アクティブシェアについて<月次レポート2017年10月より>
皆様、いつも大変お世話になっております。今月のありがとうトピックスでは、最近月次レポート2ページ目で開示を始めたアクティブシェアについて簡単に説明させていただきます。
一言で言ってしまえば、アクティブファンドの保有銘柄がベンチマーク(もしくは参考指数)とどれだけ異なるかを表しているパーセンテージです。例えば、ありがとうファンドの日本株部分を担当しているコムジェスト日本株式ファンドのアクティブシェアは8月末時点で87%ですので、参考指数と比べて87%構成内容が異なることを意味します。この差はまずTOPIXの構成銘柄数が2020社(8月末時点)であるのに比べて、コムジェスト日本株式ファンドの保有銘柄数は37銘柄(8月末時点)に厳選集中投資をしていますので、銘柄数だけみても87%という違いのほとんどを説明できると思います。もう一つこの差異を説明する要因があり、それは同一銘柄の保有割合の違いです。例えばコムジェスト日本株式ファンドの8月末時点の組入銘柄で最も多く保有している銘柄は東証一部に上場している株式会社キーエンスでした。保有割合は5.4%とTOPIX内での保有割合1.11%と比べると多く保有していることがわかると思います。このように、たとえ参考指数と同じ銘柄を組み入れていた場合においても保有割合の差についてはアクティブシェアとしてカウントされるのです。
アクティブシェア(8月末時点)
※上記のアクティブシェアは各ファンドの運用会社の開示を基に掲載しています。
注1:ABエマージング・マルチファンドについては、株式と債券複合の運用で参考指数がないため、参考までに各資産の組入比率を開示しています。
アクティブシェアが高いから成績が良い悪いということではなく、あくまでも参考指数に対してどれだけ異なる構成かを表しているに過ぎません。重要なのはなぜ異なるのかという点です。この点についても、コムジェスト日本株式ファンドを例に説明しますと、コムジェスト・アセットマネジメントの投資哲学として長期的に企業利益を二桁成長できると考えられるクオリティーグロース企業に投資するという大前提があります。したがって、継続的に成長しないと考えられる企業は投資対象にならないのです。それは、簡単に言うと景気サイクルの変動に対して業績が大きく振れてしまう景気敏感銘柄などには原則投資しない、もしくは保有割合を低位に抑えることを意味すると考えます。例えばコムジェスト日本株式ファンドでは銀行業の銘柄は一つも保有していません(8月末時点)。これは、銀行の本業である貸付業務などは景気の良し悪しに大きく影響を受けますし、マイナス金利が導入されている日本では銀行の利ザヤを確保するのが難しく、銀行業が置かれている構造的な環境からも企業利益の継続的な成長は見込めないことが大きいと考えます。
もう一つ景気敏感銘柄の代表格といえば自動車関連銘柄があります。日本の自動車セクターは古くから日本の輸出業の花形産業で日本経済を支えてきた重要な産業ではありますが、同時に為替相場の影響を大きく受けるビジネスモデルになっています(最近は海外現地生産・販売も増えてきて、為替の影響は以前と比べると小さくなってきたようです)。為替は短期で大きく変動することが多く、それ自体の予測は困難であり、持続的な成長の根拠としては難しい要因の一つです。8月末時点でコムジェスト日本株式ファンドにおける日本の自動車銘柄はスズキ株式会社のみです。同社はマルチ・スズキ・インディアという子会社をインドに有しており、人口・労働人口増加などに伴う自動車の販売の伸びしろは、米国、欧州を主な輸出・販売先としている他の大手日系自動車メーカに比べて成長の確度が高く、投資妙味があると考えて保有していると考えます。ひとえに自動車関連銘柄は景気敏感銘柄が多いので投資対象に全くしないということではなく、成長を裏付けるドライバーがあるのであれば投資対象になるといった例でした。
こういった投資哲学を基に銘柄選択を行った結果としてアクティブシェアが大きくなっただけで、アクティブシェア自体の高い低いはそれほど重要ではないと考えております。新体制以降新たに採用したアライアンス・バーンスタイン、アリアンツ・グローバル・インベースターズのファンドについても、新ファンド紹介セミナーなどを通して個別銘柄の説明を交えてできるだけわかりやすく投資哲学を説明してきました。今後また改めて各ファンドの投資哲学について徹底解説するセミナーなど企画できればと考えておりますので、開催の際は是非ご参加検討いただけますと幸いです。
ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
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