【今月のFP情報コラム】今どきは保証人より賃貸保証会社が主流⁉ ～家賃保証のメリットとデメリット（2024年3月）

2024年03月12日（火）

　3月となり、進学や就職で新しい生活のお住まいを探されている方も多いと思います。その際に「保証会社」という言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか。　

　最近では賃貸保証会社（家賃保証会社）の利用を必須条件とする物件が増えてきています。今回は、契約時に加入する賃貸保証会社（以下保証会社）について解説をしていきます。

賃貸保証会社とは

　以前は連帯保証人を立てる形式がとられていたため、親族などに依頼することが一般的でした。しかし、近年では高齢化が進み、現役を退いた親族では保証人の要件を満たさないケースが増えています。また、重い責任を担う保証人を周囲の人に頼みにくいなど身近に依頼できる人を探すのは難しくなってきました。

　そこで現在は連帯保証人を起用する代わりに、保証会社を利用して契約を取り交わすことが主流になってきているのです。

　保証会社とは、入居者が何らかの事情により家賃の滞納が起きた場合に、立て替えて支払いを行うことで不動産会社や大家さんに対して確実に家賃が支払われることを保証する会社のことです。

賃貸保証会社を利用するメリット

　入居者が保証会社を使う最大のメリットは、連帯保証人が不要になることです。物件を借りるにはまず、入居審査に通らなくてはなりません。先述したように、連帯保証人を探すことは難しく、保証人を立てられないと審査には通らないのが現実です。しかし、保証会社に保証料を支払えば連帯保証人の代わりになってもらえます。ただし、物件によっては連帯保証人と保証会社どちらも必要になる場合があるため注意が必要です。

　もう一つは不動産会社や大家さんの入居審査が有利になるという点です。保証会社は審査を行って年齢や収入などで支払い能力をチェックし、滞納歴、過去のトラブルなどを含む信用情報も確認します。保証会社の審査に通過すると入居後も問題を起こす可能性が低いとみなされ、入居審査が通りやすくなります。これは連帯保証人を立てられない高齢者や外国籍の方、収入が安定していない方にとっては大きなメリットといえるでしょう。

賃貸保証会社を利用するデメリット

　保証会社の利用にはデメリットもいくつかあります。具体的なデメリットを2つ説明していきます。

　一つ目は費用がかかり、金銭的負担が増えるという点です。保証会社を利用する賃貸借契約の場合、契約時に家賃に応じた保証料を払う必要があり、さらに1～2年ごとに更新料も徴収されます。保証料、更新料は保証会社によって異なりますので、契約内容は事前によく確認するようにしましょう。また、保証料を支払っていても保証会社はあくまで家賃を立て替えてくれるだけですので、家賃を滞納すれば当然ながら後から立替金の支払いを請求されます。場合によっては督促が頻繁に来たり、滞納が数か月に及ぶと契約解除となり、部屋の明け渡しを求められることもあります。

　二つ目は保証会社を利用するためには、「審査」が必要なことです。不動産会社や大家さんの審査とは別に保証会社による信用情報の審査があります。保証会社の審査結果が優先されるため、不動産会社や大家さんがOKでも保証会社の審査に通らないと部屋は借りられません。

　携帯電話料金（端末代金分割支払分）の未払いやクレジットカードの支払いの遅延や滞納、キャッシングなどを過去にしていて返済が滞ったことがある人など信用情報に問題がある場合は審査を通らないことがあるため注意しましょう。また、過去の家賃滞納の有無も信用情報で確認されます。以前家賃の滞納をしてしまったことがある方は審査に通らない可能性があります。

家賃滞納に注意！！

　最も注意しなければならないのは、家賃の滞納です。「保証会社が代わりに家賃を支払ってくれる」と安易に考えることは禁物です。

　前述した通り、滞納履歴はデータとして賃貸保証会社に残ります。信用情報に傷がついてしまうと、次回の引っ越しの際の保証会社の審査やクレジットカードの審査などに通りづらくなってしまいます。将来、家や車などのローンが組めなくなる可能性もありますので支払いの遅れが発生しないよう、十分に気を付けましょう。

　以前は、賃貸借契約といえば連帯保証人を立てるのが当たり前でしたが、現在では保証会社と契約して物件を借りるケースが増えてきています。借主からも大家さんからも、ニーズが高まっている保証会社ですが、注意しなければならない点も少なくありません。メリットとデメリットをきちんと理解して、より良い賃貸契約ができるようにしていきましょう。保証会社について不安な点やわからないことがあれば不動産会社の担当者に事前に相談するようにしてください。