【今月のFP情報コラム】保険見直しコラム(前編)「日本人は保険好き」(2023年8月)
「日本人は保険好き」と言われていますが、みなさんはいくつ保険に加入していますか。
生命保険文化センターの調査(令和3年度)によると、日本人の保険加入率等は以下の通りです。
世帯加入率 | 世帯死亡保険金額平均 | 世帯年間払込保険料平均 | |
生命保険(個人年金保険含む) | 89.80% | 2,027万円 | 37.1万円 |
医療保険 | 93.60% | ― | ― |
なんと9割近くの日本人が何かしらの民間保険に加入しています。
米国で7割(公的医療保険制度がないため、自身で入らなければならない)、英国で4割程度と言われていますので、日本が「世界一の保険好き国」であることは間違いないでしょう。昔から共働きが当たり前の欧米と比べ、男性が一家の大黒柱時代が長かった日本は、高度経済成長も相まって万が一のために多額の保険料を払ってきたと言われています。
また「社会人になったから」「周りのみんなが入っているからなんとなく」という日本人的横並び思想で大した違和感もなく保険に加入している人が多いのでしょう。
しかし世帯年間払い込み保険料平均の37.1万円を30年払い続けた場合、1,113万になります。こうして数字にしてみるとものすごい金額ですね。民間保険は家族形態や働き方によって加入しておくべき人もいますが、過度に入りすぎていないか人生のライフイベントに沿って見直していくことが大切です。
保険を見直すにあたって、まず日本の公的保証制度がケガや病気の際にどれくらい負担をカバーしてくれるかを確認してみましょう。知っておきたい代表的な制度は以下の4つです。
①健康保険(70歳未満で3割の自己負担)
②高額療養費制度(1カ月あたりの支払い上限額があり、上限額以上はかからない。上限額は一般的な年収で8万円くらい)
③付加給付(会社によっては健康保険組合が高額療養費制度にさらに上乗せして払い戻してくれる。自己負担額が2万円くらいに抑えられることが多い)
④傷病手当金(病気やケガで会社に行けない場合、最長1年半減額された給料が給付される)
例えば病気やケガで手術入院をして100万円かかってしまったとします。しかし、①によって病院窓口での負担額は30万円。続いて②によって上限額が約8万円になるので、差額の約22万円は後に戻ってきます。さらに③を利用できる会社に勤務している人は、最終負担金額が約2万円に抑えられ、高額療養費制度に上乗せされてお金が戻ってくるのです。
これくらいなら毎月掛け捨ての保険料を払うのではなく、貯金でカバーできそうだなと思われた方もいるのではないでしょうか。
入院中の食費や差額ベット代など高額療養費制度の対象外となるものもありますし、安心感を得るためにも民間保険に入るべきではないとは言えませんが、不安に駆られて保険に過剰加入する前に、万が一の時に実際いくら備えておくべきなのか(不足しているのか)を把握することが大事でしょう。
次回後編は・・・「ライフイベントで保険を見直すべきタイミング」、「保険に加入すべき人はこんな人!」を取り上げます。
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