マーケット動向・ファンド運用状況<月次レポート2017年10月より>
<9月のマーケット動向>
9月のマーケットの動きですが、前月とは異なり先進国株式市場が牽引する一ヶ月になりました。月序盤には北朝鮮が水素爆弾の実験に成功したと発表するなど、世界株式市場は同時株安になりました。その後中盤にかけて北朝鮮ミサイル問題への懸念後退などが好感され上昇に転じました。
またECB(欧州中央銀行)が資産買い入れ縮小に向けた議論を開始したと発表し、10月にもその大部分を決定するとのことでユーロが買われユーロ高が進行しました。後半にかけてFRB(連邦準備制度理事会)がFOMC(連邦公開市場委員会)にて量的金融緩和で膨らんでいた保有資産の縮小を10月に開始することを市場の予想通り決定し、同時に年内もう一度の利上げを検討していることも明らかになり、米ドルが買われ年初から続いていた米ドル安基調から反転する展開になりました。これにより米ドルに対し円安が進み、特に日本株には追い風で月を終えました。
月間の騰落率としては、TOPIX(配当込み)は4.34%の上昇、米国S&P500(配当込み)はドルベースで2.06%の上昇、欧州MSCIヨーロッパ(配当込み)はユーロベースで3.90%の上昇、新興国MSCIエマージング(配当込み)はドルベースで0.37%の下落となりました。為替相場は月末時点で、米ドル/円が112円台半ばと前月末比で円安に転じました。ユーロ/円については133円台前半と前月末比で円安がさらに進み月末を迎えました。
今月は最近弱かった日本株の堅調な推移が確認できます。これは米利上げ観測が強まり対米ドルで円安基調に転じたこと、衆議院の解散・総選挙の方針が発表されたことなどに起因すると考えます。
<ありがとうファンドの運用状況>
ありがとうファンドの9月月間騰落率は2.9%の上昇となりました。基準価額は上昇したものの、参考指数に対しては低調なパフォーマンスの一ヶ月になりました。
9月中の売買状況については、やや過熱気味な米国株式市場を主な投資対象とするキャピタルICAファンドを一部売却しました。コムジェスト・ヨーロッパファンドについても一部売却しました。
【資産配分(8月末)】
【ポートフォリオ(9月末)】
※「年率複利」は、過去の実績値であって将来の成績を保証するものではなく、またお客様ごとの購入時期によって運用結果は異なります。「年率複利」と「標準偏差」については、ありがとうファンド設定来(2004年9月1日)からのデータを基に、弊社にて計算しております。参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
<今後の見通しについて>
今後の見通しについては、北朝鮮問題など一過性のイベントはあるものの世界経済は引き続きリーマン・ショックからの回復・成長が続くと考えています。ファンダメンタルズの改善に基づいた企業利益の成長がより注視される市場になるでしょう。下図ではリーマン・ショック前からの4国・地域のEPS(1株当たり利益)の水準をまとめました。足元5年ほど低迷していたエマージング市場とヨーロッパ市場は底を打ち活気を取り戻しはじめたように見えます。
出所:ファクトセットよりありがとう投信計算、EPSは2007年1月末を1として指数化し2017年9月末までの推移
<今後の運用方針について>
株式市場という観点から足元の状況を考えると、リーマン・ショック後各国・地域は量的緩和などの金融緩和で各々の経済・市場を支え世界的にカネ余りの状況が続いています。リターンを求めてやや過熱感のある市場も出てきました。このような環境下では一つの市場だけに投資することはリスクが高く、特定の市場に過度に偏ることなく幅広く分散投資することにより長期的に持続性のあるリターンを享受できると考えております。ありがとうファンドでは、世界経済の成長をグローバル市場で競争力のある企業の成長に沿った形で享受できるよう、国際分散・厳選・長期投資を継続していきます。
アクティブファンドというと上昇局面で大きく稼ぐといった様な派手なイメージが強いと思いますが、ありがとうファンドでは上昇局面で無理に上値を狙うといった運用よりは市場全体が下落する局面にて市場相対で下げ幅を抑制することにより結果的に長期で安定したパフォーマンスを提供できると考えております。その源泉としては、実績のある投資先ファンドによる成長企業の厳選、国・地域別資産配分の見直し・調整、今後投資予定の金ETFなど株式市場と相関が低い資産を組み入れることによる資産分散を主に考えております。下図はあくまでも参考までにですが、上昇局面では90%ほど市場に追従し、下落局面では下落幅を抑制した場合のバックテスト例になります。ダウンサイドリスクを抑制することにより、長期で価格変動リスクを抑えながら運用パフォーマンスを向上できたことが確認いただけると思います。
出所:ファクトセットよりありがとう投信計算、株価は1987年年初を100として指数化し2017年9月末までの推移、注:上昇・下落局面は月次騰落率ベースで判断。平均年率パフォーマンスと標準偏差についても月次ベースのデータから計算
<投資先ファンドの状況について>
月間騰落率については、キャピタルICAファンド以外の投資先ファンドが参考指数(円ベース)に対しアンダーパフォームしました。北朝鮮リスクの後退、米金利の年内追加利上げ観測などを受け、前月やや調整していた自動車、金融関連銘柄などに代表される景気敏感銘柄が買い戻された相場になりました。当ファンドの投資先ファンドではこういった銘柄の投資割合を比較的低位に抑えていますので、市場全体と比較して低調なパフォーマンスになりました。また、米国のハリケーン「ハービー」「イルマ」の影響による製油所の停止によってガソリン在庫が減少したことなどによりWTI原油先物価格が久々に50ドルを超えたこともあり、世界的にエネルギー関連銘柄が強い一ヶ月でした。こちらについてもエネルギー関連銘柄の保有割合が低いため、市場全体の上昇に出遅れる結果となりました。
【月間騰落率】
年間騰落率については、昨年後半のトランプラリーで割安だったエネルギー、金融関連銘柄が買い戻された相場になり、こういった景気敏感株をほとんど保有しない当ファンドの年間騰落率は景気敏感銘柄も含む指数に対しやや低調なパフォーマンスになりました。
【年間騰落率】
<投資先ファンドの運用パフォーマンス>
注:参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
アリアンツ・ユーロランドグロースについては、2017年9月末時点ではまだ保有していませんが、今後徐々に買付けを検討しているため参考までに記載しております。
【本文で使用している指数の注記】 騰落率は、FACTSETよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
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