【今月のFP情報コラム】<法改正情報>企業型DCとiDeCoの併用について(2023年1月)
昨今、老後の資産形成の手段として注目を集めている制度の一つにiDeCo(イデコ)があります。
iDeCoは個人型確定拠出年金(個人型DC)の愛称で、加入者ごとに拠出された掛金を加入者自らが運用し、その運用結果に基づいて給付額が決定される年金制度です。拠出時に掛金が全額所得控除されるなど税制優遇措置があるので有利に老後資産形成ができる制度であるとされています。
当初は国民年金の第1号被保険者である自営業者等や企業年金制度のない会社員の方に加入対象者が限られていましたが、2017年1月より加入者対象者が拡大されて、公務員や専業主婦、企業年金制度のある会社員の方もiDeCoに加入できるようになりました。また、企業型確定拠出年金(企業型DC)加入者もiDeCoに加入できるようになりましたが、加入できるのは企業型年金規約でiDeCoに加入できる旨の定めがある場合に限られるなど制限がありました。
2017年以降、iDeCoの加入者数は順調に増加していて、2022年11月時点で273万人になっており、2020年3月時点と比較して約117万人も増加しています。
2022年10月からはさらに法改正が行われて、以下の条件を満たせば、企業型DCに加入している人も原則iDeCoに加入できるようになりました。
・iDeCoの掛金・・・5000円以上~20,000円以内(12,000円以内)
・企業型DCの掛金+iDeCoの掛金の合計・・・55,000円以内(27,500円以内)
※カッコ内()は企業型DCと確定給付型(DB、厚生年金基金等)に加入している場合の金額
お勤めの会社で企業型DCが導入されていて、今までiDeCoに加入したくてもできなかった人や企業型DCで会社が拠出する掛金が少なくて掛金枠がたくさん余っている方、会社の企業型DCの商品ラインアップに満足していない方にとっては、iDeCo併用を検討してもよいのではないかと思います。
併用を検討する際の注意点としては、iDeCoは手数料が全額自己負担になるため、自分で掛金を拠出していく場合は最低でも年間2,052円の手数料を負担する必要があります。そのため、企業型DCの商品ラインアップに大きな不満がなければ、加入している企業型DCプランやケースにもよりますが併用ではなくて企業型DCでマッチング拠出することや選択制企業型DCで掛金を増額することを検討した方がよいかもしれません。
また、企業型DCもiDeCoも原則60歳以降になるまで拠出したお金を引き出すことができない年金制度であるので、掛金枠が余っていて税制優遇が受けられるからと言って無理に併用して掛金を増やすのではなく、あくまでもライフプランに基づいて毎月の掛金額を検討する必要があるでしょう。もし併用を希望される場合は、iDeCoの場合は企業型DCと違って、ご自身で金融機関(運営管理機関)に問い合わせをして手続きをする必要があります。
最後になりますが、老後の資産形成の手段としては企業型DCやiDeCoだけではありません。NISA制度や通常の証券口座(特定口座・一般口座)での資産運用の手段もあります。それぞれ税制が異なっていて、メリット・デメリットがありますので、アセット・ロケーション(口座配分)の観点から資産をどこで運用するのが最適なのか、お客様のライフプランに合わせて部分最適ではなく全体最適で考えていく必要があります。
もしライフプランを含めて個別にご相談されたい場合は、弊社のFPサービスや個別相談をご利用頂ければ幸いです。
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