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人は城、人は石垣...じゃないかも?|ありがとうブログ|国際分散投資ならありがとう投信

人は城、人は石垣...じゃないかも?

2023年05月15日(月)

人は城、人は石垣...じゃないかも?

『人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり』は戦国時代に圧倒的な戦闘力を誇った武田信玄の言葉と言われております。『立派なお城を築くよりも、国を支えるのは人だから人を大切にしようぜ』という教訓だと理解しております。現代の企業経営の場にも教科書的な格言としてたびたび登場します。面と向かって、『いや、城と石垣の方がすげーから』と言う日本人はあまりいないので、お館様の精神を受け継いだ日本企業はさぞ人を大切にしてきたことでしょう。(本当かな

 

一方で海の向こうの米国では、大手テック企業による大規模な人員削減発表が連日のように報道されています。こういったニュースを見ていると米国ハイテク企業も終わったなという印象を受けますが、コロナ禍のお祭りの後始末をしている水準だと思います。『SVB破綻のLessonでも述べたように、コロナ禍のロックダウンなどによって起こった特需によりテック企業は潤いました。下記図を見ていただくとお分かりいただけるように、大手テック企業は特需に応えるために急激に人員を増員していました。レイオフ報道だけを見ていると、人を人と思わないくらいの勢いで人員削減している悪い奴らのイメージですが、ある意味、需要動向の変化に早急に対応できるこれら米国のテック企業を日本企業も見習うべきなのかもしれません。

 

米国在住の私の知り合いの方でもレイオフされた方はいますが、元々優秀な方でしたので、すぐに他の同様の仕事に就くことができました。さすが米国、雇用の流動性の高さを感じますね~。一方、日本では正社員を解雇すること自体かなりハードルが高く、大企業では仕事が無くても長く務めている正社員を抱える構造が残っています。また、長く務めた正社員側としても、終身雇用体制を前提に社内で通用するスキルを身に着けてきた背景から、転職して社外で自分のスキルが使えるかわからないので、必死にしがみつく傾向にあります。特にバブル崩壊後などはその傾向がなおさら顕著だったと思います。戦国時代が終わって、戦いが無くなったら屈強な兵士はもういりません。もちろん堅固な城もいりません。重要な教訓は、世の中が必要としている変化に対応できるように備えておくという点だと思います。本当に人を大切にするのであれば、最近流行りのリスキリングなどを通して、人材スキルもupdateしていく必要があるのでしょう。

 

それにしても年収ハンパないですね~

物価の差を考慮してもね・・・

【コロナ禍における米主要テック企業の人員増員数・削減数・年収中央値】

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出所:会社資料、年収中央値は2020年の平均ドル円レートで円換算

 

アクセンチュアもコロナ禍で従業員増員してましたよね~

【コロナ禍前後の雇用者数の推移】

(米国)

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出所:米労務省、ファクトセットより、ありがとう投信作成

 

 

上述したように、米テック企業はコストマネジメントの観点から、早々にレイオフに踏み切りました。テック企業では経費全体に占める人件費の割合が他の業種より高い傾向があるので、経営側としては当然の対応でしょう。最近ではテック企業に限らず、レイオフの波が米国全体に波及しつつあります。例えば、米国のマクドナルドが米国内のオフィスを一時的に閉鎖し、強制的に在宅勤務させ、その間に対象者にメールでレイオフ通知を計画しているなんて報道もありました。ツイッターのイーロン・マスク並みにエグイですね~。下記図では米国企業の人員削減数を月次ベースで表してみました。足元6ヶ月平均で7万人/月ほどの人員削減水準になっています。テクノロジーセクターはその4割近くを占めており、今後景気後退による需要低迷が経済全体に浸透した場合、遅れて他のセクターの人員削減が増えると考えられます。

 

【米国企業の人員削減数】

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出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成

 

 

今後も米国のレイオフ報道は続きそうですね。日本は他人事でいられるのでしょうか。日本については、以前『日本の将来について考えてみる』で述べたように、労働人口が減り、高齢者が増える構図から人手不足が継続すると考えられるので、仕事を選ばなければ中長期的に問題ないかもしれません。もう少し深堀して、ホワイトカラーに的を絞ってみましょう。現在の日本では労働人口の半分ほどがホワイトカラーと言われております。世の中はテクノロジーの進化で取引のスピード自体が速くなっているので、少ない労働人口で経済を回していく上で、生産性向上に必要なDX化はmustになっています。よって、DXに対応し、推移できる人材の育成・リスキリングが求められています。そんな中日本の立ち位置は、下記図のデジタル競争力ランキングで確認できるように足元63カ国中29位という水準で、人材では50位、デジタル・技術スキルに至ってはほぼ最下位の62位にハードランディングしております。DX人材を育成できる大学などはまだまだ少ないですし、社内のリスキリングにも時間がかかります。このように教える側の体制が整っていない点が日本のデジタル化、IT化、DX推進など様々な過程で周回遅れを続けてきた根本的な原因のように思えます。これらの点を鑑みると、日本のテック企業単体で急速なDX推進は難しいので、結局は米国を中心としたテック企業やITコンサル企業のサービスを使うことになるでしょう。システムは海外企業が作り、日本はただの販売拠点になり、日本企業は海外テック企業に利益貢献し続ける忠実なサムライ集団のイメージですね。

 

【デジタル競争力ランキング】

(日本)

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出所:経済産業省「デジタル時代の人材教育に関する検討会」、IMD 『World Digital Competitiveness Ranking 2022』 より、ありがとう投信作成

 

 

『帳簿も申告もDIY!:Intuit(米国)で触れたように、DX推進により一番影響を受けるのはホワイトカラーの業務内容であり、単にシステムを使うだけの仕事は淘汰されると考えられます。よって、中長期的に多くのホワイトカラー層がリストラされることになるでしょう。その場合、そういった人材は今までとは異なる仕事で生計を立てる必要が出てきます。少子高齢化がこれから加速する環境下で、需要が強く、多くの労働供給が求められる職種は介護サービスなど労働集約的な仕事になるでしょう。リモートワークで働けて、給与も高く、付加価値が高い米国テック企業の業務内容と比べ、労働集約的な仕事は生産性が低くなる傾向がみられます。成長産業を粛々と育ててきた米国とは異なりますね。

 

【介護職員数の推移】

(日本)

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【介護職員の必要数について】

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出所:厚生労働省より、一部抜粋

 

【従業員1人当たりの労働生産性と給与】

(2012年度)

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出所:総務省経済センサスより、ありがとう投信作成

 

【有効求人倍数と失業率】

(日本)

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出所:厚生労働省、総務省より、ありがとう投信作成

 

 

労働集約的な仕事は新興国の方々に来てもらって・・・という発想は下図の相対賃金を見てもわかるように期待できません。最近議論されている『異次元の少子化対策』でカネをばらまいて万一子供が増えて、高等教育無償化で立派なホワイトカラー人材に育てたとしても、労働集約型の就職先が多いようだと、相対的に人口の多い高齢者を相対的に少ない人口かつ低い給与水準の子供達で支えることは難しく、社会保障制度を維持すること自体困難になると考えられますね。

 

【アジア諸国と日本の相対賃金】

(製造業一般工職)

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出所:日本貿易振興機構『投資関連コスト比較調査』より、ありがとう投信作成。中国・韓国は2021年度、それ以外は2022年度の調査を参照、日本は横浜の製造業一般工職を参照

 

 

最近マーケットを騒がせている米国テック企業を中心としたレイオフですが、なんだかんだ言って今回レイオフされた優秀な人材はまた同様の職に就き、世界中の生産性をさらに向上させるシステムを開発し続けることでしょう。一方、その素晴らしいシステムを輸入し続ける日本ではホワイトカラー層は職を失い、労働集約的な仕事へのリスキリングが求められるかもしれません。このように対岸の火事は巡り巡って日本人のリストラに繋がるのかもしれませんね。もしAIに管理されて働く時代が来たら、お館様はさぞ悲しむことでしょう。AI相手に情けも仇も関係ないですからね~

 

『むむむ』10.jpg

 

『風林火山』

世の中の流れを見極めて行動しましょう

かな?

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39!

ありがとう投信株式会社

ファンドマネージャー 真木喬敏

         

 

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