ありがとう39ランキング【テクノロジーサービスセクター:④IT関連サービス&コンサルティング(インド中心)】
2019年06月18日(火)
さて、今までのランキングでは欧米企業をメインに見てきましたが、今月はインドのIT関連サービス&コンサルティング企業を中心に見てみましょう!ナマステ~~(こんにちは~~)。
▼39位ランキングの詳細:日本企業は17位のリクルートのみランクイン・・・大丈夫か・・・。
月次運用レポートの『各投資先ファンドの組入銘柄TOP5』によく出てくる常連さんたちの名前もちらほらありますね!それにしてもマイクロソフトの時価総額87兆円はすごい・・・。日本企業で最大のトヨタ自動車の4倍以上・・・。
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成、データは2019年1月末時点で抽出できる直近データ、na、-は開示情報が無いか、ファクトセットのデータベースに無いデータ
▼インドはIT関連サービス輸出国!
その昔、日本が高度経済成長期に自動車をどかどか作って輸出して外貨を稼いだように、インドにも外貨を稼ぐ主要産業があります。ただしそれは、製造業ではなくサービス業です!そうそうIT関連サービスです!下図の輸出売上高の推移を見てもわかるように、インドのIT関連サービスのほとんどが海外向けですね。
インドのIT関連サービスの売上高推移
出所:NASSCOMより、ありがとう投信作成
具体的にはどのような国へ輸出しているのでしょうか?下の円グラフを見てお分かりいただけるように、半分以上が米国向けです。インドのエンジニアは普通に英語が話せますので、英語圏が多いイメージですね。また、米国などでは時差を利用して、米国が夜の間はインドのITチームが対応するなど地理的なメリットもあります。
インドのIT関連サービス輸出額の国別内訳
(2018年予想値)
出所:NASSCOMより、ありがとう投信作成
次にセグメント別に見てみましょう。クライアント企業のIT環境を総合的にサポートするITサービスが大半を占めており、次に企業の経理・人事など事務業務部門の一部をアウトソース先として受託するBPO(Business Process Outsourcing)が続いています。さらに最近伸びているエンジニアリングR&D等では、プロダクト関連の研究開発を効率的にサポートしています。
インドのIT関連サービス売上高の推移
(輸出分、セグメント別)
出所:NASSCOMより、ありがとう投信作成
さて、こういったIT関連サービスの原動力はエンジニアの数ですので、サクッと従業員数を比較してみましょう。下図では、今回のランキングに出てきている大手6社の従業員数を比較してみました。赤い棒グラフで示した2社については、本社こそインドにはありませんが、多くの従業員がインド拠点で働いているようです。コグニザントに至っては全体の7割近くがインドの従業員のようで、ありがとうファンドのエマージング株式担当ファンドでもエマージング株式として投資をしていたことがありました。従業員が多い企業の方が、時価総額も大きくなる傾向がみられます。
従業員数の比較
出所:ファクトセットより、2019年1月末時点で抽出したデータからありがとう投信作成。TCSはタタ・コンサルタンシー・サービシズの略
インドルピー安も欧米企業からすると魅力的なポイントの1つです。下図では、1980年からの長期的なインドルピー/米ドル相場の推移を表しています。多少山谷あれど一貫して米ドルに対してルピア安が続いている様子を確認いただけるとおもいます。インドのような新興国では給与の水準は右肩上がりに上がっていますが、それ以上に自国通貨が安くなっているので、欧米企業からすると依然安い人件費も大きなメリットの1つになります。
1米ドルあたりのインドルピー相場の推移
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成
▼個々のランクイン企業について
10位タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)
インド最大の財閥タタ・グループの一員です。自動車や、電力、製鉄などのグループ会社も有名ですよね。よっ財閥親分!
国別売上高構成
出所:ファクトセット
12位アクセンチュア
同社は世界最大規模の経営コンサルティングファームであり、様々な業界の企業へコンサルティングサービスを提供していますが、特にIT関連のコンサルティングに強いイメージがあります。もともとはBIG5と呼ばれたアーサー・アンダーセン監査法人の一部でコンサルティング業務を行っていた部門がアンダーセン・コンサルティングとしてスピンアウトしたことが始まりのようです。いろいろあって2001年1月に社名をAccenture(アクセンチュア)に変更しています。Accent on the Future(未来を強調する)の造語だそうです。未来を強調した結果IT押しになったのでしょうか。因みにアーサー・アンダーセン監査法人は2001年後半に明るみになったエンロン社の不正会計疑惑により信用が失墜して、2002年に解散へと追い込まれました。私の内部監査論の授業ではやらかし先生として使わせていただいております。エンロンについては、『ありがとう39ランキング【世界は広いよ!:時価総額比 エネルギー資源セクター編】 前編』で触れたので、そちらをご参照ください。税法とか大人の事情により本社はアイルランドにあります。
国別売上高構成
出所:ファクトセット
16位インフォシス
ありがとうファンドのエマージング株担当ファンドでも投資をしている大手インドIT企業です。インドのシリコンバレーと呼ばれているバンガロールに本拠地を構え、一万人以上を同時にトレーニングできる敷地面積にして東京ドーム26個分の宮殿のような超巨大研修施設も有しており、選び抜かれた現地の新卒達はここで数か月の間寝泊まりして研修を受けるそうです。
国別売上高構成
出所:ファクトセット
18位コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ
ありがとうファンドのエマージング株担当ファンドでも以前投資をしていた銘柄で、米国に本社あるけどほぼほぼインド企業です。私が以前働いていた米系金融機関のテクノロジー部署ではボス以外全員コグニザントからのコンサルタントでした。仕事上、いろいろとシステム関係で問い合わせをすることが多かったのですが、正社員以上に働いているのに給料は割り引かれているという感じで、かわいそうでした・・・。
国別売上高構成
出所:ファクトセット
32位ウィプロ
あまり聞きなれない会社でしたが、実は1945年創業の老舗感ハンパない大企業です。もともとWestern India Vegetable Products Limitedという名称の会社で、創業当初はピーナッツオイルなどの食料品や医薬品を製造する会社だったようです。1980年代から、IT関連サービスビジネスに参入して現在に至ります。
国別売上高構成
出所:ファクトセット
39位HCLテクノロジーズ
競合他社と比べて日本への売上高構成割合が気持ち大きい気がしました。
国別売上高構成
出所:ファクトセット
日本企業の本丸『製造業』のクライアントも厚めです
出所:会社資料より抜粋
マトメ的に営業利益率も比較してみましょう。足元低い企業でも売上高に対して15%程度と、かなり高い水準です。一方、構造的不況業種に陥っている製造業と銀行業が多い日本株式市場全体の利益率は見る影もありません。この点については以前『平成を振り返る(後編)』でまとめたので、お忘れの方はそちらをご参照ください。
営業利益率推移の比較
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成
ご参考までに、株価の推移もどうぞ。新興国が日本と同じクオリティでしかも早く『ものづくり』できる時代になっても、『ものづくり大国』と自画自賛して遠い過去の成功体験に縛られる日本企業と、世の中がこれから必要としているサービスを惜しみなく提供しているインド企業。面白いぐらい対照的に見えてきませんか?思えば、このランキング1位マイクロソフト、2位アルファベット(グーグルの親会社)、8位アドビといった今日の世界ではなくてはならないサービスを提供している企業のCEOはいずれもインド生まれのインド育ちの方々です。日本人のCEOなんていないでしょ。
株価推移の比較
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。2004年8月末の株価(円ベース)を100として指数化、月次株価の推移
さて、テクノロジーサービスセクターもおなか一杯になってきましたね。次回は、残りの中国勢、韓国勢、リクルートで〆ましょう!
私の大好きなインドのYouTuber
『Village food factory のおっちゃん』
ワイルドだね~~。
最近観たおすすめインド映画!
『きっと、うまくいく』
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ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。
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