年金保険商品で資産形成は有利なのか?<後編>
このように年金保険商品で老後資金を貯めていくというのは、中身を分解してみると、運用商品(投信、株、債券等)で資産形成していく部分と保険で死亡保障する部分に分けることができます。
したがって、「保険+運用商品」を組み合わせることで年金保険商品を保有するのと同等の効果を目指すことができます。また、年金保険商品と「保険+運用商品」の組合せの違いとしては、リスクを誰が引き受けるかの問題があります。 運用が上手くいかなかった場合のリスクは、保険の場合は保険会社が負うことになります。
契約時に約束した利回りを保証しますので、想定より利回りが低下した場合は逆ザヤになり、保険会社が差額を補填することになります。バブル経済のときに販売された予定利率の高い保険(利回り5%程度)は、バブル崩壊後の低金利下において利回りを保証しなければならず、逆ザヤとなって保険会社の経営を圧迫していきました。その結果、経営破たんに追い込まれた保険会社もいくつかありました。
もし保険会社が破たんした場合、生命保険契約者保護機構によって一定額が補償されることになっていますが、全額が補償されるわけではありません。保険会社の破たんリスクにも注意する必要があるでしょう。
一方、運用商品(投信、株、債券等)の場合は、運用成績がプラスでもマイナスでも自己責任になります。当然のことながら運用が上手くいかなかった場合のリスクを背負うことになります。ここが保険商品(変額年金保険除く)との大きな違いになります。ただし、投信の場合は信託財産が分別保管されているので、投信会社や販売会社、信託銀行が破たんしても資産は保全(投資資産を時価で保全、運用損益は時価次第)はされることになります。
年金保険商品で老後資金を準備するのはコストが割高なので不利であるとよく言われています。自分で運用商品(株式や債券、投信等)に投資して資産運用し、掛け捨ての定期保険と組み合わせれば低コストで代替できると考えられています。しかしながら、現在のマイナス金利下ではいずれにしても債券主体の運用では低利回りであることに変わりはありません。高い利回りを目指すなら株式にも投資しなければならず、その分リスクをとる必要があります。
保険は保険会社との契約なので、変額年金などを除けば運用リスクは保険会社が取っています。そういった諸々のリスクを保険会社がとっている対価として手数料が高くなり割高な商品になってしまうのもビジネスとしては仕方がない側面があると思われます。
リスクを誰が負担しているかという点が保険商品を購入するのと、自分で投資することの大きな違いであると考えられます。
パッケージされた年金保険商品でお金を貯めるか、自分で保険と運用商品を組み合わせて運用するかは、人それぞれです。手数料などのコスト面では後者が有利であることは明らかですが、自分で選んで組み合わせたり、メンテナンスする手間暇をかけたり、ある程度の金融リテラシーを習得する必要があるなど見えない時間コストがかかってくるので注意が必要です。また、投資だと続けられないけれども保険なら続けられるという人がいるのも事実です。
以上のように、年金保険商品について色々な観点から特徴を比較分析して見てきましたが、老後の自分年金作りの手段として考えた場合、結論として現在の年金保険商品は有利な手段であるとは言えないと考えます。
その理由としては、基本的に保険の死亡保障機能と運用商品の貯蓄・資産形成機能は分けて考えた方が明確でわかりやすく、余計な手数料を節約することができ、保険と運用商品それぞれで最適なものを選んで組わせていくことができるからです。
また、年金保険商品の現在の予定利回りは過去最低の水準であり、今後金利が上がっても低い水準の予定利回りの契約が続くので、利回り面で考えても決して有利な運用商品であるとは言えません。
老後資産をしっかりと形成していくためには投信を活用して、しっかりと長期・積立・国際分散投資をして複利効果を活かして資産運用していく必要があると考えます。そして、そのためには、ある程度の資産運用の知識を習得するか、信頼できる相談相手としての金融機関、アドバイザーを見つけることが大切です。
資産運用は始めるよりも継続する方が難しいと言われています。マーケットに居続けて長期投資を続けることが大切なのですが、マーケットは日々変動し、株価急騰や大暴落が時々起こるので、日々の情報や時価が気になってしまい途中で投資を止めてしまう人が少なくありません。
この点に関して言えば、保険商品は、保険会社がリスクを負担しているので、一度契約したら保険料を払い続ける(一時払いは契約時に保険料を支払う)だけなので、マーケットや世の中の動きに惑わされることなく継続していくことができますので、保険商品の方が優れていると言えるかもしれません。
弊社では、お客様の資産運用を一生涯サポートする仕組みとして、毎月継続して積立投資をしていく定期積立サービス、退職金などまとまった余裕資金を時間分散して購入できる分割購入サービス、そして、リタイア後に計画的に運用資産を取り崩していく定期換金サービスをという仕組みを整えており、ありがとうファンドを通じて長期・積立・国際分散投資が実践できるようになっています。
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ありがとう投信株式会社
代表取締役社長 長谷俊介
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