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グリーンフレーション

2022年04月08日(金)

グリーンフレーション

最近テレビや新聞でSDGsESGという言葉をよく見かけるようになりました。街中を歩いていてもカラフルなSDGsのバッジを付けている背広のオッサン達が増殖傾向です。子や孫の世代まで長期目線で持続可能な社会を実現するためにアクションを起こすこと自体は素晴らしいことだと思いますし、必要なことでしょう。しかし、例えばグリーンフレーション(Green &Inflation) という造語が示すように、SDGsの1つのゴールである気候変動対応(グリーン経済への移行)の促進が物価上昇インフレーション)を引き起こす現象であったらいかがでしょうか?きれいごとだけではなく、痛みを伴う構造的変化に対して多くの人々の関心・行動を継続させるのは並大抵のことではないでしょう。今月のありがとうトピックスでは、足元の物価動向のおさらいからグリーンフレーションによる中長期的な物価上昇について簡単に考えてみたいと思います。

 

足元の物価動向は世界的に上昇傾向

【日米欧の消費者物価指数】

1.jpg

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成

 

 

最初にコロナ禍における物価動向のおさらいからはじめましょう!コロナ禍も3年目に突入しました。コロナ禍のはじめの段階では主要国・地域の中央銀行による大規模な金融緩和により、世界経済は下支えされました。しかしそれは同時に超低金利バラマキというさらなるカネ余りの副作用を生み、足元では物価上昇が加速しております。さらに、ロックダウンで戸建て志向が強まったことなどから木材価格が上昇したウッドショックや、供給面においてもサプライチェーンの混乱による物価上昇も見られましたね。

 

さらに追い打ちをかけるように足元ではロシアのウクライナ侵攻により、原油や天然ガスなどのエネルギー資源から、小麦や電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池の重量な材料であるニッケルなど幅広いコモディティ価格の高騰が目立っております。最近私も毎週ガソリンスタンドでガソリンの価格を見るのが嫌になってきました・・・。特に欧州ではグリーンで再生可能なエネルギーの全面適用に至るまで、石油や石炭よりは環境にやさしいとされている天然ガスが中期的なつなぎエネルギーとして注目されていた背景があり、近年天然ガスの需要が急増していて価格は既に高い水準にありました。そんな状況下で、欧州での天然ガス供給の大部分を占めているロシアがウクライナへ侵攻したので、価格はさらに上昇し、ロシアに頼っていた欧州諸国としてはさんざんな状況でしょう。エネルギーのグリーン化を目指すと、本来は長期的に化石燃料の需要は下がり価格も下がると考えられますが、世の中的にはその逆で需要も、価格も上がっているといった具合です。

 

【原油と天然ガス価格の推移】

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【国際商品指数の推移】

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出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成

 

 

このようにコロナ禍の後遺症から戦争までインフレ要素満載の現状ですが、米国などの主要国では利上げ等による金融引き締め姿勢によりなんとかインフレを抑え込もうとしております。しかし、残念ながらグリーンフレーションは中長期的に続く構造的な変化に起因するものなので、今後もインフレ圧力が継続する可能性は高いと考えます。下図のNGFS(気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク)の資料では、欧州と南米において炭素税や排出量取引制度などに代表されるカーボンプライシング導入による気候変動対策が今後どの程度物価上昇に影響するかをシナリオ別に試算しています。早期の気候変動対応で円滑に2050年脱炭素を実現するシナリオでは、2030年にかけて現状維持シナリオと比べ大体1%から2%程度継続的に物価上昇が上振れる点が示されております。また、この傾向は図中の欧州と南米に留まらず米国・日本にも共通の現象と考えられているようです。

 

【NGFSの気候シナリオにおけるインフレ率への影響試算】

欧州、南米(%)

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出所:NGFS『中央銀行および監督当局向けNGFS気候シナリオ』より、一部抜粋。Delayed transition=遅延する移行シナリオ、 Current policies=現状維持、 Net Zero 2050=ネットゼロ2050シナリオ

 

 

化石燃料を主としたシステムから、再生可能エネルギーをベースとしたエネルギーシステムへ急激に変更を強いられるわけですから、変化に対応するための設備投資や時間を含めた移行コストは企業のマージン悪化につながります。以前紹介したテスラのRegulatory credits取引のケースではテスラはウハウハですが、テスラからcreditsを買う必要のある自動車メーカーからしたら大変な出費になりましたよね。こういったコスト増は企業努力で耐えられる限度を超えると消費者へ価格転嫁されるので、企業だけでなく家計への影響もじわじわと広がることでしょう。ただでさえ30年近くデフレ状態が続いて値上げに対して強いアレルギーを持つ日本国民にとっては、グリーンエネルギー導入を手放しで歓迎するのは難しいかもしれません。

 

化石燃料で経済は成長してきた

この流れを変えるには痛みを伴う

【エネルギー使用量の長期推移】

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世界の1次エネルギー需要の約84.3%は貯蔵・運用が容易な化学エネルギー(化石燃料)

水力・風力・太陽光・バイオマスはまだまだ少数派

再生可能エネルギーへのシフトには様々なコストがかかる

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製造業、運輸業、住居&オフィス・商業施設のエネルギー使用に起因するところが大きい

【セクター別のGHG排出構成】

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上述してきたようにグリーンフレーションは中長期的に物価上昇圧力を強める傾向があると考えますが、それに合わせるペースで我々労働者の給与も上昇するのでしょうか?また、年金受給世代についてもインフレ並みに増加されない年金で人生100年時代を全うできるのでしょうか?ただでさえ人口減少で経済規模の縮小が避けられない我が国の給与水準が簡単に上がるとは考えられません。むしろ社会保障料の方が上昇する傾向にあり、手取りベースでの給与が減少している人の方が多いように思われます。このように物価が上がっても給与が上がらない状況では、以前お話ししたように比較的インフレに強い金融資産を持てるカネ持ちがさらにカネ持ちになり、持てない者との格差をさらに広げていく傾向があります。SDGsの1つのゴールである気候変動を解決しようとしたら、他のゴールは逆に遠ざかり、さらに格差が広がってしまう可能性も認識すべきでしょう。もちろん難しいからあきらめるのではなくチャレンジすべきだと思いますが、険しい道のりになるのは間違いなさそうです・・・

 

【平均給与と社会保障負担率の推移】

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出所:財務省厚生労働省より、ありがとう投信作成。社会保障負担率は国民所得に占める割合であり、平均給与に占める割合ではない点にご留意ください

 

 

 

なんか暗い話になってしまいましたが、当ファンドではこういった社会の構造的変化に適応して持続的な利益成長を目指す企業を厳選し、投資しております。具体的なケースについては厳選投資銘柄紹介ブログにて解説させていただいております。下に今まで紹介した企業からいくつか選んでリンクを貼っておきますので、ご参照いただき、当ファンドが目指す長期投資の考え方を実感いただけますと幸いでございます。

 

【厳選投資銘柄紹介例】

 

 

米国企業

医療費削減にも貢献しますから!:Health Catalyst

 

ラストワンマイルを支える小さな巨人:Shyft Group

 

稼ぐスマートメーターでスマートシティでございます♪:Itron

 

 

 

欧州企業

糖尿病領域の課題に全力で向き合う成長企業:Novo Nordisk

 

建設業のデジタライゼーションを支える縁の下の力持ち:Nemetschek

 

パワー半導体はワガハイの心臓ナリ:Infineon Technologies

 

リアル令和の運び屋:DSV Panalpina

 

高性能断熱材&外壁材のグローバルリーダー:Kingspan

 

建設化学品業界のサイヤ人的存在!:SIKA

 

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39!

ありがとう投信株式会社

ファンドマネージャー 真木喬敏

 

         

 

◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。

◆株価指数について:記載されている各国・地域市場の指数は特別注記が無い場合は以下の指数を使用しています。

【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)

【世界株】→FactSet Market Indices World 配当込み(税引き前配当再投資)

【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)

【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)

【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)

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