カネ持ちがどんどんカネ持ちになる世界
さて、コロナ禍も1年が過ぎました。思い起こせば、数か月おきに緊急事態宣言を出してみたり、一方経済も回さんといかんということでGo Toキャンペーンやってみたり、これだけでもカオス度maxなのに、オリンピック開催に向けて政治家の周りは忖度してみたりと、場当たり的な対応が目立った1年でもありました。投資も基本的には同じことで、何らかの予期せぬ事象が発生した際は短期的に混乱するものです。しかし、世界株式市場はなんだかんだ言って1年以上経った今完全に落ち着きを取り戻してきました。『予期せぬ事態』は文字通り予期できないので、短期的なタイミングを見計らうのではなく、何のための投資なのか、自身の長期的なゴールを見据え、許容できるリスクを取り続けるのが一番の近道なのだろうなとつくづく実感しております。
と、坊主の説教みたいにかしこまった話はこのくらいにして、今回はコロナ禍におけるカネ持ちの話をしてみましょう。カネ持ちにもいろんな種類があります。例えば最近の話題からサンプルをとってみると、14兆円近く資産を持って離婚される世界最大のソフトウェア企業の創設者とか、紀州のドンなんちゃらとか幸せかどうかは別としても、カネ持ちという点では共通していると思います。こういう方々はまず全資産を現金のままで寝かせておくことはないと思うので、少なからず金融資産を持っていると思います。大抵の金融資産は不労所得のソースなので、ニューノーマルな働き方やテレワークも関係なしに金融資産の価値が上がれば、結果として富が増えます。最近米国では社会の分断が深刻化しているとニュースでやっていますが、根本的な原因は金融資産を持てる者と持てない者で所得格差が広がっているだけだと私は考えています。『ロビンフッド現象』と言われるようにコロナ禍にて給付金片手に投資を始めた方も多いと思いますが、カネ持ちはず~~っと前から金融資産を持っているのでその差を簡単には埋めることはできないでしょう。
【ロビンフッドの商品別口座数の推移】
出所:Robintrackより、ありがとう投信作成。口座数と株価は2018年7月1日を基準に指数化し 2020 年 8 月18日までの推移
決してこの傾向はコロナ禍だから起こった現象ではなく、たぶん人間が農業を始めたくらいから変わっていないと思います。それだと実感がわかないので、1980年代以降からのグローバル化の流れをみても、長期的な傾向である事が分かり、たぶん今後も人間がいる限り続くと思います。下記の『象グラフ』のグループCの方々はコロナ禍でも絶好調でしょう。詳しい説明は過去のブログ『グローバル化の勝者と敗者:なぜトランプ大統領が支持されるのか?』をご参照下さい。
【通称『象グラフ』】
出所:The World Bank, November 2012, "Global income inequality by the numbers : in history and now"
http://documents.worldbank.org/curated/en/959251468176687085/pdf/wps6259.pdf
金融資産の保有割合はお国柄も影響するようです。下図では日本と米国の家計の金融資産推移を表していますが、解説するまでもありませんね。そもそも比較すること自体が間違いな気が最近してきました。詳しい説明は過去のブログ『カネを眺めて100年人生』をご参照下さい。
【日本の家計の金融資産推移と現預金割合】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成
【米国の家計の金融資産推移と現預金割合】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成
コロナ禍で各国政府は湯水のようにカネを使いました。プレゼンの上手なアメ人は独立記念日である7月4日を『ウイルスからの独立日』にするとワクチンの接種を加速させており、コロナ後の議論もできるようになっているみたいです。使ったカネは返すのが当たり前で、混乱が終われば、どうやって回収して財政を健全化させるかを議論するのは当然のことでしょう。半沢直樹なら倍ぐらいで返せと言うはずです。バイデン政権は財源の一部に富裕層の増税を掲げていますが、日本でも同様の話は出てくるはずです。とりあえず今は全集中のオリンピック開催で財政健全化の議論は時期尚早なんて感じで逃げているのでしょうが、いつまでも避けて通れる問題ではないはずです。
少なくともカネ持ちの所得税負担の方が低いなんて現状、納得できないですからね。でも、私の経験上多分少しくらいは是正されることになるとは思いますが、冒頭申し上げたように結局『カネ持ちがどんどんカネ持ちになる世界』はニューノーマルでも変わらないと思います。財源は日銀様の錬金術に頼り続けることになるのでしょう・・・持続可能かどうかはわかりませんが・・・
出所:財務省より、抜粋
39!
ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。
◆株価指数について:記載されている各国・地域市場の指数は特別注記が無い場合は以下の指数を使用しています。
【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)
【世界株】→FactSet Market Indices World 配当込み(税引き前配当再投資)
【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)
【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)
【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)
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