コロナ禍をどう乗り越えていくか<月次レポート2020年5月より>
2020年05月07日(木)
皆さま、いつもありがとう投信をご愛顧いただきまして誠にありがとうございます。
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、日本でも4月7日に緊急事態宣言が出されて、皆さま大変な思いをされて過ごされていることと思います。
また、新型コロナウイルス感染症に罹患された方と、ご家族・関係者の皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。
新型コロナ対策は長期戦・持久戦を覚悟
さて、先月も引き続き新型コロナウイルス感染拡大が世界的に広まり、その影響は日増しに強いものとなってきました。日本においても4月末時点で国内感染者が1万4000人を超えて、1ヶ月で1万人以上感染者が増加しました。
緊急事態宣言が出されたことによって、外出自粛・営業自粛となり経済活動がほとんどストップしている状況になりました。特に観光、旅行、小売り、外食関係については休業補償などの政府支援がなければ経営が成り立たないくらいにまで追い込まれています。緊急事態宣言はとりあえず5月末まで延長されることになりましたが、経済活動がストップしたことによる実体経済の悪化は、この状態が長引けば長引くほど、個人消費の減少、雇用や賃金減少、企業倒産への縮小スパイラルに入っていくでしょう。
3月下旬まで東京五輪を予定通り開催するか延期するかどうかで大騒ぎしていたのが遠い昔のことのように感じられる程1ヶ月で状況は激変しました。
海外においても米国や欧州においてロックダウンが行われており、経済指標は過去最大の落ち込みを示すものが発表されており、その経済への影響の大きさは100年に一度と言われたリーマンショックを超えるレベルのもので戦後最大、世界恐慌の頃と比較されるレベルで新型コロナウイルスと人類との第三次世界大戦とも言われており、各国とも戦時、有事体制で新型コロナと戦っている状況です。
現在、新型コロナウイルスに対する治療薬やワクチンの開発が世界各国で進められおり、いくつか有効なものも出てきていますが、本格的なワクチンの開発には早くても1年以上かかると言われており、収束までには長期戦、持久戦を覚悟しなければならないでしょう。
マーケットは落ち着き反発するも実体経済との乖離は広がる
そのような中、4月のマーケットは3月の大きな調整から一転して、各国政府中央銀行の金融政策、財政政策により落ち着きを取り戻す中、欧米において感染拡大のピークアウトが見られてきたことにより、世界の株式市場は上昇して終えました。株価だけを見れば3月からV字回復のようになっていますが、少し期待先行で楽観的過ぎに思われ、実体経済とマーケットの乖離が大きくなってきていると考えられます。
今後、企業の決算発表や業績見通し、予想を下回る経済指標の発表が続けば、企業業績の落ち込みに合わせて株価も再び調整して二番底をつけるというシナリオが予想されています。また、マーケットでは4-6月期の過去最大の落ち込みからのV字回復は難しく、ロックダウン解除、経済活動再開後もある程度の制限が継続してゆるやかな回復になるU字回復がコンセンサスになっています。
足元では欧州や米国において一部制限を解除した経済活動再開の動きが出てきていますが、コロナ前の状態にすぐに戻るのは考えにくく、感染対策をした中で徐々に回復していくというのが現実的なようです。また、経済活動再開を急ぎ過ぎることによる感染第2波も警戒していかなければならない状況に、経済活動と新型コロナ対策の舵取りの難しさが表れています。
日本は先行している中国、韓国、欧州、米国と比べると、感染状況や対策、検査状況と体制、経済再開への出口戦略等、完全に周回遅れの状態ですが、今後同様に難しい舵取りが必要になる局面になってくるでしょう。自粛要請ばかりずっと続けても、国民も企業も耐えられないのは明らかなので、感染拡大を防止しながら、学校や経済活動を再開させて、普段の生活を持続できるようにする工夫と戦略が必要になってくるでしょう。
コロナ禍をどう乗り越えていくか
リーマンショックの当時もかつてない金融危機で先行きが見えない状況でした。当時を経験されているお客さまもたくさんいらっしゃいますが、100年に一度の危機と言われて、本当に悲観的な見通しやニュースが世の中に溢れていました。
今回も戦後最大の危機と言われており、日々のニュースを見ていると悲観的な気持ちになります。自分が新型コロナウイルスに感染するかもしれない不安、重症化して死亡してしまうかもしれない恐怖だけでなく、一斉休校や外出自粛・営業自粛、在宅勤務などで今までの生活が大きく変わったことによる不安やストレスが溜まっている人が少なくないと思います。ある調査によれば、自粛に耐えられる期間の平均は2週間くらいと言われるようにゴールや目標がないままでは我慢の限界に達してしまいます。
それでは、そのような先行き不透明な中で私たちは資産運用とどのように向き合ってコロナ禍を乗り越えていけばよいのでしょうか。大切なことは、目標(ゴール)を見失わないことです。何のために資産運用しているのか、どのように資産運用するのか、自分の資産運用の目的と運用方針をもう一度再確認することが大切になります。そして、目標に向かって世の中が良い時も悪い時も忍耐強く継続することが資産運用をする上で大切なことです。
例えば、20~30年後の将来のために資産形成しているのであれば、新型コロナの影響があっても、将来のためにコツコツ積立投資して老後資産形成する目標自体は変わらないでしょう。やむを得ない事情で生活が苦しくなって余裕がなくなれば積立を中止しなければならないでしょうが、そうでなければ資産運用を途中で止めてしまえば目標を達成することは難しくなるでしょう。
世界の株式市場は、今までにもショックや危機と言われるものを幾度となく乗り越えてきました。また、景気循環による上昇、下落を繰り返しながら大きく成長してきました。今回のような危機は毎年起こるわけではありませんが、長期の資産運用をしていく中では起こりうるものです。100年前のスペイン風邪は第2波、第3波が来て収束するまでに2~3年かかりましたが、今回のコロナ危機が収束するまでには、2~3か月か半年以上か、もしかしたら1~2年以上かかるかもしれませんが、いずれは収束する現象です。将来のための長期の資産運用の時間軸で考えれば、コロナ後の私たちの生活やビジネスに大きな変化が生じたとしても、一時期の出来事として振り返られることでしょう。
積立投資によるドル・コスト平均法は株価が下落して調整し、低迷している時期に継続するからこそ取得単価を平準化できて時間分散効果でリスク分散することができます。もし、下落局面で止めてしまえば積立投資の強みを発揮することができなくなってしまいます。
質の高い企業を厳選する国際分散投資を継続
世界経済は、4月に出されたIMFの見通しでも新型コロナウイルス感染拡大の影響で今年は大きくマイナス成長になる見通しが示されましたが、今後の感染状況によっては来年以降の経済成長の見通しが下振れする可能性もあるでしょう。
新型コロナが収束したポストコロナ時代には、コロナ前とは求められる企業やビジネス、サービス、競争環境が変わり、私たちの日常生活の行動様式などにも大きな変化があるかもしれません。しかしながら、中長期目線で見れば、世界経済は長期的な世界の人口増加とそれに伴う生産・消費の拡大を成長ドライバーに今後も成長していくと考えられています。
ありがとうファンドでは、引き続き短期的な相場変動に惑わされることなく、長期投資で世界経済及び企業利益の成長の恩恵を長期で享受できるように、幅広い国や地域の、コロナ禍でも生き残り成長していける競争力のある長期的なビジネスモデルに裏付けられた質の高い企業に厳選投資しているファンドに国際分散投資をするとともに、リスクオフ局面、金利低下環境で相対的に価値向上が期待できる金(ゴールド)にも投資することでリスクを抑えながら安定したパフォーマンスの提供を目指してこれからも運用を行って参ります。
新型コロナウイルスとの長期戦・持久戦を皆さまと乗り越えていけるように役職員一同、精進して参りますので、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
ありがとう投信株式会社
代表取締役社長 長谷俊介
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