「金利のある世界」でも慌てず冷静に <月次レポート2024年8月より>
2024年08月05日(月)
皆さま、いつもありがとう投信をご愛顧いただきまして誠にありがとうございます。猛暑が連日続いたり、集中豪雨で各地に被害が出ている状況ですが、いかがお過ごしでしょうか?これだけ過酷な天候が続くと体調を管理するのも大変な状況だと思いますが、くれぐれもご自愛ください。
さて、パリ五輪が開催されて連日熱戦が繰り広げられておりますが、先月のマーケットは英国総選挙やフランス国民議会選挙、米国大統領選挙動向や日米の金融政策の見通し等に大きく影響される相場展開になり株式市場は大きく上下動した1ヶ月でした。
月中には日経平均株価や米国の主要株価指数は史上最高値を更新しましたが、米国では選挙集会中に共和党のトランプ元大統領が銃撃されるというショッキングな暗殺未遂事件が起こりました。奇跡的に助かったトランプ元大統領の支持率が上昇する一方で、6月のテレビ討論会以降、支持率が低迷していた民主党のバイデン大統領が選挙戦撤退を表明し、ハリス副大統領が後継候補になる可能性が高まったことによって、米国大統領選挙の今後の行方が不透明になってきました。
また、日本では日銀が月末の金融政策決定会合で追加利上げを決定して政策金利を0.25%程度に引き上げました。FRBが9月に利下げする可能性を示唆したこともあり、為替相場は大きく上下動して、月前半の1ドル161円台から月末には1ドル150円を下回る水準まで円高が進みました。
そのような中で、ありがとうファンドは7/11に基準価額38,213円、純資産総額250億53百万円になり最高値を更新しましたが、月末にかけて大きく調整して月間で-5.7%の下落となりました。
今後の見通しですが、日米の景気動向・金融政策の見通しや11月の米国大統領選挙動向、長期化するウクライナ情勢や混迷する中東情勢、激化する米中対立などの地政学リスクに一喜一憂する展開が続きそうです。
米国の大統領選挙の動向によって、金融経済政策や移民政策、エネルギー政策などが大きく変更される可能性が高く、地政学リスクにも大きな影響を与える可能性があります。また、日銀が追加利上げと国債買入の減額を決定して、十数年続いた金融緩和から「金利のある世界」へ転換したことにより、マーケットと実体経済に与える影響は小さくないと思われます。
金利が付くことによって銀行業や預金者にはプラスになる一方で、有利子負債の多い企業や中小企業、既に変動金利で住宅ローンを借りている個人、これから住宅を購入する人にとって金利上昇は返済負担の増加につながるのでマイナスになり、消費や景気にも悪影響が出てくるでしょう。
また、為替が円高方向に振れることで、輸入物価の上昇を抑えられる一方で輸出関連企業の業績にはマイナスの影響が出てくると思われます。いずれにしても日本経済が利上げや金融引き締めに耐えられるほど実体経済が本当に強いのかの見極めが大切で日銀は今後難しい舵取りを迫られるでしょう。
「金利のある世界」になっても慌てず冷静に
日本は過去20数年にわたってデフレ経済が続いてきましたので、ここ1~2年のコストプッシュ型の物価上昇に戸惑っている人も少なくないと思います。金利も金融緩和が長らく続き、ゼロ金利、マイナス金利が常態化していました。
一方で、欧米各国はインフレ抑制のための利上げを昨年までに行って金利もピークに達しており、今後は景気後退を懸念して利下げを視野に入れている段階です。日銀が追加利上げを決定してゼロ金利を解除しましたが、タイミング的には完全に周回遅れと言わざるを得ません。実質賃金と実質消費のマイナスが継続している中での利上げは、日米金利差が縮小するので為替相場の円安是正効果は多少あったとしても、金融緩和に慣れ切った日本経済や家計にとって金融引き締めに耐えられるだけの余力があるのかには疑問が残ります。
実体経済はそれほど良くない中、株価だけは史上最高値更新して資産効果が出ていたところで、利上げショックによって株価が下がれば逆資産効果で景気に悪影響を及ぼす可能性も十分にあり得るでしょう。また、今後、米国景気が悪くなり利下げが行われていく局面になれば、日本経済や企業業績にもマイナスの影響が出て来て、日本も再び金融緩和をする必要性が出てくるかもしれません。
マーケットは「金利のある世界」になった途端に利上げショックで株式市場は大きく調整していますが、こういう局面で大切なことは慌てず冷静になることです。大きく下落すると人間の本能では反射的に怖くなって狼狽売りや損切り、利益が出ている人はマイナスにならないうちに利益確定をしようと売り急ぐ傾向がありますが、過去のショックを振り返れば、しばらくすればマーケットは落ち着きを取り戻し、行き過ぎた株価は企業のファンダメンタルズに基づいた本来価値に回帰していきますので、冷静になって様子を見て長期的な時間軸で物事を捉えることが大切です。
今回のようにマーケットに大きな動きがあった時には、改めて資産運用の目的・目標を再確認してみると良いでしょう。将来のための資産形成だったり、余裕資金の運用であれば、今すぐにお金が必要なわけではありませんので、マーケットに居続けて長期投資を継続していくことが大切です。ライフプランに基づいて積立投資や資産運用、資産活用を続けていくことで、将来振り返ってみたときにあの時止めずに続けてきて良かったと思える日が来るかもしれません。長期の資産運用では、今後も大きなショックによる下落相場やバブルによる上昇相場が幾度となく起きると思われますが、その度に右往左往したり、一喜一憂したりせずに、淡々と冷静に資産運用を継続していきましょう。
ありがとうファンドでは、今後も長期的な時間軸で運用をして短期的な相場動向に一喜一憂することなく、投資先ファンドを厳選してダウンサイドリスクを抑えながら、長期国際分散投資で世界経済の成長及び企業の利益成長の恩恵を享受し長期で安定した運用成果の提供を目指して参りますので、今後ともありがとう投信をご愛顧いただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
ありがとう投信株式会社
代表取締役社長 長谷俊介
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