リスク分散について <月次レポート2018年10月より>
2018年10月03日(水)
皆さま、いつもありがとう投信をご愛顧いただきまして誠にありがとうございます。
先月は台風や大雨、地震による自然災害の被害が日本各地で相次ぎました。被災されました皆さまには心よりお見舞い申し上げますとともに、早期の復旧をお祈り申し上げます。
その中でも、北海道胆振東部地震では、地震による土砂崩れや液状化による被害はもちろんのこと、火力発電所が停止したことによる道内全域での停電(ブラックアウト)の影響は甚大で、電気がないと何もできない現代社会の脆さを改めて教えてくれました。
毎年のように異常気象が発生するとそれが当たり前になって慣れてくるものですが、以前よりも自然災害リスクが高まっているように感じます。自然災害はいつ起こるか予測できませんが、事前にリスクに備えて対策を立てておくことは個人でも企業でも大切なことです。
資産運用においてもリスクマネジメントとしての分散投資は最も大切なことの一つです。リスクのないところにリターン(超過収益)はありませんが、取らなくてもよいリスクや避けられるリスク、低減できるリスクをあえて取る必要はありません。また、リスクが発生したときに致命傷にならないことも大切です。特定の国や地域、資産、企業のみに投資をすることは集中リスクを取っていることになり、投資対象が暴落したり、倒産(デフォルト)した場合のリカバリーが非常に困難になります。投資の世界では「卵を一つのカゴに盛ってはいけない」という格言がありますが、分散投資は資産運用をしていく上で非常に大切なポイントです。
例えば、世間を騒がせているスルガ銀行の不正融資問題では、利益至上主義による過剰な営業ノルマなど不正行為につながる原因となった社風や組織体質、杜撰な管理体制が次々に明らかになり再発防止のためのガバナンスの強化が求められておりますが、スルガ銀行自体の問題とは分けて、そもそも問題となったシェアハウスへの不動産投資について資産運用の観点から考えてみたいと思います。
主に投資されていた会社員などは老後に備える資産運用として利回りのよい投資であると考えていたのかもしれませんが、投資の基本としての分散投資ができておらず、本人のリスク許容度を超える非常にリスクの高い投資をしていたと考えられます。不動産投資は個別性が強く物件ごとに立地も異なりまったく同じ投資対象はありません。日本の特定の地域の特定の種類の特定の不動産に集中投資していることになるので、もし当初の目論見通りにいかなかった時のリカバリーは難しいものになります。
また、少額から分散投資が初心者の資産運用の王道ですが、いきなり高額の物件に自己資金だけでは足りないのでローンを組んで投資するのですから客観的に考えてリスクが高いことはお分かりいだけるでしょう。ローンを組んで不動産を買うことは、借金をしてレバレッジをかけて投資していることと同じです。うまくいったときのリターンも大きいですが、失敗したときのリスクも大きくなります。出口戦略や今後の日本の不動産市況の見通しがどうなるか考える以前に、知識も経験も自己資金もない会社員がいきなり投資する対象としては非常にリスクが高いと言わざるを得ません。
今回のスルガ銀行における不正融資問題の教訓はたくさんありますが、私たちが学ぶべきことの一つは資産運用における分散投資の大切さについてではないかと思います。
投資信託でも、特定の国の高金利通貨建て債券や高利回りの低格付け債券のみに集中投資しているファンドが数多く設定・販売されていますが、高金利や高利回りには理由があること、通常の投資対象よりもリスクが高いことを認識しておく必要があります。一旦危機やショックが起これば、大きな損失を被る可能性が高くなります。例えば、8月に起こったトルコショックでは、トルコリラ建てのファンドやトルコリラ建ての債券や株式などを主に組み入れていたファンドは軒並み十パーセント以上下落をしました。高利回りの商品にはこのようなリスクがあることを認識しておくことが必要でしょう。
一方で、過度にリスクを恐れて投資せずに預貯金などの安全資産のみでは世界経済や企業成長のリターンを享受することは期待できません。
資産運用で大切なことは、特定の資産に偏らないようにリスク分散をして安定的なリターンを目指していくことです。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と言われるように、資産運用においてもリスクとリターンのバランスが大切になります。
ありがとうファンドでは、各国・地域の時価総額や純資産総額、GDP比率、経済成長率、企業利益成長率、金利、インフレ率などを考慮した資産配分(アセット・アロケーション)と成長企業へ厳選投資するファンドを組み合わせることで、ダウンサイドリスクを抑えながら世界経済の成長のリターンを享受できるように長期で安定した運用パフォーマンスの提供を目指して運用しております。
これからもお客様のご期待に応えられるように役職員一同精進して参りますので、今後ともありがとう投信を何卒よろしくお願い申し上げます。
ありがとう投信株式会社
代表取締役社長 長谷俊介
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