S&P5>日本株式市場?
さて、米国大統領選を1週間後に控え株式市場も慌ただしくなってきましたが、受益者の皆様方におかれましてはいかがお過ごしでしょうか?足元ではバイデン陣営が優勢という報道が多く、株価もそれを織り込んできているようですが、4年前にトランプ大統領が誕生した際も事前の報道とは異なる結果になったので、結局のところ最後までわからないというのが正直なところでしょう。
仮にバイデン氏が大統領になったとしても、彼は選挙公約で法人税増税や富裕層への資産取引課税強化を掲げているので、株価に対してネガティブな要素が多い様に思われます。しかし足元では新型コロナウイルス感染拡大が継続しているので、こういった米国経済にマイナス影響を与えかねない公約はすぐには実行できなく、むしろ上下両院ともに過半数を民主党が支配するいわゆる『トリプルブルー』になれば、民主党主導での追加経済対策実現の可能性が増すため、株高へつながるのではという思惑が株式市場にはあるようです。
こんな楽観シナリオが広がる中、今月初頭に民主党が主導する下院司法委員会の反トラスト小委員会がいわゆるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と呼ばれる巨大IT企業4社による反競争的行為について調査した報告書を公表しました。もしバイデン政権が誕生するのであれば、こういった今まで株式市場の上昇を牽引し続けてきた巨大ハイテク企業の株価にとっては重しになることでしょう。現に投資割合を一部削減しているヘッジファンドもあるそうです。下図ではGAFAにマイクロソフトを加えたS&P5とS&P500からS&P5社を除いたS&P495の時価総額の変化を表してみました。米国株の上昇はS&P5によって支えられてきた点は明白ですね。元々世界的なデジタル化といったメガトレンドに沿った各社の成長戦略が評価され株価は堅調に推移してきましたが、特に今年に入ってからはコロナ対策の一部として失業保険給付が上乗せされており、各種給付金でコロナ前より手取りが増え、失業している人たちが給付金を軍資金にこういったコロナ禍でもさらなる成長が見込まれるハイテク企業の株を買っているという観測もあり、需給的にもお金が集まりやすくなっていました。
【S&P5とS&P495の時価総額の変化】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。時価総額は日次米ドルベース。
下図にて我々日本人に身近な日本企業との規模感も比較してみましょう。東証一部に上場している企業は2,000社以上あり時価総額の合計も600兆円以上にもなりますが、直近の比較では米国企業5社(S&P5)の時価総額合計に100兆円以上の差をつけられていますね。図をみるに日本株式市場はコロナ後にS&P5に追い抜かれる形になっていますが、こういった現象はコロナが直接的な引き金になったというわけではなく、以前『平成を振り返る』シリーズで述べたように長期的な社会ニーズの変化と構造的変化に沿った結果だと考えています。上述したように米国大統領選挙の影響力は日本の首相がアンパンマンの顔みたいにしれっと変わるレベルとは次元の異なる影響力を持つ事とは思いますが、世界的なデジタル化などのメガトレンドを変えるほどではないと思いますので、たとえ短期的に売られるようなことがあっても、長期的な成長ストーリーに大きな変化はないと考えます。
【S&P5と東証一部の時価総額の推移】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。時価総額は日次米ドルベース。
毎度のことですが、リスクの無い市場など世の中どこをみてもございません。将来のことが分からないからこそ、短期的な選挙の動向に一喜一憂せず、コツコツとドルコスト平均法で積み立てるのが不確実性に対する一番の処方箋であり、また長期投資のゴールへの近道だと考えておりますので、受益者の皆様方におかれましても、もう一度自分のリスク許容度を確認したうえで、何のために長期投資をしているのかを考えていただけますと幸いです。
ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。
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【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)
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