール関連の部品は特殊なものが多く異次元の大きさなので、同社の物流インフラが参入障壁をさらに高めているようです。
出所:会社資料より、抜粋
2020年10月にはS&P500構成銘柄にも採用されました♪
かたいっすね~
ROIC39%すごいですね~
リアル39ですね~
出所:会社資料より、抜粋
コロナ渦では、
巣籠プール需要と、上述した天候の追い風もあり、
業績は絶好調!
【売上高と営業利益率の推移】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成
もちろん株価も絶好調!
【コロナ禍での株価推移】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価と指数は2019年12月末を1として指数化、2021年2月末までの推移。外貨建ての株価と指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース
最後に、私史上最強のプールを紹介させてください。最強と言えば・・・やっぱり南大東島で出会った海軍棒プールじゃ~ないでしょうか。まず設置の仕方ですが、とってもシンプルです。上等な岩場をダイナマイトで吹っ飛ばしてくり抜き、プールの形にしてdoneです。満潮時には泳げなかったり、人間以外の利用者も多数訪れるなど、少し気になる点はありますが、ランニングコストはほぼゼロということなのでシリコンバレーで開発されたAirdogもびっくりのコスト効率性を実現しております。まさに、売上の60%以上をメンテナンスなどのリカーリングで稼ぐPool Corporation殺しの究極プールですね。コロナが収束したら是非泳ぎに行ってみてください!
【以下、以前のブログから転載】
岩場をくりぬいたプールです。
潮位が高いと海に沈んじゃいますので、絶妙なタイミングでの到着でした!
プールに残された熱帯魚やエビなども観察できて心もrefresh!
1892年に旧海軍の軍艦がこの島を探検し、
測量の基準として建てた標柱から海軍棒と呼ばれているそうです。
断崖絶壁の島で泳げる数少ない貴重な場所です。
39!
ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。
◆株価指数について:記載されている各国・地域市場の指数は特別注記が無い場合は以下の指数を使用しています。
【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)
【世界株】→FactSet Market Indices World 配当込み(税引き前配当再投資)
【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)
【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)
【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)
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