ありがとうの本棚(今月の一冊『君たちはどう生きるか』)
君たちはどう生きるか (岩波文庫) 文庫 - 1982/11/16
吉野 源三郎 (著)
今月のご紹介させていただく本は、今年、宮崎駿監督の同タイトルの映画が話題となった一冊です。
本書は軍国主義の時勢に抗してヒューマニズムを子供達に伝えるために刊行された「日本少国民文庫」全16巻の1冊で、道徳的な内容がテーマになっていますが、コペル君という主人公の物語にしているため非常に読みやすく、かえって道徳的なことが心に響きます。
主人公であるコペル君が、叔父さんや友達、学校での出来事、そしてニュートンやナポレオンなどの偉人の生き方を通して様々な学びを得て、生き方について考え、精神的に成長していく物語です。コペル君の日常に起きる様々な出来事が、正義や貧富の差、裏切りと後悔、経済構造など物事を考えるきっかけになっています。
コペル君の叔父さんは「こうしなさい。ああしなさい、こうあるべきだ」と言うのではなく、何事も常にコペル君に考えさせ、自分で答えを出させ、行動するように導いていきます。
読んでいる間、「自分だったらどうするだろう」とつい考えてしまう内容ばかりで、読み終わった後、すっきりした爽快な気持ちと、なにかとても大切なことを得たような気持ちになります。
ヒューマニズムを子供達に伝えるために書かれた本書ですが、日々の生活に流されてしまっている大人にも是非読んでほしい一冊です。
関連記事
| 39コラムTOPへもどる |