サカナを食べるとGDPがよくなる?
『サカナさかなサカナ~サカナをたべると~アタマあたまアタマ~アタマがよくなる~♪』
『サカナさかなサカナ~サカナをたべると~カラダからだカラダ~カラダにいいのさ~♬』
最近子供が『おさかな天国』を口ずさむようになりました。先日まで彼の中で『海』が流行りだったようなので、次のステップでunder the sea を深堀しているのかもしれません。『サカナさかなサカナ~♬』と毎日保育園の送迎中に聞いていると、気づいたら自分も口ずさんでいました。とてもaddictedな歌です。脳みそ内では常にサンマが泳いでおります。ということで、今月のありがとうトピックスではサカナ推しで攻めてみたいと思います。
【♪おさかな天国♪】
ずいぶん前になりますが、新聞をサクッと流し読みしていた際、ある広告が目に留まりました。『日本経済よ、魚を食べろ。』といったメッセージで、下記図も一緒に掲載されていました。図をみると、偶然かもしれませんが、魚介類の年間消費量とGDPのランキングにはそれなりの関係がありそうな感じでした。この広告を見てから、子供の発達にも良いかなと思い、サバの味噌煮を作ってみたり、掴み食べ練習のためにシャケフレークで細巻を巻いてあげたりと色々工夫して魚を食べさせるようにしました。ところが、先日とあるレポートを見ていると、この広告について言及されており、広告にあるように『魚介類消費量減→GDPランキング低下』の順番ではなく、『GDPランキング低下→魚介類消費量減』ではないかと主張されていました。簡単に言うと、家計が貧乏になり、魚の価格が高すぎて、昔ほど魚を消費できていないという事だと思います。なるほど、確かにそういう考え方もできるな~と感心した次第でございます。
【日本の1人当たり魚介年間消費量と日本の1人当たりGDPランキング】
出所:農林水産省、IMF より、ありがとう投信作成
特に今の季節サンマが旬だと思いますが、ここ数年この時期になると、肌感覚で毎年サンマ高いな~と感じることが多く、買い渋ることが増えてきました。実際下記図で、サンマ価格の推移をみると、シーズナリティで山谷あるにしても、中長期で価格の上昇している点が確認いただけると思います。サンマ高騰の背景としては様々理由があると思いますが、サンマに限らず基本的に価格変動のメカニズムは、需要と供給です。例えば需要面では、中国や台湾の需要増などが考えられます。同地域における日本食ブームなども追い風になり、消費量が増えているようです。LVMH解説ブログの後半で言及した様に、比較的日本と食文化の近いアジアの中間所得層増加などがこういった需要増の背景にあるかもしれませんね。ヴィトンレベルのラグジュアリーセグメントになるとは考えにくいですが、世の中何が起こるかわかりません・・・また、以前五島列島の福江島を訪れた際、その昔サンマは食用だけでなく、肥料としても重宝されたと聞いたので、そういう需要も世界的には未だあるのかもしれません。一方、供給面で考えられるのは最近の気候変動による影響が考えられます。海水温度の上昇により、獲れる魚種も変わってきたとニュースで良く聞くようになりました。冷水を好むと言われているサンマも北の海に留まっているのかもしれませんね。
【サンマ100gの価格推移】
(全国平均)
出所:総務省統計局の小売物価統計調査より、ありがとう投信作成
サンマの例で何となくサカナ市場の値上がりについては、イメージいただけたと思いますが、今度はサカナを買う側の家計のお財布事情についても確認してみましょう。『送料も値上げだと?』の最後で述べたように、日本の給与水準はサンマ価格の様に上昇基調ではなく、過去30年程度あまり変わっていません。むしろ個人の平均給与という点では、減少しているケースの方の方が多いのではないでしょうか。今回の衆議院選挙でも格差是正が一つの大きなテーマとなりましたが、少子高齢化が本格的に加速する日本では、社会保障のコストも上がり続けて、ただでさえ給与が上がらないのに、現役世代の手取りはもっと細っています。一方、金融資産を多く保有するいわゆる『カネ持ち』はどんどん『カネ持ち』になっていきます。
【日本企業の給与・設備投資・利益の推移】
日本企業は困ったら利益を貯め込む体質
→給与増など期待できない
出所:『カネを眺めて100年人生』より、抜粋
【平均給与の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)】
出所:厚生労働省より、ありがとう投信作成
そういったカネ持ち達にキャピタルゲイン増税をすることにより、財源を増やし、格差是正に役立てようと直近の総裁選で岸田総理は主張されていましたが、衆議院選挙が始まるとすぐに当面の間撤回ということで、結局何も変わりません。さらに選挙の人気取りのために、現金給付のバラマキに前向きなんてことになっています。現金給付は過去の例をみるに、結局銀行預金に行きつき、資金需要の乏しい日本国内では将来の成長のための貸し出しも増えないので悪循環が続き、経済はさらに停滞していきます。先行き不透明感が漂い続ける日本では、ありがたく頂いた現金給付を高騰するサカナ購入に回すとは考えられませんからね。
一番の問題は、今回の衆議院選挙で注目されたこれら格差是正をはじめとする国内の様々な課題は私がさんざん過去のブログで言及してきたように、いきなり湧いた問題ではなく、既にずいぶん前からわかっている問題だという点です。わかっていながらも、変えられない、口だけで変える気が無い、選挙の時だけ短期で『やってる感』を出す。この意思決定の構造的な問題を解決しない限り、長期的な日本経済の改善は無理だと思います。
さて、受益者の皆様はこれら長期的な課題についていかがお考えでしょうか?私は最近子供の夜泣き対応で睡眠不足が続いておりますので、ハッキリと物事考えられませんが、サカナをたくさん食べてクリアな思考を取り戻したいと思います・・・サカナを食べるとアタマもカラダも最強になって生産性39倍になりますが、おカネ無くて買えないじゃ話になりません・・・じゃ、生きるための釣りにでも行きますかね・・・
【サカナ系の39クッキング】
こうやって並べてみると、結構魚介類レシピやってましたね~♪
【リアルおさかな天国】
▼夏休みにどうですか?お子さんも大喜び!お魚天国ジョン万ビーチ
最後に、以前私が見た『サケの遡上』で終わらせてください。
スーパーで切り身だけ見ていると忘れがちですが、
一生懸命に命を繋いでいるサケに感謝して、御命頂きましょう!
【サケの遡上】
北海道ウヨロ川にて
39!
ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
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【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)
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【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)
【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)
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