資産運用と出口戦略 ~定期換金サービスと毎月分配型ファンドについて~【中編】
資産活用期においては今まで貯蓄したり運用して増やしてきた資産を必要な額だけ換金しながら、すぐに使わないお金は余裕資産として運用を継続していくのはごく自然な行動であります。
運用する手段としてファンドを選択して、毎月お金が受け取れるという毎月分配型ファンドは、そのようなシニア世代の資金ニーズにマッチしており、毎月分配型ファンドの商品設計がシニア世代の潜在ニーズを満たしてきたと言えるでしょう。
しかしながら、資産活用期のシニア世代のニーズにあわせて、ファンドの商品設計を本来あるべきファンドの運用目的と異なる形にしてしまうのはどうしても無理が生じます。
シニア世代のニーズは資産をどのように活用していくのかが問題であり、毎月分配型ファンドのように商品として対応するのではなく、定期換金サービスなどのサービスとして対応すべき問題であると考えます。
以下に定期換金サービスと毎月分配型ファンドの特徴を比較してみました。御覧いただければわかるように定期換金サービスの方が顧客自身のニーズに合わせて自由に金額やサイクルを決められるので使い勝手の良いのがお分かりいただけると思います。
図:定期換金サービスと毎月分配型ファンドの比較
実際、米国の長期投資ファンドには何十年の運用実績がありますが、自分年金用の積み立てとして購入している人もいれば、リタイア世代が毎月定期換金して引き出しているというように同一のファンドでも世代によって、そのファンドの活用方法は違っております。
しかしながら、日本においては毎月分配型ファンドがこれだけ普及した一方、定期換金サービスはほとんど普及していません。
ファンドの定期積立サービスを利用できる販売会社は直販も含めてほとんどすべてですが、定期換金サービスを利用できる販売会社はほとんどありません。
なぜ普及しなかったのかを考えてみると、売れ筋ファンドが毎月分配型ファンドだったので、そもそも定期換金サービスを利用するニーズがほとんどなかったということ、短期の乗り換え売買が主流でファンドの平均保有期間は2~3年で、10年20年以上先を見つめて資産形成をしていける長期投資ファンドがほとんどなかったということがその主な原因でなかったのではないかと思います。
(後編へ続く)
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