【今月のFP情報コラム】「どこでも、まとめて」戸籍取得!戸籍の広域交付制度とは?(2025年12月)
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相続手続きを進める際に、欠かせないのが戸籍謄本です。「出生から死亡までの連続した戸籍謄本をご用意ください」と言われることが多くあります。相続税申告や不動産の名義変更、銀行口座の解約など、様々な手続きで必ず求められており、弊社でもお願いしています。
戸籍収集には、これまで、生涯で本籍地があった自治体すべてに請求を行わなければなりませんでしたが、「戸籍の広域交付制度」がスタートし、本籍地以外の役所からでも取得できるようになりました。今回はこの新しい制度について解説します。
そもそも戸籍とは?住民票と何が違うの?
戸籍とは、日本国民が出生してから死亡するまでの身分関係(出生、婚姻、死亡、親族関係など)を登録し、公的に証明するための制度です。本籍地の市区町村で作成され、戸籍には「謄本」と「抄本」の2種類があります。
住民票は、現住所に関する情報を公的に証明するもので、住所地の市区町村で作成されます。住民票は、あくまで居住関係に限ったものです。
なぜ、相続手続きに戸籍謄本が必要なのか?
多くの相続手続きでは、亡くなった人(被相続人)の法定相続人が誰であるかを証明する必要があります。特に金融機関における相続手続きは、法定相続人全員の合意が原則とされているため「誰が相続人なのか」確定させる必要があります。
以下の主な2つの理由で戸籍の提出を求められます。
1.法定相続人の確定
1つ目の理由は、法律上の相続人が誰であるかを正確に把握、証明するためです。
例えば、離婚歴があり前の配偶者との間に子がいる場合、その子も相続人になります。しかし、現在の戸籍謄本だけでは過去の家族構成や相続関係のすべてを把握することはできません。そのため結婚、離婚、養子縁組などの理由で過去に戸籍が移動している場合、以前の戸籍(除籍謄本、改製原戸籍)も確認する必要があります。
2.法定相続人の本人確認(相続関係の証明)
2つ目は、相続人と被相続人の関係を証明するためです。配偶者、子、両親、兄弟姉妹なのかによって民法で定められた相続順位や相続分が異なり、遺留分の有無もかわってきます。相続人が確定することで、具体的な相続分などを正しく判断することができます。
戸籍の集め方 -- 戸籍の広域交付制度について
従来、被相続人の戸籍謄本を取得する際は、本籍地があったそれぞれの自治体の窓口に問い合わせる必要があり、手間と時間がかかっていました。
2024年3月1日より、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍証明書・除籍証明書を請求することができる制度が始まりました。戸籍を管轄する法務省の戸籍情報連携システムを利用した仕組みで、これを「広域交付制度」といいます。
これによって、本籍地が遠方でも、お住まいや勤務先などの最寄りの市区町村の窓口で請求できます。また、ほしい戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1か所の市区町村の窓口でまとめて請求できます。
出典:法務省【戸籍法の一部を改正する法律について】https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00082.html
法務省民事局【広域交付 パンフレット】https://www.moj.go.jp/content/001409036.pdf
戸籍の広域交付制度の注意点
① 利用できる人が限られている
戸籍の広域交付制度を利用して戸籍謄本を請求できるのは、本人、配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)に限られています。被相続人の兄弟姉妹やおじ、おばが相続人となった場合は、同制度を利用できないので注意が必要です。
② 郵送や第三者による請求はできない
郵送や代理人(委任状使用含む)による請求はできません。この制度を利用する場合には、必ず請求者本人が市区町村の戸籍担当窓口に直接出向く必要があります。その際、本人確認のため、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの官公署発行の顔写真付きの身分証明書の提示が必須です。
③ 交付できない資料もある
広域交付制度で交付できる資料は「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」・「除籍謄本(除籍全部事項証明書)」・「改製原戸籍謄本」です。戸籍抄本、除籍抄本、戸籍の附票、電子化されていない一部の戸籍は取得できません。これらの書類を取得するには、従来通り、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。
戸籍にフリガナが記載される新制度 ― ご存じですか?
2025年(令和7年)5月26日から、戸籍に氏名のフリガナを記載する新制度がスタートし、本籍地の市区町村から戸籍に記載される予定のフリガナが通知されます。通知が届いたら必ず内容を確認しましょう。
通知に記載されたフリガナが正しい場合は、届出をしなくても2026年(令和8年)5月26日以降に通知のフリガナがそのまま戸籍に記載されます。
誤っていた場合の届出は、本籍地又は住所地の市区町村の窓口や郵送で行うことができるほか、マイナポータルでも行うことができます。
詳しくは、法務省のホームページなどでご確認ください。
出典:法務省「戸籍にフリガナが記載されます」 https://www.moj.go.jp/MINJI/furigana/index.html
政府広報オンライン「戸籍にフリガナが記載。2025年5月26日以降に自治体から通知が届いたら必ず確認を!」
https://www.gov-online.go.jp/article/202505/entry-7609.html
これまで、時間と手間のかかっていた戸籍謄本の収集ですが「戸籍の広域交付制度」によって便利になりました。しかし、この制度を利用しても、本籍地への照会に時間がかかり、即日交付ができない場合もあるようです。戸籍謄本等の請求方法や交付にかかる時間など市区町村の戸籍担当窓口に確認や相談をするとよいでしょう。
こちらもあわせてご覧ください。
「法定相続情報一覧図とは」https://www.39asset.co.jp/blog/2022/11/001722.html

<本件に関するお問合せ>
ありがとう投信株式会社 カスタマーサービス部
フリーコール:0800-888-3900
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