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君たちはドルを稼げるか

2024年01月25日(木)

君たちはドルを稼げるか

先日開催された第81回ゴールデングローブ賞授賞式で映画『君たちはどう生きるか』が最優秀長編アニメーション映画賞を受賞されました。同作は北米では2023年12月8日に公開され、早速全米の週末興行収入ランキングで首位になるなど、しっかりドルを稼がれているようです。既に『ものづくり大国』ではなくなった日本にとってアニメーションは貴重な外貨収入源でございますので、これを機に日本のアニメ産業が一層盛り上がってくれるよう願うばかりです。

 

さて、以前『観光資源も有限』『デジタル赤字』などのありがとうトピックスを通して外貨を稼ぐ重要性と難しさについて述べてきましたが、表題のようにドルを稼げる日本人はいったいどれだけいるのでしょうか?

 

少し極端な例になりますが、私の知り合いの日本人で直接ドルを稼いでいる方がいるので彼の例を見てみましょう。彼は日本人の両親を持ち、日本育ちの生粋の日本人で米国の大学卒業後、そのまま米国に留まり米国IT大手企業に就職しました。彼は元々日本での生活が好きだったので、コロナ明けに上司と相談して母国である日本からリモートワークで働くことにしました。チームとの会議などは昼夜逆転してしまうので大変そうですが、給料は引き続きドル建てで振り込まれ、コロナ禍以降のドル円相場は円安一辺倒だったため日本円換算の給与が大きく増えたこともあって、多少の夜更かしは許容範囲のようです。ただでさえ標準的な日本企業のITエンジニアと比べ数倍の給を稼ぎながら、ドルベースでの昇給幅も日本企業とはけた違いという夢のような状況なのに、さらに為替要因で円換算給与が4割以上も増えたら言うことないですね。おかげで楽しい日本ライフを満喫しているようで、車もテスラの新車を現金一括で買い、新築庭付き戸建てを賃貸で借りています。それでいて独身貴族ときたものです。子育てと介護に追われる私はどこで人生の選択を間違ったのでしょうか。彼のような方はそうそう見かけないので、少数派だと信じたいものです。

 

もちろん、下図でみられるように日本企業全体としては少なからずドルを稼いでいます。ただし勤労者世帯の皆さんからしたら、自分の給料がドル円相場並みに上昇している実感はないと思いますので、日本円で給料を稼ぐ人にとって最近の円安は輸入物価上昇の悪影響の方が大きいかもしれませんね。私も人のことは言えないので...あ~なおさら直接ドルを稼ぐ知り合いが羨ましくなってきました...

 

【日本企業の地域別売上高】

上位8国

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出所:ファクトセットより、一部抜粋。2024年1月19日時点で抜粋

 

 

 

ないものねだりはこれぐらいにして、現実を直視してみましょう。日本に居住する日本人の多くは私のような日本円で給料を貰う方だと思いますので、従業員より株主や経営者を優先する企業による微々たる賃上げでごまかされつつ、逆に賃上げ以上の物価高で損しているお気持ちの方も少なくないと思います。『賃金と物価の好循環』なんて表現を見かける機会も増えましたがどこか虚しく感じる次第でございます。下図のように、名目賃金にあたる現金給与総額はコロナ禍以降上昇基調ですが、物価の影響を考慮した実質賃金は下落の一途です。これに加え、令和の五公五民である国民負担率も重くのしかかりますので、手取りも減り、消費を手控える方も増えてきたようです。図を見れば見るほど、ドルを稼いでいたらと悔やまれます。

 

【現金給与・実質賃金とドル円の推移】

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出所:厚生労働省、ファクトセットより、ありがとう投信作成

 

 

 

さらに言うと、我が国では『賃金と物価の好循環』とはほぼ無関係の方々も多くいます。例えば公的年金受給者などです。彼らが受け取る公的年金はマクロ経済スライドの発動で物価の伸びよりも抑えられる可能性が高く、人口に占める割合も大きいので、国内消費に対する悪影響は避けられないでしょう。

 

【公的年金受給者数の推移と人口に占める割合】

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出所:厚生労働省、総務省、世界銀行より、ありがとう投信作成。公的年金受給者数は厚生年金保険(第1号)と基礎年金(同一の年金種別)を併給している者の重複分を控除した場合の受給者数

 

 

 

もう少し深堀すると...公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の実に44%が年金のみの所得になっており...こういった層にとっては『賃金と物価の好循環』は本当に異次元のおとぎ話のように見えるはずです。ドルを稼ぐなんて発想すら湧いてこないでしょう。

 

公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の 総所得に占める割合別世帯数の構成割合

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出所:厚生労働省『2022年国民生活基礎調査』より、一部抜粋

 

 

 

ドンドン暗い話になってきましたね...それではドルを稼ぐためにはどうすればよいのでしょうか。時間とカネが有り余るほどある方なら留学して今流行のリカレント教育・リスキリングなんてのもアリかもしれません。一念発起し寿司職人養成学校に通い、海外で寿司職人になり年収アップを狙うのもアリかもしれません。私は高校卒業後に板前として社会人デビューしたので、機会さえあれば海外勤務の寿司職人にチャレンジしてみたいという気持ちはありますが、体力に限界を感じてきているのと介護を必要としている父がいるのでもう無理でしょう...と、いずれの場合でも気力・体力・時間・カネが必要になりそうなので、既に諦めモードでございます。

 

『あきらめたらそこで試合終了ですよ...?』とスラムダンクの安西大先生もおっしゃっておりますので、もう少し粘ってみましょう。私のような個人の視点ではなく、もう少し大きな視点からドルの稼ぎ方を考えてみましょう。例えば下図の経常収支を参考にすると、近年の日本は東日本大震災後の火力発電への依存に伴う燃料費の増加により貿易収支の赤字傾向が継続しており、加えてデジタル赤字に代表されるようにサービス収支も赤字が継続しています。と、またお先真っ暗な話が続くのかなと思いきや、これら貿易収支とサービス収支の赤字分を補って余りある所得収支により、結果的に日本の経常収支は黒字をキープできています。

 

どうやらこの所得収支にドルを稼ぐヒントがありそうですね。早速、所得収支の大部分を占める第一次所得収支の内訳を見てみましょう。パッと目にとまるのが『直接投資収益』ですね。これは親会社と海外子会社との間の配当金・利子等の受取・支払を表しています。さらに『直接投資収益』の半分程度は『再投資収益』になっており、これは現地法人が稼いだ利益の内、ドルのまま現地に滞留し、現地法人で再投資されるものになります。

 

一方、もう一つの大きな構成要素である『証券投資収益』は株式配当金および債券利子の受取・支払を表しており、そのほとんどが債券利子から成る収益になっており、これもドルのまま再投資される可能性が高いと考えられます。さしずめ貿易収支が『輸出する力』なら、第一次所得収支は『外で稼ぐ力』といったところでしょう。

 

よって、稼ぎ頭である所得収支の半分以上を構成する『再投資収益』『証券投資収益』がドル(外貨)のまま再投資されている現状を鑑みると、我々個人レベルでもその流れに従うのが利口な気がします。もちろん個人では日本の大企業が行っているように、海外に子会社や拠点を作り運営する能力は無いので、国際分散投資でドル資産を持ち、ドル資産にドルを稼いでもらいましょうという具合に着地するわけです。

 

さらに上記のプロセスに従うと、構造的に円安圧力が増します。ドル資産への投資において、円ベースで生活している普通の日本人にとって円安はダイレクトに追い風なので、単純に成長性の高い海外市場でドルを稼ぐという点だけでなく、円安による恩恵も受けやすくなります。日本円の給料を少しでもコツコツ積み立ててドル資産に投資していけば、日本円のみの所得だけでなくドルでの所得も得ることができ、所得の分散にもなりますね。

 

黒字を構成する第一次所得収支の多くは日本に戻ってこない

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出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成

 

 

 

『輸出する稼ぎ方』から『外に投資して稼ぐ構造』へシフト

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出所:経済産業省より、ありがとう投信作成

 

 

 

少し営業トーク的になって恐縮ですが、日本円でしか給料を貰えない普通の日本人が所得の国際分散を図るのは合理的ではないでしょうか。もちろんドル建て外国資産が暴落するリスクもありますが、『米国がくしゃみをすると、日本は風邪をひく』と言われるように、日米の経済規模の差を考慮すれば、米国経済が破綻して、日本経済が影響を受けないシナリオは考えにくいし、逆に日本経済が破綻しても、米国経済への影響は壊滅的ではないと考えます。ただでさえ地震などの自然災害が多い日本では、不労所得&外国資産を持つメリットは大きいでしょう。

 

当ファンドの構成についても触れさせてください。当ファンドでは昨年から中国株を削減する一環として新興国株ファンドを一部売却し、日本株ファンドを買い増したため、現在日本株の保有割合が7%と大きくなっております。それでも日本株以外はドル建てを中心とした外国株・金(ゴールド)ETFに国際・資産分散投資しておりますので、上述したドルを稼げる構成になっていると考えております。

 

足元では日本の金融資産の6割超を60歳以上の方々が保有しているそうなので、そういった背景を鑑みると上述してきたような外国証券投資が一番現実的かつ効果的なドルの稼ぎ方だと考えておりますが、もう少し長い目で考えた場合、次の世代には冒頭紹介した知人のように直接ドルを稼げる人材が増えるべきだと思います。はたして現在の教育システムはそういった人材育成に対応できているのでしょうか?これは私がこれから子育てをする上で最も大きなテーマになりそうです。小説『君たちはどう生きるか』に出てくる叔父さんのように、子供たちに適切なアドバイスができればいいのですが...

 

さてさて、長い長いお話も、ひとまずこれで終わりです。そこで、最後に、みなさんにおたずねしたいと思います。

 

君たちは、ドルを稼げるか。

 

(おわり)

    

39!

ありがとう投信株式会社

ファンドマネージャー 真木喬敏

 

         

 

◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。

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【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)

【世界株】→FactSet Market Indices World 配当込み(税引き前配当再投資)

【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)

【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)

【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)

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