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神オムツにありがとう

2022年06月20日(月)

神オムツにありがとう

先日児童館でママ友と話していた際、衝撃的な事実が明らかになりました。どうやら一番近所の保育園では『布オムツ』を指定しているとのことでした。この令和時代に使い捨ての紙オムツではなく、布オムツ指定なんて、何かの間違いだろうとあまりにもショックが大きすぎて、その後のママ友の話が全く頭に入ってきませんでした。ちょうど子供を預けようと考えていた保育園だったのでショックはなおさらです。ダブルチェックの為、その後その保育園に問い合わせたところ、布オムツ指定は事実で、その理由を聞いてみると、布オムツの方が排泄後の不快感が強く、いわゆるオムツ外しがスムーズに行われるとのことでした。なるほど、布オムツにもメリットがあるんだなあ~と感心させられた次第でございます。さらに保育園の先生情報によると、布オムツを指定している園は他にも多くあるようで、特段珍しいことではないそうです。世の中的には紙オムツが当たり前でシェア99%位だと信じ切っていた私としては、まさに青天の霹靂的な出来事でございました。しかしながら、やっぱり紙オムツの方が便利で、処理も楽なので、育児と仕事に追われる日々を過ごす私としては紙オムツ神オムツと敬い、今まで以上に感謝し、使い続けていくことでしょう・・・

 

ということで前置きが長くなりましたが、これも何かの縁なので今月のありがとうトピックスは紙オムツ市場の周辺動向について少し深堀してみましょう。調べてみると結構面白かったので、日々育児に接点がなく、あまり関心の無い方々でも少し我慢して聞いて頂けますと幸いです。まず、下図でザックリ使い捨て紙オムツの生産枚数の推移を見てみましょう。生産枚数自体は乳幼児用の方がまだ多いようですが、少子高齢化が進む日本では乳幼児用については頭打ち感が出ており、一方大人用の紙オムツの生産枚数は着実に増加傾向にあるようです。こんなところにも人口動態の影響が見られるんですね~。それにしてもグラフの単位が億枚ですから相当な量になりますね。この枚数には輸出用の枚数も含まれているようで、必ずしも生産枚数=国内消費枚数ではないと思いますが、多くが国内で消費されていると考えられますので使用済み紙オムツによるゴミの量も半端ないことでしょう。

 

【紙オムツの生産枚数の推移】

1.jpg

出所:一般社団法人日本衛生材料工業連合会より、ありがとう投信作成

 

 

 

次に使用済み紙オムツのゴミ問題について、もう少し深堀してみたいと思います。環境省の資料で一般廃棄物に占める使用済み紙オムツの割合について言及した資料があったので、それを参考にゴミとしての紙オムツの影響を下図のようなイメージにしてみました。一般廃棄物排出量自体は今後国内の人口が減るのにあわせる形で減少する想定のようですが、ゴミ全体に占める使用済み紙オムツの割合は逆に増加すると考えられているようです。確かに言われてみると我が家のゴミ出しの際のゴミ袋で考えてみても、子供ができてからゴミ袋が一つ増えたイメージです。

 

【一般廃棄物に占める使用済み紙オムツの割合のイメージ】

2.jpg

出所:環境省『使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン説明会資料』より、イメージをありがとう投信作成、注:2030年度の一般廃棄物発生量については、①環境省「日本の廃棄物処理」からの回帰分析による推計、または②環境省「循環型社会形成推進基本計画」より、平成32年度(2020年度)に、一般廃棄物の排出量が平成12年度比で約25%減少し、その水準が2030年度まで横ばいになると仮定した。2030年度の紙おむつ排出量・処理量については、人口推計他、各種公表資料を用いて三菱総合研究所にて推計。

 

 

 

もう少しマクロな観点から、一般廃棄物の最終処分量の全体感も把握しておきましょう。下図を見る限りでは、最終処分量は年々少なくなっており、一人当たりの最終処分量も減っていることから、人口動態だけではなくリサイクルなどの効果が出てきていると考えられます。

 

【最終処分量と一人一日当たり最終処分量の推移】

3.jpg

出所:環境省より、一部抜粋

 

 

 

さらに、ゴミ処理施設のキャパについても見てみましょう。基本的には誰も自分の近所にゴミ処理場を作ってほしくないので、残余容量は縮小傾向にあります。残余年数で言うと2019年度時点で全国平均21.4年あるようなので、以前紹介した米国北東部のゴミ事情に言及しましたが、それと比べると日本全体としてはまだ余裕がある方なのかもしれません。ただし、その残余年数もここ数年頭打ち感が出ているように見えますし、最終処分場の新設には立地の確保、地域住民への説明など十数年かかるのが当たり前のようなので、安心はできない水準のようです。

 

【最終処分場の残余容量及び残余年数の推移(一般廃棄物)】

4.jpg

出所:環境省より、一部抜粋

 

 

 

日本全体ではまだ時間的猶予があるように見えるゴミ処理場の処理能力ですが、既に最終処分場の残余容量が限られてきている自治体もあるようで、比較的ゴミに占める割合の大きい使用済み紙オムツのリサイクル実証実験を始めている自治体もあるそうです。私も紙オムツのリサイクルについてはニュースで何度か見かけていたので、そういう取り組み自体は知っていましたが、その際のリアクションは『子供の使用済みオムツを・・・正気か!』と思う程度でした。今回のようにいろいろ調べてみるとリサイクルの必要性について納得ができ、結構深刻な問題だったんだな~と恥ずかしながら気づかされた次第でございます。

 

紙オムツのリサイクル事情についても簡単に触れてみたいと思います。使用前の紙オムツの主な素材はパルプで、以前紙ベース保護用資材のニッチ市場で大活躍!:Ranpak(米国)で言及したように紙素材はリサイクル優等生なので、実はリサイクルする対象として結構期待が持てそうですね。ただし、ゴミとして捨てられる使用済み紙オムツは尿などの排泄物を含み、重量も4倍近くになります。廃棄物を焼却して熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルでは、水分を多く含む使用済み紙オムツを安定的に焼却するのは難しくコストもかかります。さらにCO2も排出しちゃうので最近流行りのSDGsやESG的にもNGで、あまり効果的ではなさそうです。そうなるとリアルなリサイクルがベストなのですが、水平リサイクルされた紙オムツを店頭に並べても消費者心理的に抵抗が強く、大人用にリサイクルして高齢者施設などへの業務用の販売ぐらいしか今のところ出口がないようです。水平リサイクルからハードルを下げて再利用という形で妥協すれば、段ボールや固形燃料として使うことができ、これが一番現実的かもしれません。

 

さらにもう少し突っ込んで考えてみましょう。ゴミ問題という視点から最近流行りのSDGsやESG的に持続可能な世界の実現を目指すのであれば、紙オムツのリサイクル云々以前に布オムツに回帰するのが実はベストな気がしてきました。冒頭申し上げたように、現場ではかなり手間はかかりますが、布オムツを繰り返し使うことにより、オムツ外しも早くなりますし、ゴミも減り地球もお子さんもハッピーになるといった具合です。しかし、紙オムツで莫大な利益を上げている企業もあれば、私のように便利な紙オムツ使用に慣れきってしまい、母が苦労して子供の頃の私にしてくれたように布オムツが主流だった頃をイメージできない消費者が多くいることを鑑みると、布オムツ使用は地球的にはベストであるにせよ人間的には持続可能なソリューションではないのでしょう。

 

そもそも便利な紙オムツが普及した背景には、夫婦共働きへの変化などから家事の省力化が図られた経緯があります。家事に携わる時間が減り共働きでダブルインカムが可能になりましたが、個々の所得は横ばいもしくは減少傾向で、一方で夢のマイホームの価格は上がり続けてきました。必ずしも便利になったことが幸せには結び付いていない様ですね。よく考えるとこういう事象はほかにも思い当たります。私のような仕事でもパソコンが普及する前は方眼紙に一つ一つ点をうってグラフを書いたと聞きますし、株価もラジオでしか確認できなかったという時代もあったそうです。今ではとても便利なツールが増えて、先人達と比べると時間的に余裕ができたはずなのに、ツールが進化して効率化が進めば進むほど、より高い生産性を求められます。本当に持続可能な世界の実現を目指すのであれば、忙しい毎日を一旦リセットして効率化や生産性の追求とは別のモノサシを考え、必要であれば古き良き時代に逆戻りという選択肢も検討すべき気がしますが、そういう高尚な作業は『新しい資本主義』を考える方々に譲りたいと思います。我が家の足元の育児環境は緊急事態がしばらく続きそうなので、難しいことは考えずに便利な神オムツを使い続けたいと思います・・・それが現役世代の現場感ではないでしょうか・・・

 

【専業主婦世帯・共働き世帯の推移】

5.jpg

出所:39クッキング【ポテサラに愛はあるのか?】より、一部抜粋

 

 

【平均給与と社会保障負担率の推移】

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出所:グリーンフレーションより、一部抜粋

 

 

【非正規雇用者数と割合の推移】

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出所:借金コンクリートより、一部抜粋

 

 

忙しそうに働いていても、

国際比較で生産性は低迷?

悩ましいですね~

【日本のIMD 国際競争力ランキングの順位の推移】

8.jpg

出所:IMD World Competitivenessより、ありがとう投信作成

 

 

因みに、今年のIMD 国際競争力ランキング1位はデンマークでした♪

当ファンドでは以下のようなデンマーク銘柄に多く投資しておりますのでご参考までにです!

 

糖尿病領域の課題に全力で向き合う成長企業:Novo Nordisk

 

リアル令和の運び屋:DSV Panalpina

 

使い捨て内視鏡のパイオニア:Ambu

 

 

39!

ありがとう投信株式会社

ファンドマネージャー 真木喬敏

 

         

 

◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。

◆株価指数について:記載されている各国・地域市場の指数は特別注記が無い場合は以下の指数を使用しています。

【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)

【世界株】→FactSet Market Indices World 配当込み(税引き前配当再投資)

【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)

【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)

【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)

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