マーケット動向・ファンド運用状況 <月次レポート2018年11月より>
<10月のマーケット動向>
10月のマーケットの動きですが、米中貿易摩擦による実体経済に対する悪影響が意識されたり、米国・サウジアラビア関係悪化等を背景に、世界株式市場総じて下げる展開の一ヶ月になりました。
序盤は米国とカナダが新NAFTA交渉妥結報道などを受け、世界株式市場は上昇基調で始まるかにみえましたが、米国・サウジアラビア関係悪化や、中盤にかけて米中貿易摩擦の影響を背景にIMFが世界経済成長見通しを下方修正したことなどから世界株式市場は総じて下げ基調の展開になりました。
後半にかけては、米国の主要企業のアマゾンが弱気な見通しを発表したこと、グーグルの持株会社であるアルファベットの売上高実績が市場予想を下回ったことなどから、情報技術銘柄を中心に売られる展開になりました。
下記現地通貨ベースの指数推移を参照していただくと、結果的に日本株式市場が他国・地域市場に比べ弱かったことがご確認いただけると思います。
【米ドル円、ユーロ円推移】2018年9月30日を1として指数化
※ ファクトセットよりデータを参照し、弊社にて指数化しております。
【主要株式指数推移(配当込、現地通貨ベース)】2018年9月30日を1として指数化
※ ファクトセットよりデータを参照し、弊社にて指数化しております。使用している指数についてはページ最下段の注記を確認ください。
<ありがとうファンドの運用状況>
ありがとうファンドの10月月間騰落率は10.6%の下落となりました。世界株式市場全体が下げる中、下げ幅が比較的小さかった米国株式市場の保有割合が低位であったこと、日本株式担当ファンドとヨーロッパ株式担当ファンドのパフォーマンスが低位だったことなどが響き、低調なパフォーマンスの一ヶ月になりました。
10月中の売買状況については、昨年からありがとうファンド全体の信託報酬を下げるべく信託報酬が安くかつ優れた運用パフォーマンスを有するファンドの組入を開始した背景から、コムジェスト・ヨーロッパファンドとコムジェスト・エマージングファンドを一部売却し、ABエマージング・エクイティファンドを買付けました。
【値動きの大きさの推移(250営業日リスク推移)】
※値動きの大きさの推移について:設定来の日次リターンを基に過去250営業日のリスク(日次リターンの標準偏差の年率換算値)の推移を表したもの。簡単に説明すると、数値が高いほど日々の値動きの幅が大きいことを表し、逆に数値が低いほど日々の値動きの幅が小さいことを表します。ありがとうファンドは値動きの幅を低位に抑える運用を心掛けています。
【資産配分(9月末)】
【ポートフォリオ(10月末)】
※「年率複利」は、過去の実績値であって将来の成績を保証するものではなく、またお客様ごとの購入時期によって運用結果は異なります。「年率複利」と「標準偏差」については、ありがとうファンド設定来(2004年9月1日)からのデータを基に、弊社にて計算しております。参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
<今後の見通しについて>
今後の見通しについては、各種地政学リスクなど一過性のイベントはあるものの世界経済は引き続きリーマン・ショックからの回復・成長が続くと考えています。ファンダメンタルズの改善に基づいた企業利益の成長がより注視される市場になるでしょう。下図ではリーマン・ショック前からの4国・地域のEPS(1株当たり利益)の水準をまとめました。足元は減税政策の影響などで米国市場の堅調さが目立ちますが、中長期的には今まで低迷していたエマージング市場とヨーロッパ市場の伸びしろは大きいと考えています。
出所:ファクトセットよりありがとう投信計算、EPSは2007年1月末を1として指数化し2018年10月末までの推移
<今後の運用方針について>
株式市場という観点から足元の状況を考えると、リーマン・ショック後各国・地域は量的緩和などの金融緩和で各々の経済・市場を支え世界的にカネ余りの状況が続いています。リターンを求めてやや過熱感のある市場も出てきました。このような環境下では一つの市場だけに投資することはリスクが高く、特定の市場に過度に偏ることなく幅広く分散投資することにより長期的に持続性のあるリターンを享受できると考えております。ありがとうファンドでは、世界経済の成長をグローバル市場で競争力のある企業の成長に沿った形で享受できるよう、国際分散・厳選・長期投資を継続していきます。
アクティブファンドというと上昇局面で大きく稼ぐといった様な派手なイメージが強いと思いますが、ありがとうファンドでは上昇局面で無理に上値を狙うといった運用よりは市場全体が下落する局面にて市場相対で下げ幅を抑制することにより結果的に長期で安定したパフォーマンスを提供できると考えております。その源泉としては、①実績のある投資先ファンドによる成長企業の厳選、②国・地域別資産配分の見直し・調整、③金ETFなど株式市場と相関が低い資産を組み入れることによる資産分散を主に考えております。下図はあくまでも参考までにですが、上昇局面では90%ほど市場に追従し、下落局面では下落幅を抑制した場合のバックテスト例になります。ダウンサイドリスクを抑制することにより、長期で価格変動リスクを抑えながら運用パフォーマンスを向上できたことが確認いただけると思います。
出所:ファクトセットよりありがとう投信計算、株価は1987年年初を100として指数化し2017年9月末までの推移、注:上昇・下落局面は月次騰落率ベースで判断。平均年率パフォーマンスと標準偏差についても月次ベースのデータから計算
<投資先ファンドの状況について>
月間騰落率については、日本株式市場を主な投資対象としているコムジェスト日本株式ファンド、ヨーロッパ株式市場を担当している3ファンド、北米小型株を主な投資対象としているアバディーン北米小型ファンドが各種参考指数(円ベース)に対し大きくアンダーパフォームしました。一方、一部債券に投資しているABエマージング・マルチファンドと、金ETFに投資しているiシェアーズゴールドファンドが下げ相場で下げ止まる、もしくは上昇する分散効果を発揮してくれました。
今月のマーケットでは、米中貿易摩擦による世界経済の減速が意識され、世界株式市場が総じて下げる局面がありましたが、相対的に日本株式市場の下げ幅が大きくなりました。10月の日本銀行のETF購入額が単月では過去最大の8,700億円になり、ある程度の下支え効果があるにも関わらず、他国・地域市場に比べて下げ幅が大きくなったことについては、懸念すべき点だと考えます。金融緩和の継続が困難になった場合に、実体経済の良し悪しに関わらず株価が大きく変動する可能性があるからです。
【月間騰落率】
注:参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
【年間騰落率】
注:参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
<投資先ファンドの運用パフォーマンス>
注:参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
【本文で使用している指数の注記】 騰落率は、FACTSETよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
TOPIXに関する著作権、知的財産権その他一切の権利は東京証券取引所に帰属します。S&P500種指数(S&P500)に関する著作権、知的財産権、その他一切の権利はS&P Dow Jones Indices LLCに帰属します。MSCI Indexに関する著作権、知的財産権その他一切の権利は、MSCI に帰属します。
※各国・地域市場の指数は他に断りの無い限り以下の指数を使用しています。
【日本株】→TOPIX配当込み
【世界株】→MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックストータルリターン
【米国株】→S&P500 トータルリターン
【欧州株】→MSCI ヨーロッパ トータルリターン
【エマージング株】→MSCI エマージング トータルリターン
関連記事
| マーケットTOPへもどる |