インフレとデフレについて<前編>
今回は、はじめてシリーズとして、インフレとデフレについて取り上げたいと思います。
皆さんインフレとデフレという言葉はよくテレビや新聞で見たり聞いたりしたことがあると思います。日銀の黒田総裁が物価上昇率2%を目標に異次元の金融緩和を継続しておりますが、バブル経済崩壊以降、長く日本経済を苦しめてきたデフレからの脱却がその目的の一つでもあります。
インフレとは、インフレーションの略で、持続的な物価上昇を意味しており、デフレは、デフレーションの略で、持続的な物価下落を意味しています。
30代以下の方は、物心ついた時からデフレ経済が当たり前の環境の中で生活してきているので、物価が持続的に上昇していくインフレというものの実感が湧かないという話をよく聞きます。一方で、団塊の世代以上の方の場合、高度経済成長やバブル経済を経験されているので、物価や地価、賃金が年々上昇していくインフレがどういうものか実感されているのではないでしょうか。
インフレとは物価が上昇していく一方でお金を持っているとその価値は目減りしていくことなります。
例えば、現金1万円持っているとして、物価が年2%上昇した場合、現在1万円の価格のものは来年には1万200円になります。今なら1万円で購入できますが、同じものが来年には物価が上昇したために購入できなくなります。
つまり、1万円で買えるものが減少した、すなわち実質購買力が低下したことになります。このように、インフレになって物価が上昇していくとお金の価値が目減りしていくことになるのです。
反対にデフレの場合は物価が下落していくので、今1万円で購入できるものよりも多くのものを購入することができることになります。つまり、お金の価値が増加することになるのです。2000年頃のデフレ真っ只中の頃には、マクドナルドのハンバーガーが65円まで値下げされていた時期もありました。それまで130円くらいで販売されていたものが半額の65円まで値下がりするのですから、今までの倍の量買えるようになりお金の価値が上がっていると考えられます。
このようにデフレの時期には物よりもお金を持っていた方が有利であると言えます。消費者の立場から見ても物価が下がるのは安くものが買えるのでいいのではないかと思われるかもしれません。
しかしながら、目先はいいかもしれませんが長い目でみるとそうとは言えません。それは、デフレ経済になれば、企業の売上・利益が減っていくのでお給料も下がっていきます。そうすると、使えるお金が減るので物価が下がっていてもあまり買えません。買う人が減るので消費が冷え込みさらに売上・利益が減少していき、倒産してしまう会社も出てくるでしょう。
このような、デフレスパイラル、悪循環に陥ると経済が成長せずに収縮してしまいますので、デフレ脱却というのが政府・日銀の大きなテーマとなっているのです。
(後編へ続く)
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