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【今、話題の法律問題シリーズ、これだけは押さえておこう!】第1回不動産にまつわる法律問題《セミナーダイジェスト後編:マンション・民泊編》

2019年06月21日(金)

【今、話題の法律問題シリーズ、これだけは押さえておこう!】第1回不動産にまつわる法律問題《セミナーダイジェスト後編:マンション・民泊編》

 次に、マンションに関する問題を見ていきます。

  

 マンションの現状は、国土交通省平成30年度マンション総合調査によれば、「70歳代以上の割合が増加する一方、30歳代以下の割合は減少、居住者の高齢化の進展がうかがわれる」、「 完成年次が古いマンションほど70歳代以上の割合が高くなっている」、「完成年次が古いマンションほど空き室があるマンションの割合が高くなる」、「所在不明・連絡先不明の空き室のあるマンションの割合は3.9%(完成年次が古いマンションほど多い)」、「修繕積立金について、完成年次の新しいマンションほど段階増額積立方式(年次が上がるほど金額が増加)となっている割合が多い」、「計画上の修繕積立金が不足しているマンションが34.8%」ということで、居住者の高齢化とマンションの老朽化、空室の増加、修繕積立金の不足が同時に進行している現状がうかがえます。

     

 

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  出所:国土交通省 平成30年度マンション総合調査結果

    

 

 マンションに関する法律には、建物の区分所有に関する法律(区分所有法)などがあります。マンションの老朽化への対応として建替えという方法がありますが、原則、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数が必要なためハードルが高いのが現実です。例外として、都市再生特別措置法において、市街地再開発事業では公益性の観点から地権者の3分の2以上の合意で建替えが可能になる新制度が平成28年9月1日から施行されました。

 
  日本での民間分譲マンション第1号である「四ツ谷コーポラス」は1956年竣工で、2017年に築61年で建替え決議が成立して建て替えられることになりましたが、これから多くのマンションが築40年、50年、60年を超えてくるとマンションの最後をどうするかということが大きな問題になってきます。

 

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 マンションの最後は、①建替、②更地後に売却して残ったお金を分配、③企業などに売却して企業が別の用途に再利用、④放置、がありますが、①から③には、原則として5分の4以上の賛成が必要になり、建替は用意ではないと言われています。

 

 その理由としては、マンションの建て替えには一戸あたり、およそ2000万円程度かかると言われていることがネックになっています。費用負担がないケースはレアで、好立地でかつ余剰敷地があって建替え後に戸数を増やせる(例えば、150戸→300戸)物件でないと難しいと言われています。

 

 特に地方のマンションは、そもそも高値で売れないため、建て替えできず、またより安い住宅もみつけにくい事情もあり難しいと考えられております。

  
 マンション老朽化問題に対する解決策については、正直答えを見いだしづらいのが現状で、具体的にできることは、管理組合を組成してきちんと運営されているか確認することです。特に意思決定プロセスの実践などは建替えのときだけやってもうまくいきません。長期修繕計画の見直し、や未納共益費の徴収など普段からきちんとされているかが大事になってきます。

  
 今後、法律要件の緩和が予想されていますが、今からマンションを選ぶ場合で気を付けるポイントとしては、「建物の大きさに対して、敷地が広い(容積率に余裕)」、「人気のエリア、立地が良い」、「管理体制が整っている」、「無駄な付帯設備(プール付き等)がないか」などがあります。これからの時代、不動産は、一生住むのか、一定期間住むのか、ライフプランを考えて選んでいく必要があるでしょう。

  

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 次に民泊に関する問題について見ていきたいと思います。

 

 民泊とは、宿泊用に提供された個人宅の一部や空き別荘、マンションの空室などに宿泊することです。

  

 インターネットを通じて、「個人宅」の空き部屋を貸すビジネスが増加してきましたが、従来の旅館業法で規制すると、ほとんどが要件を満たさず、無許可の違法民泊が増加するという問題が発生したため、従来の旅館業法の改正と並行して、2017年6月9日に「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が成立し、2018年6月15日に施行されました。

 

 

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 民泊は4種類に分類されていて、①簡易宿所としての民泊(旅館業法)、②特区民泊としての民泊(国家戦略特別区域法)、③民泊新法による届出住宅としての民泊(住宅宿泊事業法)、④イベント民泊であり、それぞれ法規制内容が異なっております。

 

 民泊新法ができたことにより、「住宅」を民泊として使用できるようになり、従来、ホテルや旅館が営業することのできない住宅専用地域でも民泊を営業することが可能になりました。 

 

 このように民泊に関する法整備は進みましたが、トラブル事例も発生しております。借りる側のトラブルとしては、「オーナーと連絡が取れなかった」、「写真と実物が違った」、「近隣住民と騒音でトラブルになった」などがあり、貸す側のトラブルとしては、「部屋の物を壊された」、「禁煙と伝えていたのに、喫煙されてしまった」、「道を迷ったゲストからキャンセルされた」、「鍵が返却されなかった」などがあります。

 

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 対応策としては、①コミュニケーションを密にとる、②文化や慣習の違いを理解する、③ハウスルールやマニュアルを用意しておく、④仲介サイトの保証金制度を利用する、⑤民泊保険を活用する、⑥ID確認を徹底する、などが考えられます。

  

  

 最後に本日のまとめとしましては、以下の通りです。

  

(1)色々な情報を正確に収集することが大切!特に不動産は資産価値が大きいので、自分自身で知識や情報を得て、正しい判断をする必要がある。

    

(2)基本的な法律の知識を身につけておくことで、損をしないようにできる(こともある)。

 

(3)民泊は、まだ仕組みが不十分な面がある。適切な運用をするための工夫や制度の構築が必要と思われる。

  

 

 

 次回(6/22)の法律問題セミナーでは「投資にまつわる法律問題」を取り上げます。お楽しみに!

 

 

  

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