バイデン次期大統領は地球に優しいおじさん?
さて今月は米国大統領選も終わり、一応バイデン氏が勝利しましたが、なかなか決まらないのでヤキモキされた方も多かったと思います。議会は上院が共和党、下院が民主党とねじれ議会になる見通しなので、バイデン次期大統領の選挙公約を実現するにはなかなかハードルの高いスタートになりそうです。そのため市場ではトランプ政権から大きく市場環境は変わらないのではということで、適温相場が続くと考える方が多く、新型ゴルディロックス相場なんて言葉も聞かれます。
そんなねじれ議会で苦労しそうなバイデン次期大統領ですが、大統領の権限で決められるパリ協定への復帰などは早々に実行するだろうとのことで、環境問題についてはトランプ政権とは異なるスタンスのようです。今月の39クッキングで食品ロスについて触れて、環境問題に対して意識高い系状態になっているので、今月の39トピックスでは地球に優しそうなお話をさせて下さい。
前月の39トピックスではGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)+Microsoftの5社だけで東証一部全体の時価総額合計を超えて、コロナ禍でさらに米国の巨大ハイテク企業にお金が集まるという構図が続いているという話をしましたが、足元ではバイデン政権誕生を織り込んでか環境関連銘柄も負けていないようです。下図では、太陽光発電や風力発電などのクリーン・エナジー関連の銘柄を世界中から集めたETFの株価推移を米国の主要指数と比較してみました。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数と比べてみても、堅調な株価推移が確認いただけると思います。
【年初来パフォーマンス比較】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。すべて米ドル建てで、2020年11月27日までの日次推移。
また、売上高の国別割合を見てみると、足元では米国が高めですが、中国、ブラジルなど新興国の割合も上位にランクインしています。環境問題については、米国など先進国のみならず世界的な意識が高まっているのでしょう。
【上記クリーン・エナジーETF構成銘柄の国別売上高割合】
出所:ファクトセットより、抜粋
クリーン・エナジーへの関心が高まってきている一例としては、今年の9月には、米国のカリフォルニア州知事がガソリン車の新車販売を2035年までに禁止する旨の知事令を発表したことなどが挙げられます。これは2035年までに同州内で販売する全ての新車(乗用車およびトラック)をゼロ・エミッション車両とすることを義務付ける内容になっています。ガソリン車の販売禁止については、中国や英国政府なども同様の方針を発表しており、ニュースでも報道が増えてきたので、受益者の皆様も環境問題意に対して意識高い系になってきているのではないでしょうか?
こういった禁止令や規制は温室効果ガス削減を目指しており、結果的に化石燃料の需要を減らすことになりますので、代替的なエネルギー源としてクリーン・エナジーが注目されているという構図ですね。下図の様に、石油メジャーの一員であるエクソンモービルと株価を比べてみても、株式市場の関心が化石燃料からクリーン・エナジーへと移っているように思われます。また、今年の8末で、ダウ工業株30種平均の構成銘柄からエクソンモービルが除外されたことも、時代の変化を象徴したかのようなイベントでしたね。
【エクソンモービルは8末でダウ構成銘柄から除外された】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。すべて米ドル建てで、2020年11月27日までの日次推移。
以前米国大統領選について言及したブログのラストで紹介した映画『Vice』の中、米国人の多くがGlobal Warming(地球温暖化)という言葉に対して問題意識を持っているがClimate Change(気候変動)に変えるとそうでもないといったシーンで、言葉遣いを変えて環境問題から世論を遠ざけるような描写があったと記憶しております。当時はジョージ・W・ブッシュ政権ですから、確かにといった感じでした。バイデン政権がもうすぐ開始することと思いますが、環境問題への対策も今までの流行っては廃れてのブーム的なものではなく、政権の変化にかかわらず持続的な問題意識として定着する事を願うばかりでございます・・・。
ご参考までに・・・
【映画『バイス』予告編】
ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
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【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)
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