不確実な時代に大切なことは<月次レポート2025年1月より>
2025年01月09日(木)
皆さま、新年あけましておめでとうございます。旧年中はご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。
本年も皆さまのご期待に添えるように、役職員一同、精進して参りますので、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
さて、昨年は、世界各国で選挙が行われた選挙イヤーでしたが、インフレや移民問題による国民不満の高まりから、欧米各国では反グローバリズム、自国優先、移民政策反対等、国益を第一に考えるナショナリズム政党が台頭しました。日本においても庶民が物価高や高い税金・社会保険料負担に苦しむ中、自公政権の緊縮財政・増税路線に対する不満が高まった結果、10月に行われた衆議院選挙では与党が過半数割れに追い込まれました。
そして、11月の米国大統領選挙では、事前の主要メディアの接戦予想に反して、共和党のトランプ氏が上下両院も制するトリプルレッドの圧勝で大統領に返り咲きを果たしました。コストプッシュインフレによる国民不満の高まりを背景に主要各国で政権与党が敗北する波乱の一年になりました。
一方、新NISAがスタートした昨年の世界株式市場は、欧米の金融政策が利下げフェーズに移行する中、生成AI関連銘柄やマグニフィセント7に代表される米国大型テック企業を中心に相場を牽引する流れとなりました。米国株市場はダウ・ナスダック・S&P500の主要三指数が史上最高値を更新し、日経平均株価も4万円の大台を突破して史上最高値を更新しました。8月には日銀の追加利上げの影響や米国景気後退懸念から為替相場が円高に大きく振れて、株式市場は短期的に急落する局面もありましたが、すぐに下落を回復し、終わってみれば米国株を中心に総じて大きく上昇した一年になりました。
為替相場は年初の1ドル141円台から7月に1ドル161円台まで円安が進み、158円台で年末を迎える変動の大きな円安に大きく振れた一年になりました。そのような中で皆さまのありがとうファンドは国際分散投資を継続して、金(ゴールド)にも分散投資することでリスクを抑制しながら、世界株式市場の上昇の恩恵を受けて、年間で+24%上昇して一年を終えることができました。
今年の世界経済は、米国トランプ次期政権の「アメリカファースト」の政策が本格的に実行されていくことになります。不法移民問題の解決や貿易相手国に対する関税強化、また減税政策の実施による経済成長が期待されており、米国企業の収益にプラスの影響を与えることが予想されています。さらに、長期化するウクライナ問題の早期停戦と復興、混迷しているイスラエル中東問題の解決などの地政学リスクへの対応でトランプ大統領の手腕が期待されています。
一方、日本においては、今年は選挙の年で政治動向への注目がさらに高まりそうです。政治に対する国民の不満が高まっている現在の状況下では、7月の東京都議会選挙、参議院選挙の結果次第では、日本の政治にも大きな変化が起きる可能性も少なくないと考えられます。
また、日銀の追加利上げ見通しについて、今後の消費者物価の推移と賃上げ水準に注目が集まっていますが、海外で収益を上げるグローバル大企業はともかく、国内の中小零細企業が継続的に賃上げできるのか、追加利上げによる金利上昇、景気引き締めに経営が耐えられるのか、中小企業の倒産は増加しないか、慎重な判断が求められるでしょう。コストプッシュインフレで苦しむ国民に、さらに追加利上げによる景気後退が襲えば、スタグフレーションによって国民生活はさらに厳しいものになり、格差はもっと拡大するでしょう。
いずれにしましても、今年の世界経済は、米国トランプ次期大統領の経済・金融・外交政策に左右される展開が想定される中、セクターや国・地域によって景気や企業業績への影響の度合いは大きく異なってくると考えられます。世界株式市場は各国の物価や景気見通し、金融政策、地政学リスク等に左右されて、ボラティリティの高いマーケットになると思われますので、国際分散投資における資産配分と個別銘柄の選別が大切になってくると考えます。また、インフレヘッジやリスクヘッジの観点からの金(ゴールド)への分散投資についても引き続き効果的だと考えられます。
不確実な時代に大切なことは
昨年は波乱の一年でしたが、今年は良くも悪くも米国トランプ次期大統領の政策に左右される一年になると思われます。少なくとも民主党バイデン政権とは大きく政策が変わることは確かなので、様々な分野に影響を及ぼすことになるでしょう。米国ファーストの政策は米国民にとっては、民主党バイデン政権よりは良くなるかもしれませんが、それが日本を含む世界各国にとって望ましい政策になるかどうかはわかりません。
このような予測が難しい先行き不透明な不確実な時代だからこそ、資産運用をしていく上で分散投資がますます大切になってくると考えます。長期投資で資産形成していく上でも、インフレや地政学リスクの高まりなどから自分達の資産を守っていくためにも資産分散と時間分散を組み合わせて分散投資をしていくことが大切です。
国・地域・資産クラス・銘柄を分散することで、カントリーリスクや信用リスク、インフレリスク、自然災害リスクや地政学リスク、個別銘柄リスクを軽減していくことができ、短期的な価格変動リスクに対しては時間軸を5年、10年、20年単位の長期で捉えて時間分散することで軽減していくことができるでしょう。
資産運用を継続することは簡単なことではなく、先行き不透明で不確実な時代に5年、10年、20年と投資をずっと継続して実践できる人はそれほど多くありません。マーケットが大きく調整すれば怖くなって投資を止めてしまったり、逆に大きく上昇すれば途中で利益確定してしまいがちです。しかしながら、マーケットの過去の実績を振り返れば、長く続けることによって運用成果を得られたことがわかると思います。
既に資産運用をされている方も、 新たに資産運用を始められる方も、「継続は力なり」という格言を忘れずに、資産運用を続けて頂ければと思います。
弊社は昨年創立20周年の節目の年を迎えましたが、これからも先を見据えてお客様の資産運用を一生涯サポートさせて頂きます。お客様が資産運用を継続していけるように、良い時も悪い時も上り坂も下り坂もまさかの時も一緒に伴走していきたいと考えておりますので、本年もありがとう投信をご愛顧いただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
ありがとう投信株式会社
代表取締役社長 長谷俊介
関連記事
| 社長メッセージTOPへもどる |