マーケット動向・ファンド運用状況 <月次レポート2019年4月より>
<3月のマーケット動向>
3月のマーケットの動きですが、引き続き米国経済、米中貿易摩擦の動向に左右される相場になりましたが、総じて年初からの上昇基調を引き継ぐ形の1ヶ月になりました。
序盤は米中貿易交渉が最終段階にあるという報道などもあり、世界株式市場は好調なスタートで始まりました。その後やや材料出尽くしの中、OECDが2019年の世界経済見通しを下方修正したなど、世界的な景気減速懸念が意識され世界株式市場は総じて低調に推移しました。
中盤やや立て直したものの、後半には景気後退の先行指標とされる米国の10年国債利回りと3カ月国債利回りが逆転(逆イールド化)したことにより、米国株式市場はもちろん、日本株式市場も大きく下落しました。特に日本株式市場の下げ幅は大きく、前日比650円安で2019年最大の下げ幅になりました。
下記現地通貨ベースの指数推移を参照していただくと、逆イールドで景気後退が意識される中、日本株が一番大きく下げている点が確認いただけると思います。さすが世界の景気敏感株ですね。
【米ドル円、ユーロ円推移】2019年2月28日を1として指数化
※ ファクトセットよりデータを参照し、弊社にて指数化しております。
【主要株式指数推移(配当込、現地通貨ベース)】2019年2月28日を1として指数化
※ ファクトセットよりデータを参照し、弊社にて指数化しております。使用している指数についてはページ最下段の注記を確認ください。
<ありがとうファンドの運用状況>
ありがとうファンドの3月月間騰落率は0.2%の上昇となりました。月後半、米国で発生した米国10年国債利回りと3カ月国債利回りの逆イールドにより、すぐにではないにしろ過去の経験上1年から2年以内に景気後退が始まるとの観測があり、米国株の特に小型株がやや過剰に売られる局面がありました。その点、アバディーン北米小型ファンドはマイナスがありがとうファンド全体のパフォーマンスにマイナスの要因の一つになりました。逆イールドについては、だいぶ前にブログで書きましたので、こちらを参照ください→『米国経済はいつまで堅調なの?(前編)』
3月中の売買状況については、コムジェスト・ヨーロッパファンドを一部売却しました。一方、アバディーン北米小型を小型市場全体が過剰に売られたタイミングで一部買い増しました。
【値動きの大きさの推移(250営業日リスク推移)】
※値動きの大きさの推移について:設定来の日次リターンを基に過去250営業日のリスク(日次リターンの標準偏差の年率換算値)の推移を表したもの。簡単に説明すると、数値が高いほど日々の値動きの幅が大きいことを表し、逆に数値が低いほど日々の値動きの幅が小さいことを表します。ありがとうファンドは値動きの幅を低位に抑える運用を心掛けています。
【資産配分(2月末)】
【ポートフォリオ(3月末)】
※「年率複利」は、過去の実績値であって将来の成績を保証するものではなく、またお客様ごとの購入時期によって運用結果は異なります。「年率複利」と「標準偏差」については、ありがとうファンド設定来(2004年9月1日)からのデータを基に、弊社にて計算しております。参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
<今後の見通しについて>
今後の見通しについては、各種地政学リスクなど一過性のイベントはあるものの世界経済は引き続きリーマン・ショックからの回復・成長が続くと考えています。ファンダメンタルズの改善に基づいた企業利益の成長がより注視される市場になるでしょう。下図ではリーマン・ショック前からの4国・地域のEPS(1株当たり利益)の水準をまとめました。足元では、すべての国・地域で企業利益の成長が鈍化しているように見受けられます。いずれの国・地域においても固有のリスクはありますが、これから中長期の人口動態や、GDP成長率を見る限りエマージング株式市場が最も投資妙味のある地域と考えております。
出所:ファクトセットよりありがとう投信計算、EPSは2007年1月末を1として指数化し2019年3月末までの推移
<今後の運用方針について>
株式市場という観点から足元の状況を考えると、リーマン・ショック後各国・地域は量的緩和などの金融緩和で各々の経済・市場を支え世界的にカネ余りの状況が続いています。リターンを求めてやや過熱感のある市場も出てきました。このような環境下では一つの市場だけに投資することはリスクが高く、特定の市場に過度に偏ることなく幅広く分散投資することにより長期的に持続性のあるリターンを享受できると考えております。ありがとうファンドでは、世界経済の成長をグローバル市場で競争力のある企業の成長に沿った形で享受できるよう、国際分散・厳選・長期投資を継続していきます。
アクティブファンドというと上昇局面で大きく稼ぐといった様な派手なイメージが強いと思いますが、ありがとうファンドでは上昇局面で無理に上値を狙うといった運用よりは市場全体が下落する局面にて市場相対で下げ幅を抑制することにより結果的に長期で安定したパフォーマンスを提供できると考えております。その源泉としては、①実績のある投資先ファンドによる成長企業の厳選、②国・地域別資産配分の見直し・調整、③金ETFなど株式市場と相関が低い資産を組み入れることによる資産分散を主に考えております。下図はあくまでも参考までにですが、上昇局面では90%ほど市場に追従し、下落局面では下落幅を抑制した場合のバックテスト例になります。ダウンサイドリスクを抑制することにより、長期で価格変動リスクを抑えながら運用パフォーマンスを向上できたことが確認いただけると思います。
出所:ファクトセットよりありがとう投信計算、株価は1987年年初を100として指数化し2017年9月末までの推移、注:上昇・下落局面は月次騰落率ベースで判断。平均年率パフォーマンスと標準偏差についても月次ベースのデータから計算
<投資先ファンドの状況について>
月間騰落率については、先進国市場を投資対象としている投資先ファンドの好調が目立ちました。個別の投資先ファンドでは、米国株式市場を主な投資対象としているABアメリカン・グロース、ヨーロッパ株式市場を主な投資対象としている3ファンド(アリアンツ・ヨーロッパセレクト、アリアンツ・ユーロランド、コムジェスト・ヨーロッパ)、がそれぞれの国・地域参考指数(円ベース)に対し好調なパフォーマンスを実現し、ありがとうファンドの基準価額上昇に寄与しました。
また、エマージング諸国株式市場を主な投資対象としているABエマージング・ロウボラファンドや、ABエマージング・マルチファンドなどのディフェンシブな戦略のファンドも参考指数(円ベース)に対し同様のパフォーマンスを実現してくれました。
大きく見劣りしたアバディーン北米小型ファンドについては運用状況でも解説しましたが、逆イールド発生による過度な景気後退懸念が原因で大きく下げる1ヶ月になりましたが、投資している個別銘柄は優良な経営状況の会社を厳選して組み入れているため、ずーっと売られっぱなしになるとは考えておりません。
【月間騰落率】
注:参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
【年間騰落率】
注:参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
<投資先ファンドの運用パフォーマンス>
注:参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
【本文で使用している指数の注記】 騰落率は、FACTSETよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
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※各国・地域市場の指数は他に断りの無い限り以下の指数を使用しています。
【日本株】→TOPIX配当込み
【世界株】→MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックストータルリターン
【米国株】→S&P500 トータルリターン
【欧州株】→MSCI ヨーロッパ トータルリターン
【エマージング株】→MSCI エマージング トータルリターン
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