【今月のFP情報コラム】公的年金の繰り下げ期間について(2022年9月)
2022年4月から公的年金の法改正があり年金受給の繰り上げ・繰り下げが変更されました。
繰り下げ期間については70歳までだったのが、75歳まで繰り下げできるようになりました。繰り下げした場合、1ヶ月毎に0.7%年金額が増額されるので、今までは70歳まで繰り下げて最大42%の増額だったのが、75歳まで繰り下げると最大84%増額されることになります。
人生100年時代、長生きリスクに備えるためには繰り下げした方がよいとメディアに登場する社労士やFPの方々がよく勧めています。65歳から受給した場合と比べて、計算上は何歳まで繰り下げても「11年11ヶ月」でもらえなかった期間分を取り戻せることになります。例えば、70歳まで繰り下げると81歳11ヶ月を超えて生きると取り戻せることになります。
半面、税金や各種保険料控除後の手取りベースで考えると平均寿命まで生きるケースでは繰り下げした場合と繰り下げしなかった場合では、損得で言えばそれほど大きな差はないと考えられています。
65歳以降も働くなどして定期的な収入があり家計収支に余裕がある方は、長生きリスクに備える保険目的として考えて繰り下げを検討してもよいのではないかと思います。なお、繰り下げに伴って在職老齢年金や加給年金の支給停止など注意すべき点があるので、繰り下げを検討される場合は年金事務所や年金相談センター、専門家に相談・確認してみるとよいでしょう。
大切なことは、退職後の老後生活設計をしっかりと立てることであり、家計収支と金融資産残高が今後どう推移していくのかキャッシュフロー表などを用いて試算してみることをおすすめします。
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