【これだけは知っておくべき法律知識】第4回ネット・消費者トラブル編<後編>
続いて、消費者を保護する法律について、宇田川先生に解説していただきました。
まず、消費者契約法では、消費者(個人)と事業者の契約がすべて対象となり、事業者に不適切な行為があった場合、契約を取り消せることになっております。
例えば、事業者が嘘を言っていたり、確実に儲かるとの断定的に話していたり、都合の悪いことを知っていて隠していたり、自宅や職場に押しかけてきて帰らなかったり、事業者から呼び出されて帰してくれなかった場合が該当するそうです。ただし、追認できるときから6カ月 または、契約の締結から5年で時効にかかってしまうので注意が必要とのことでした。
また、契約書の中で消費者の権利を不当に害する条項は無効になるそうで、例えば、事業者の損害賠償について全部免除する条項、事業者の損害賠償のうち故意重過失の責任について一部免除する条項、法外なキャンセル料を要求するもの、遅延損害金が年利14.6%を超えるもの、その他消費者の利益を一方的に害するもの、が該当するそうです。
次に、特定商品に関する法律(特商法)では、対象となる取引類型(訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務販売、業務提供誘引販売取引、訪問購入)が定められており、行政規制として、氏名などの明示の義務づけ、不当な勧誘行為の禁止(不実告知、重要事項の不告知、威迫行為)、広告規制(重要事項の明示、虚偽・誇大広告の禁止)、書面交付義務(契約締結時等に、重要事項を記載した書面を交付することを事業者に義務付けている)が課せられているそうです。
また、消費者トラブルに対する対抗策として、クーリング・オフ制度について適用される取引毎の違いや通知方法について詳しく説明していただきました。通知方法については、8日以内に必ず書面で行い、できれば内容証明郵便かつ配達証明付きが良いそうです。商品については着払いで相手に送ればよいとのことでした。ただし、ネット通販については、クーリングオフの適用はできないので注意が必要とのことでした。
最後に、昨今増加している不正送金トラブルについて解説していただきました。
インターネットバンキングを狙った不正送金はここ数年増えて被害金額も毎年約14~30億円くらいの規模で発生しておりましたが、平成28年には安全対策やセキュリティ対策を施した効果もあり若干減少しました。
不正送金の手口については当初多かったフィッシングから不正送金ウィルスに移行してきており、全体の90%以上が不正送金ウィルスになっているそうです。
もし被害に遭った場合の銀行の補償制度ですが、被害者が個人の場合は補償される場合が多いのですが、本人に過失がある場合、補償額を減額されてしまう可能性があるそうです。特に、本人に重大な過失がある場合や、親族などによって行われた不正、被害日から一定期間経過した後の被害については被害補償の対象外とされる可能性があるので注意が必要とのことでした。
一方、法人口座については、各銀行の個別判断とされていますが、補償しないとする銀行が多いそうです。
ネットバンキングの不正送金への対策については、以下の対策が考えられるとのことでした。
①通常の正規画面をよく知っていること。
②送金用のパスワード(第2パスワード)をログイン画面で入力させたり、合言葉の変更を促したり、
乱数表の全てを入力させることは有り得ないので絶対に入力しない。
③不正送金ウィルスの感染予防
⇒ウィルス対策ソフトのみならず、PCにインストールされているソフトウェアを最新に保つ。
④一日の送金限度額を設定しておく。
⑤不正送金に気付いたら、直ちに銀行に届け出る。
以上になりますが、今回のセミナーのまとめとしては、意図せずにトラブルに巻き込まれるリスクは、私たちの身の回りに常に潜んでいるので、どのような場面でトラブルが生じるかを察知し、予防するためには、どういうリスクがあるか、どういう予防策があるかの「知識」も重要になってくるとのことです。そして、万が一トラブルに巻き込まれた場合は、「早期」に「適切」な対応をする必要があるとのことでした。
今回のセミナーを通じて、ネット・消費者トラブルに関して【これだけは押さえておくべき法律知識】についてご理解いただけたなら幸いです。
弊社では39コンシェルジュサービスをお客様に提供しておりまして、ご相談内容に応じて専門家の方を無料でご紹介させて頂いております。資産運用はもちろん、税金、相続、法律問題など何かお困りのことがありましたら、まずはお気軽にご相談いただければ幸いです。
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来年もまた宇田川先生との法律セミナーを定期的に開催していく予定です!
次回セミナーもお楽しみに♪
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