アバディーン北米小型株ファンドと米国法人税減税について
さて、今年も夏休みシーズンがやってきました。皆様はいかがお過ごしでしょうか?夏休みについてはありがとう39ツアー【夏休みにどうですか?行ってみよう!癒されよう!うさぎ島】で十分お話させていただいたので、今月のありがとうトピックスでは先月から新規に投資を開始したアバディーン北米小型株ファンドについてふれてみたいと思います。
小型株の一番の特徴としては、そもそも小型企業をカバーしているセルサイドアナリスト(証券会社のアナリスト)が大型企業と比べて少ないため、企業情報収集などの面で大型株と比べるとかなり非効率になりがちです。その点、足を使って調査をするアクティブファンドの力が試される世界でもあります。こういった一般的な特徴については、先月の社長レターの方で説明があったと思いますので、私の方では少し違う視点から北米小型株ファンドの説明をさせていただきます。
まず米国経済について簡単に振り返ってみましょう。米国経済は皆様も御存じの通りリーマンショック後の世界経済を牽引し続けてきました。大規模な金融緩和のもと、失業率改善、所得の増加を背景に米国経済の約6割を支える個人消費を刺激できたことが今日の底堅い米国経済の原動力になっています。2016年後半にはトランプ大統領が誕生し、今までとは180度異なった政権運営を前に投資家達は一喜一憂する相場感が続いております。目下の注目点は、なんといっても中国との貿易戦争でしょう。11月の米国中間選挙でトランプ氏が支持を得るために高いハードルを突き付けているという観測もありますが、落としどころがなかなか見えてこないので長引くことでしょう。このように、今後のトランプ政権運営を予測することは基本できません。そんなトランプ政権ですが、ちゃんと有言実行していることもあります。昨年12月に可決した法人税率を35%から21%に引き下げるなどの税制改革法案です。そこで注目して頂きたい点は、米国の大型企業と小型企業どちらの方がこの減税法案から多くの恩恵を得られるかという点です。
まず図1を見てください。過去の傾向をみると米国の大型企業の方が基本的には税率が低いことが確認できると思います。その原因は諸説ありますが、主なものとしては米国の大手企業は多国籍企業であることも多く、税率の低い海外などの地域に売上・利益を移転することにより、より低い税率が適用されるよう工夫できることなどが考えられます。もう一度図1を見てください、その傾向は特に2000年の初めから顕著に表れてきているようにも見受けられます。その当時急成長していた米国のIT企業の存在、大企業のグローバル化に伴う海外進出なども関係あることでしょう。
図1:米国内で商売をしている小型企業は大手企業に比べると法人税率が高い傾向
出所:ファクトセット、米国の上場企業からREIT、税引き前利益が赤字の会社などを除きスクリーニングした後、各サイズの法人税率等の中央値を算出
図2:参考までに、2017年年初の予測値で大変恐縮ですが、これくらいの差が見込まれていました
出所:AB
一方、米国の小型企業は国内での売上げ・利益が多い分、大型企業に比べて高い法人税率であることが多く、減税が適応された際に大型企業より税引き後利益の改善幅が大きいことも理解いただけると思います。米国では6月末が中間決算期末でございますので、そういった減税の恩恵もこれからちらほら出てくることでしょう。かといって赤字の企業だったら税金の払いようがないので、減税の恩恵はちゃんと利益を上げている企業が大前提になります。その点、アバディーン北米小型株ファンドは継続して利益を出せる企業に厳選投資をしていますので、問題ないと考えております。このように減税による恩恵も考慮した上で、主な投資先が米国の大型株だけだった既存のファンドからアバディーン北米小型株ファンドへ一部スイッチングしている次第でございます。図3では、一番濃い線がアバディーン北米小型株ファンドを表しています。他の薄い線2本は米国小型市場を代表する指数の各種数値を時系列で表しています。この3つの図を見ていただくと、当戦略が収益性の高い企業を厳選していることがハッキリ確認できます。少し難しい話になりました。現在開催中のセミナーでは分かり易く解説しているつもりでございますので、ご都合つきましたらご参加ご検討いただけますと幸いです。
図3:アバディーン北米小型株ファンドは成長企業を厳選
出所:ASI
ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
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