【今、話題の法律問題シリーズ、これだけは押さえておこう!】第2回 投資にまつわる法律問題《セミナーダイジェスト後編》
2019年07月01日(月)
次に、仮想通貨に関する問題について見ていきたいと思います。
独立行政法人国民生活センターによれば、PIO-NETに寄せられた仮想通貨に関する相談件数は、2015年に440件だったものが、2018年には3205件になり7倍以上増加しています。
具体的な相談事例としては、以下のようなものがあります。
「未成年の息子が仮想通貨のマルチ商法ビジネスに入会し10万円を出資したというが怪しい。やめさせたいがどうするべきか。」
「上場後に1,000倍の価値になるという仮想通貨を友人の紹介で知り20万円を支払ったが上場しなかった。返金してほしい。」
「利用していた仮想通貨の口座が凍結されてしまった。仮想通貨交換事業者に問い合わせているが進捗がない。」
「説明会で上場前の仮想通貨を購入したが、上場どころか仮想通貨の開発もまだだった。契約書面が無いのでクーリング・オフできるか。」
「以前から仮想通貨を保有していた。海外の事業者から電話があり「無料で仮想通貨投資の助言をする。決して損はさせない」と言うので、指定された口座に仮想通貨を送信した。その後、連絡が途絶え出金できなくなった。」
仮想通貨(暗号資産)とは、インターネットを通じて不特定多数の間で物品やサービスの対価に使用でき、中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在せず専門の取引所を介して円やドルなどの法定通貨と交換できるものをいいます。仮想通貨の種類は2000種類以上あると言われています。
仮想通貨と法定通貨の違いをまとめると以下のようになります。
どちらも信用に価値があるのは変わりませんが、法定通貨は通貨を発行している国への信用が通貨の価値を担保しており、発行量は国の金融政策によってコントロールされていますが、仮想通貨の場合は、中核技術であるブロックチェーン(分散管理台帳)の信用力が価値を担保しているとされており、各仮想通貨には発行上限がプログラミングによって予め定められているところが特長です。このため、仮想通貨は需給によって価格が大きく変動することになりますので、しばしば急上昇するバブルや暴落が繰り返されることになります。
この仮想通貨の詐欺に多い手口としては、①実態のないICO(イニシャルコインオファリング)、②セミナーなどでの限定販売、③価格保証、④代理店・個人販売、⑤高配当、⑥アドバイス料の請求、⑦フィッシング詐欺、⑧エアドロップ詐欺などがあります。
セミナーなどでの限定販売については、「緊急性+限定」という一般的な詐欺でよく使われる手法を用いています。また、代理店・個人販売については、そもそも仮想通貨は仮想通貨交換業でないと取引ができないように規制されていますので、代理店や個人販売の儲け話が来たら注意してください。エアドロップ詐欺については、まずは仮想通貨を本当に無料配布して人を引き付けて、そこから詐欺を働いていくというタイプです。上手い話や無料につられて詐欺被害にあうパターンですので要注意です。
フィッシング詐欺については、仮想通貨に限らず、通常の金融機関や通販サイトを装ったものがあるので注意してください。自分が取引している金融機関やネット通販サイトから本物と同じようなメールが届いて、そのリンク先をクリックするとフィッシングサイトに遷移して、IDやパスワードを入力させるのが典型的なパターンになります。各金融機関のHPにもフィッシング詐欺の事例が掲載されていて注意を促していますので、定期的に確認されることをおすすめします。フィッシング詐欺については、対策を表示すると別の方法や文面にするなどいたちごっこの部分があります。
見分け方としては、文面やサイトデザインは本物そっくりで見分けるのは難しいのですが、メールならメールアドレスの特に@より後ろの部分(~@xxxxx.xxx.xxx)、WEBサイトならURL(https://www.~/)が本物のサイトと異なっていると思いますので必ず確認するようにしてください。そして、何かメールで案内が来てもリンクをクリックせずに、直接自分で金融機関やネット通販サイトにアクセスして確認することによってフィッシング詐欺の被害に遭わないようにすることができます。
仮想通貨詐欺への対処方法としては、①登録業者(仮想通貨交換業)から購入する!時価総額上位の銘柄を購入する。②ハイリスク・ハイリターンの原則を忘れない!投資に元本保証はあり得ない。③人の言葉を鵜呑みにしない。きちんと正確な知識を得る。分からないこと、理解できないことに投資しない。仕組みをきちんと理解することが大切です。④自己責任が原則であることを忘れない。⑤詐欺にあった場合はすぐに相談する。(国民生活センター、消費者ホットライン、警察など)などが挙げられます。
もし投資詐欺にあってしまった場合、どうなるかについて、被害の回復方法には、振込詐欺救済法、被害回復給付金制度、消費者団体訴訟制度、少額訴訟、集団訴訟などいくつか方法があります。しかしながら、被害回復の実態として、現実的に被害回復は不可能なことが多いようです。したがって、結論としては詐欺に遭わないようにするしかありません。
本日のまとめとしては、色々な情報を正確に収集することが大切で、自分が理解できないことには手を出さないことです。世の中、そんなに美味しい話はありません。友人のいうことでも、すぐに信じないようにすることです。「お金+焦らせる=詐欺!!」と思っておいてもよくて、冷静になる時間的余裕を持つことが大事です。
最後に投資は信用できる企業から、信用できる商品を購入するようにしましょう。
次回7/20の法律問題セミナーは「街に溢れる法律問題」を取り上げる予定です。お楽しみに!
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