ファンドラップとロボアドバイザーについて ~それぞれの特徴とメリット・デメリット~【第2回】
2017年06月14日(水)
オーダーメイドの運用商品と聞くと、自分にぴったりで良さそうに聞こえますが当然デメリットもあります。
ファンドラップの場合、通常の投資信託(ファンド)を直接買うよりも手数料が高くなる傾向にあります。
投資一任サービスで運用をお任せするので運用手数料が年間で0.4%~1.5%程度、投資するファンドの信託報酬が0.6%~1.5%程度かかり、トータルで最大年3%くらいの手数料が大手金融機関のファンドラップではかかると言われています。
洋服と同じでオーダーメイドの運用商品なので既製品よりもコストがかかってしまうのは仕方がないと思うかもしれませんが、それに見合った運用をしてくれているのかきちんと見極める必要があります。
ファンドラップの場合、投資するファンドのラインナップがあらかじめ決まっていて、その中での組み合わせでお客様毎のポートフォリオを構築・提案しています。
ファンドラップ専用ファンドを用意している場合もありますが、通常のインデックスファンドが投資対象になっている場合もあります。お任せ運用で高いコストを支払っても得られる運用成果がインデックスファンドの組み合わせであれば、プラスアルファの運用成果を得ることは難しく、運用手数料の分だけ成績がマイナスになると言えるでしょう。本当に利用する価値があるのか冷静に考えてみる必要があります。
また、ファンドラップの運用の中で、ファンドの売買や入れ替え、リバランスを行うとその都度、利益が出ていれば課税されることになります。
一方、通常の投資信託のファンドオブファンズの場合、ファンド内でのファンドの売買等は非課税になるので、課税を繰り延べすることができます。長期での資産運用を考えた場合、同じような運用をするなら、ファンドオブファンズの形態の方がファンドラップよりも税金面で有利になり複利効果を得ることができるでしょう。
また、顧客のニーズやリスク許容度に合わせて資産配分やポートフォリオを提案・構築すると言っても、そもそも顧客ニーズやリスク許容度を正確に把握できなければ、意味のない資産配分やポートフォリオで運用することになり、運用が上手くいったとしてもお客様にご満足していただけない結果となる可能性があります。
例えば、運用が初めてで知識がない人にリスク許容度の質問をすれば、回答が保守的な傾向になり、リスク回避的な資産配分になることが容易に想像できますが、本当にその資産配分で長期で運用することがその人にとっていいことなのか、もしかしたら、きちんと投資教育を受けた上であれば、年齢や収入、保有資産、目的、将来の目標を考慮してもっとリスクをとって運用すべきであったかもしれません。
また、リスク許容度の低い人で既にそれなりの金融資産がある人の場合、高い手数料を支払ってわざわざファンドラップで運用する必要はないと言えるでしょう。
ファンドラップについては、最低投資金額が数百万からになっておりますので、初めての方が投資する対象として考えた場合、まとまったお金を一度に投資することになるので時間分散投資ができず、リスクが高くなる可能性があるのもデメリットの一つです。
このようにファンドラップについては、コストに見合った資産運用アドバイスと運用成果が得られるのか十分に確認する必要があり、通常のファンドで代替可能であればあえて購入・契約する必要はないかもしれません。
(第3回へ続く)
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