ありがとうの本棚(今月の一冊『世界史で学べ! 地政学 』)
世界史で学べ! 地政学 (祥伝社黄金文庫) 文庫- 2019/4/12 茂木誠
昨年のロシアのウクライナ侵攻によって世界的な地政学リスクは高まり、世界経済やマーケットに大きな影響を及ぼしているのは皆さまご存知の通りですが、そもそも「地政学って何?」と思われる方も少なくないのではないでしょうか。
本書は世界史の予備校講師で歴史系ユーチューバーでもある茂木誠先生が地政学について世界史を交えながら基本から大変わかりやすく解説してくれていますので知識ゼロでも一から学んでいけます。
地政学は、リアリズム(現実主義)の一つで、国家間の対立を地理的条件から説明するものです。国境を接していれば、領土紛争や移民問題が必ず発生する。だから隣国同士は潜在的な敵だという、考え方です。「歴史には正義も悪もなく、各国はただ生存競争を続けているだけ」という見方です。
そのため、敗戦後の日本では地政学の研究自体が禁じられてタブー視されてきました。代わりに世界史を正義の実現として見る「理想主義」史観が幅を利かせることになりました。
一方、アメリカ、ロシア、中国、EUなど世界各国の指導者はリアリズムでモノを考えて行動しています。本書は今日の国際紛争を地政学的見方から読み解いたものですので、本書を読めば、なぜロシアはウクライナに侵攻したのか、その理由も自ずと理解できると思います。
日本は戦後77年間、平和憲法と日米安全保障体制の下、戦争を対岸の火事としてほとんど意識することなく平和に過ごしてきましたが、世界では第二次世界大戦後も各地で戦争や紛争、テロが絶え間なく起きていて平和とは程遠い状況でした。平和ボケしていると言われる私達日本人のお花畑歴史観、世界観を正すために地政学が今こそ必要とされていると著者は主張されています。
国際情勢が緊迫化しているこの機会に地政学について一から勉強してみてもよいかもしれません。
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