【これだけは知っておくべき法律知識】第4回ネット・消費者トラブル編<前編>
先月11月3日(金)に【これだけは知っておくべき法律知識】第4回ネット・消費者トラブル編を開催いたしました!
今回は【これだけは知っておくべき法律知識】の第4回ネット・消費者トラブル編ということで、弁護士の宇田川先生に、ネット・消費者トラブルに関してこれだけは知っておくべき法律知識について、事例を交えながら詳しく解説していただきました。
本題に入る前に、宇田川先生から最近弁護士業界の中で話題になっていることとして、過払い金請求で有名な弁護士法人が景表法違反で2か月間の業務停止になった件についてお話がありました。
今回の処分は、弁護士会の処分としてはかなり重い処分にあたるもので、依頼を受けていたすべての案件について契約を解除して他の弁護士に依頼しなければならないそうで、案件数が多いので引き受けてくれる弁護士を探すだけでも大変で、どうしたらよいか依頼者が一番困っているとのことでした。
さて、今回のセミナーでは、消費者トラブルの傾向と事例の紹介、被害にあわないためにどうすればよいか、また、消費者を保護する法律の紹介、トラブルに対する対抗策、最近多い不正送金トラブルについて取り上げて頂きました。
まずは、消費者トラブルの最近の傾向ですが、2016年消費者生活年報によれば、消費生活センター等が受け付けた相談件数は約92.6万件で、2年ぶりに減少するも依然として高水準であり、支払い手段のキャッシュレス化が進んだことにより、プリペイドカード詐欺被害が拡大したそうです。また、マイナンバー制度の開始、電力の自由化とともに便乗商法も次々に出て来ていたり、オンラインショップに関するトラブルなど海外の詐欺的事業者とのトラブルが急増しているようです。
B to CのEC市場規模及びEC化率は年々右肩上がりで毎年10%伸びてインターネットに商取引がシフトしており、それに伴ってインターネット通販トラブルも増加しているそうです。特に近年はスマートフォンに関連するトラブルが増えてきているそうです。
スマートフォンに関連するトラブルとしては、通話料、パケット料、機器や通信サービスの品質などに関する相談とスマートフォンを利用したデジタルコンテンツに関する相談に大別されて、前者の例では格安携帯電話会社の店舗でSIMフリーの端末と通信契約をしたが、契約直後から通信状況が悪いにもかかわらず対応してくれないといった相談などで、後者の例では、スマートフォンに「有料サイト料金が未納で放置したら裁判を起こす」と書かれた身に覚えのないSMSが届いたが、どうしたらよいのかという相談などが挙げられます。
基本的にメールや手紙で身に覚えのない請求が来た場合は無視すればいいのですが、裁判所から書留で支払督促が来た場合は注意が必要だそうです。身に覚えのない請求でも無視していると請求が確定してしまうので、裁判所にすぐに異議申し立てをする必要があるとのことでした。
また、最近ではフリマサイトで現金が販売されている事例(4万円の現金が4万7000円で販売されていた。現在は禁止されている)もあり、新しいサービスに関連するトラブルも多く出て来ているようです。
次に、主な消費者トラブルの事例として、"若者"、"お年寄り"などに分類すると以下のものがあげられるとのことでした。
<若者に多い消費者トラブルの事例>
①ネット通販で商品を購入したが、商品が届かない あるいは、届いた商品が偽物であった。
②エステの無料体験から化粧品などを次々契約
③ワンクリック登録されてしまい、高額なサイト料金を請求された。
④資格商法(資格取得を奨めて、高額な講習料をとる)
⑤二次被害(退会するためには解約料がかかる、契約金の1割を支払ってくれれば
解約手続きを代行する、など)
⑥マルチ商法で化粧品とビタミン剤を買わされた。
<お年寄りに多いトラブルの事例>
①点検詐欺(点検に来たと言って修理不能、危険な状態などと言って新品や違う商品を売りつける。)
②振り込め詐欺(借金の返済、交通事故、不倫・・・)
③国産の墓石を購入したつもりが、実際には中国産の石だった。
④お墓に彫刻した文字や絵がイメージと違う。
⑤質素な葬儀を希望したのに高額な料金を請求された。
<その他のトラブルの事例>
①投資詐欺(未公開株詐欺、FX詐欺)
②地質調査をお願いしたら、改良が必要と言われ、多額の費用がかかってしまった。
③デート商品(婚活サイトなどで知り合った相手からの勧誘を受けて投資用マンションを購入してしまった)
これらのトラブル対策としては、例えば、ネット通販は前払いは出来るだけ避けること、マルチ商法などのうまい話は基本的に断ること、点検詐欺の場合は、あやしい人は2度は来たくないので、点検を受け付けず、その場で契約しないこと、振り込め詐欺の場合は、気が弱い人、家族の絆が強い人、慎重な人が引っ掛かりやすいので注意が必要とのことで、特に「緊急事態+お金」の話になったら注意した方がよいとのことでした。
また、最近は価格が急騰している仮想通貨であるビットコインに便乗した詐欺も手を変え品を変えて出て来ているので、仮想通貨に絡んだ儲け話やうまい話には注意をした方がよいそうです。
そして、消費者トラブルの被害に遭わないためには、以下の点に気を付けることが大切とのことでした。
①相手方当事者が信頼できるのか、
②取引の内容について、十分な説明を受けたか。
③即決しない!気持ちを落ち着かせる。
④信頼できる知人に相談する。
⑤契約書の内容を確認する。
⑥(だまされたと思ったら)すぐに専門家に相談する。
(後編へ続く)
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