新興国の投資銘柄紹介:個人消費セクターの需要増からの恩恵(前半)
2018年03月15日(木)
前月は、新興国中間所得層の個人消費が新興国株式市場の成長ドライバーであると説明させていただきました。今回は、ありがとうファンドの投資先ファンドの投資銘柄を例に、この点をもう少し具体的に説明させていただければと思います。なお、この度紹介する2銘柄については『厳選ファンド徹底紹介セミナー』で取り上げた数多くの銘柄の一部になります。
【チャイナロッジング:中国のホテルチェーン大手】
出所:ファクトセット、指数と株価は2012年年初を100として指数化、2017年12月末までの推移。EPS(Earnings Per Share)は一株当たり当期純利益の意味。 |
個人消費の具体例を挙げると数多くありますが、例えば旅行もその一つです。最近ニュースなどのメディアで中国人観光客の民泊や爆買いといった話題も聞き飽きていると思います。こういった消費行動は、海外旅行に限った話ではなく中国国内でも同様の現象のようです。図1を参照いただくと、一人あたりの可処分所得が増えるにつれて国内旅行件数が増える傾向にあることが確認いただけます。特に、最近中間層の仲間入りをした層や、これからといった方々はいきなり海外旅行というよりは国内旅行の方がリーズナブルでハードルが低い分、国内旅行に対する需要は大きいと考えられますね。
●図1:所得増は国内旅行消費につながる傾向がある
そんな国内旅行消費増の恩恵を享受する企業は多くあると思いますが、宿泊業もその一つでしょう。国内旅行する人数が増えるわけですから、ホテルに宿泊する人数も増える→売り上げが増えるといった当たり前の成長ストーリー以外にも、中国のホテル市場には構造的な変化が表れてきています。例えば図2に示したように、中国のホテル市場の約8割は個人や家族で経営されているような独立経営ホテルですが、先進国の代表米国では独立経営ホテルのシェアが低く、ホテルチェーンが約7割と全く逆の構図になっています。今後中国が先進国の仲間入りをし始め、ホテル市場が大手ホテルチェーンにより再編されるようなことがあれば、同社のようなホテルチェーンのシェアにはさらなる成長余地があると考えられます。図3のようなロイヤリティ・プログラム、ホテルの改修なども独立経営ホテルというよりは大手ホテルチェーンだからこそでき、消費者に新たな付加価値を提供できるのではないでしょうか。
(後半へ続く)
●図2:中国と米国のホテル市場は構造的な違いがある
●図3:ロイヤリティ・プログラムやホテル改修などブランドとしての付加価値
上記の個別の銘柄・企業については、あくまで当運用戦略の説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。また当運用における組入れを示唆・保証するものではありません, 2017年6月30日現在。. *出所: 中国国家観光局 (CNTA)、マッキンゼー、モルガン・スタンレー・リサーチ、国家統計局。一人当たり可処分所得予測(2015E-2020)はマッキンゼー、一人当たり国内旅行件数予測(2017-2020)はモルガン・スタンレー・リサーチによる。 † 2015年現在。 出所: CHA, CNTA, Innite, STR, クレディ・スイス、会社データ。 チャイナ・ロッジング・グループには、ハイ・イン、ハン・ティン・ホテル、エラン・ホテル、JI ホテル、スターウェイ・ホテル、ホヤ・ホテル、およびマンシン・ホテル・アンド・リゾーツを含みます。また、同社は、メルキューユ、イビスおよびイビス・スタイルズのマスター・フランチャイズの権利を保有しているほか、中国圏でグランド・メルキュールおよびノボテルを共同開発する権利を有します。. ‡ 2017年3月31日現在。スターウェイ・ホテル・チェーンを除きます。出所: 企業レポート、AB. §出所: WPP、カンター・ミルワード・ブラウン(データはカンター・ワールドパネル、ブルームバーグ)。 |
◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。
ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
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