なぜ国際分散投資が必要なのか?【後編】
2017年04月29日(土)
海外株への投資は為替リスクがあり、円高になったら為替差損がでるからリスクが高いという人がいますが、円ベースに換算しても、海外株に投資する方が日本株に投資するよりもリターンが高いことがご理解いただけると思います。
さらに、海外株投資は為替リスクが実はあまり高くないということについてご説明したいと思います。
為替レートは、短期では需給関係や投機的売買で決まりますが、長期で は各国間のインフレ率の差で決まるとされています。インフレ率の高い国の通貨は安くなり、インフレ率の低い国の通貨は高くなります。
株式投資の場合は、インフレによる通貨安効果を相殺する動きがあります。それはインフレになれば不動産、株式、物の価格が上昇するからです。つまり、インフレによってその国の通貨が安くなった分は、インフレによる価格上昇(株価の上昇)で相殺する動きになります。また、インフレ通貨安により輸出収入や海外収益が伸びて企業業績が拡大することによる株価上昇によっても相殺する効果が期待できます。
実際に図3、図4に示した1989年1月~2016年7月の期間の各株価指数のリスク(標準偏差)を計算してみると、為替換算しても為替リスクのない日本株と比べてそれほど差がなく、米国株(S&P500)については日本株よりもリスクが低いことがわかります。
出所:Factsetよりありがとう投信作成
あるから海外株投資はせずに日本株中心でという考え方は合理的な判断ではないことがお分かりいただけると思います。
このように、日本国内だけで投資するよりも海外株にも投資した方が高いリターンが期待できるため、国際分散投資をする必要があると考えております。
最後に、一国に集中するカントリーリスクを分散するために、国際分散投資が必要であることについて、ご説明させて頂きます。
日本はご存じのように地震が多い国であります。2011年3月11日の東日本大震災を始めとして今年4月の熊本地震など自然災害による被害がたくさん出ています。過去にも地震や台風などによって甚大な被害を出しています。海外にも投資するのはこのような自然災害や政治・経済などその国特有のカントリーリスクを回避する目的があります。
世界を見渡せばテロや戦争などの地政学リスクや自然災害リスクなど様々なものがありますが、それらがいつどこで起こるかは正確に予測することはできません。私たちにできることの一つは国・地域を幅広く分散することによってリスクを分散・回避することです。
分散投資の大切さを教える格言に『卵を一つのカゴに盛るな』というものがありますが、これは株式投資において一つの銘柄だけに投資するのではなく、複数の銘柄に投資することで、仮に投資先企業が潰れても大丈夫であるというものですが、国・地域についても同様に考えることができます。
日本に住んでいるからという理由で、日本株を中心に投資するというのは国際分散投資の観点から考えて合理的とは言えません。今後の日本のマクロ経済を考えると少子高齢化や人口減少の影響は避けて通ることはできません。国の財政問題、年金や医療費などの社会保障問題も深刻で抜本的な解決は難しい状況ですが、私たちは日本でこれからも働き生活していく必要があります。住む場所や働く場所を海外にすぐに移すことができる人は限られています。
しかしながら、ファンドを通じて海外に国際分散投資することは決して難しいことではありません。ですので、日本に住んで働いて生活しているからこそ、国際分散投資をしていく必要があると考えます。
以上のように、私たちは、これからもお客様から託された資金を国際分散投資で資産運用していく予定です。
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