【今月のFP情報コラム】金利上昇で何が変わる?奨学金とこれからの教育資金準備!(2026年6月)
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日本の金融政策が転換期を迎え、長らく続いたゼロ金利・マイナス金利の時代が終わりを告げました。
「金利のある世界」へのシフトは、「教育費」にも大きな影響を与えます。特に有利子奨学金を利用する学生は、将来の返済負担に直結します。
今回は奨学金制度の基本や利用する際の注意点を解説します。
金利のある世界(=インフレの世界)になるとどうなる?
◆ 教育費の「額」そのものが増えるリスク
金利が上昇する局面ではインフレ(物価上昇)圧力が強まっています。入学金や授業料といった学費、施設維持費、塾の月謝なども、物価高に連動して値上がりする懸念があります。また、一人暮らしをする場合、生活費や家賃の高騰がそのまま仕送り額の増加につながります。
◆ 預貯金だけでは価値が目減りするリスク
これまでは「教育費=安全に定期預金や普通預金で貯める」という考えの方も多かったと思います。しかし、金利のある世界では、預金金利が少し上がったとはいえ、物価上昇のペースに追いつかない場合、現金でただ貯めているだけでは実質的な価値が目減りしてしまいます。
◆ 奨学金や教育ローンの利息負担が増加
金利のある世界では、お金を「借りる」ときのコストも高くなります。市場金利の上昇に伴い、日本学生支援機構の有利子型(第二種)奨学金の貸与利率が上がると、卒業後の返済総額が膨らみます。また、 変動金利型の教育ローンを組んでいる場合も金利上昇とともに返済額が増えることになります。

奨学金とは
日本の大学における利用率は、現在約2人に1人(約5割)に達しており、進学において極めて一般的な選択肢となっています。奨学金は、「返済が不要な給付型」と「返済が必要な貸与型」に大きく分類され、国や自治体、民間団体などが運営しています。国が運営する日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金は、第一種(無利子)と第二種(有利子)の2種類に分かれています。
貸与型の返済について
◆ 返済開始
貸与が終了した月(卒業月など)の翌月から数えて7ヶ月目から始まります。例えば、3月に卒業して貸与が終了した場合、最初の返済は10月です。
◆ 金利
【利率固定方式】
貸与が終了した月に設定された利率が適用されます。貸与終了時に決まった金利が、完済するまで変わらないため、返済計画が立てやすいのがメリットです。
【利率見直し方式(変動金利)】
最初は貸与終了月に決定した利率でスタートし、約5年ごとに経済情勢に合わせて金利(利率)が見直されます。将来的に金利が下がれば返済額が減る可能性がありますが、金利が上がれば返済額も増える仕組みです。
出典:日本学生支援機構 利率の算定方法による返還イメージ
https://www.jasso.go.jp/news/__icsFiles/afieldfile/2025/06/26/riritu.pdf
利率固定方式の金利は完済するまで変わりませんが、利率見直し方式(変動金利)よりも高めに設定されています。過去数年の金利の推移は以下のようになっています。
日本学生支援機構 貸与利率の推移より作成
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_2shu/riritsu/2007ikou.html
◆ 金利は「卒業する年」で決まる
最終的な金利は、貸与が終了する月(卒業年度)に確定するため、在学中にいくら利率が変動しても返済額に影響はありません。今後も金利が上がっていった場合、奨学金の利率も申込時より上がってしまう可能性があります。ただし、法律により奨学金の金利は上限が「年3%」と定められているためそれ以上になることはありません。
また、貸与期間が終了する年度の一定時期までは金利方式(固定・変動)の変更が可能です。直近の金利状況を確認してから最終判断することができます。貸与期間が終了した後は、一切変更できません。
◆ 困った時の救済措置
卒業後に失業したり、収入が低くて返還が困難になった場合は、「減額返還」や「返還期限猶予」といった相談・申請窓口が用意されています。3ヶ月以上滞納すると個人信用情報機関(ブラックリスト)に登録され、クレジットカードの作成や住宅ローンなどの審査に影響が出る恐れがあります。返還が困難になった場合は、速やかに手続きをしましょう。

奨学金を利用する際の注意点
◆ 資金が必要になるタイミング
奨学金の初回振込日は「入学後」となるのが一般的で、入学前に必要な初期費用には奨学金を充てることができません。 進学前に自己資金を用意するか、別途「国の教育ローン」などを検討しましょう。
◆ アルバイトのしすぎに注意(給付型の場合)
給付型奨学金は、世帯収入だけでなく学生本人の収入も審査対象です。アルバイトの年収が100万円を超えると支援額が減額される可能性があります。年収100万円を超えた場合は、必ず「勤労学生控除」の申告を行いましょう。
◆ 世帯の税金申告漏れがないか確認
貸与額算定基準額は、課税標準額を基に計算するため、親(生計維持者)の年末調整や確定申告に漏れ(控除の申告漏れなど)があると、奨学金の支給額の減額や不採用になる可能性があるため事前に確認しましょう。
https://www.jasso.go.jp/purpose/shogakukin/index.html
日本学生支援機構:奨学金に関する情報を目的から探す

これからの教育資金準備
◆ 「安全資産」で確実に残す
定期預金であれば、メガバンクより金利水準が高いネット銀行を利用するとよいでしょう。また、国が元本を全額保証する個人向け国債(変動10年)も金利変動に強い安全資産です。
金利上昇局面では、学資保険の新規加入時の返戻率が改善傾向にあります。ただし、過去の超低金利時代に契約した学資保険は、契約時の低い予定利率(返戻率)で固定されているため、自動的に受取額が増えたり保険料が下がったりする恩恵はありません。しかし、保険を中途解約すると元本割れを起こすリスクが高いため、慎重な検討が必要です。
◆ 「長期・積立・分散」でインフレに対抗する
金利がつく世界では、利益がさらなる利益を生む「複利効果」が資産形成の強力な武器になります。教育費は10年〜15年先の支出になることも多いため、その期間を活かして投資信託などを活用した積立投資が有効です。少額からコツコツと積み立て、長期で運用することで、相場の変動リスクを抑えながら安定した成長が期待できます。
ただし、教育資金が必要なタイミングで相場が急落すると元本割れの可能性があるため、売却時期は少し幅を持たせて計画するのが安全策となります。
◆ 奨学金や教育ローンの「借り方」に要注意
奨学金(特に第二種奨学金などの利息付きのもの)や民間の教育ローン(変動金利型)の借入期間が10年〜20年と長期にわたる場合、返済途中で市場金利が上昇するリスクがあります。金利が上がった際、毎月の返済額が増える、あるいは返済期間が延びるなどの影響が生じ、将来の生活を大きく圧迫することになりかねません。「いくら借りるか」だけでなく、奨学金の上限金利「年3.0%」など金利が上昇した場合の返済シミュレーションをあらかじめ行って無理のない返済計画を立てることが重要です。
◆ 公的支援・補助制度を使う
返済不要の民間財団や大学独自の奨学金、経済的に困難な学生向けの経済支援制度など多数の選択肢があります。早めの情報収集し、条件に当てはまるか確認しましょう。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/dantaiseido/index.html
日本学生支援機構:大学・地方公共団体等が行う奨学金制度
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/benefit/index.html
文部科学省:経済的に困難な学生・生徒が活用可能な支援策
教育資金準備の基本は、「計画な準備」を「早期にスタート」して必要な時期にお金が用意できていることです。まずは児童手当などの貯められるお金を全額貯蓄し確保しましょう。そのうえで、余剰資金を金利上昇のメリットが享受できる積立投資にまわすなど、「安全確実な資産(預貯金や国債)」と「インフレに強い資産(投資信託など)」のバランスを意識することが重要なってきます。
奨学金、教育ローン、学資保険、投資信託など、それぞれの制度や商品の特徴を理解し、ご家庭ごとの収入や教育方針に合わせ、無理のないペースで長期的な計画を立ててみてください。まずは現在の資産状況を見直し、今できる一歩から始めてみましょう。

<本件に関するお問合せ>
ありがとう投信株式会社 カスタマーサービス部
フリーコール:0800-888-3900
TEL:03-5295-8030 FAX:03-5295-8031
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