マーケット動向・ファンド運用状況 <月次レポート2018年8月より>
<7月のマーケット動向>
7月のマーケットの動きですが、引き続き米中貿易摩擦が懸念されながらも、世界株式市場は総じて上昇する一ヶ月でした。
序盤は米中貿易摩擦激化の懸念が強まる中、総じて軟調な推移が続きました。中盤にかけては、米国が10日に発表した中国に対する2,000億ドルの追加関税リストに対して中国が報復しなかったことなどから、貿易摩擦懸念が和らぎ買い戻される展開になりました。
後半では、中国が内需拡大のため積極的な財政政策を発表したこと、米欧首脳会談で自動車関税の引き下げの方向性が打ち出されたことなどが好感され、さらに上昇しました。
31日に日銀が金融政策の微調整を発表しました。より粘り強く長期で金融緩和を行えるよう、いろんな理屈をつけて地ならしの為の調整に見えました。そもそも金融緩和は短期の政策だと考えているので(インフレ2%達成も2年目安で始まったものが、既に5年超えても難しそう・・・)、今後はますます金融緩和の副作用が目立つようになるでしょう。
【米ドル円、ユーロ円推移】2018年6月30日を1として指数化
※ ファクトセットよりデータを参照し、弊社にて指数化しております。
【主要株式指数推移(配当込、現地通貨ベース)】2018年6月30日を1として指数化
※ ファクトセットよりデータを参照し、弊社にて指数化しております。使用している指数についてはページ最下段の注記を確認ください。
現地通貨ベースの指数推移を参照して頂くと、前月の米中貿易摩擦懸念で下落した相場から反発上昇した一ヶ月だったことがご確認頂けると思います。
<ありがとうファンドの運用状況>
ありがとうファンドの7月月間騰落率は3.4%の上昇となりました。世界株式市場の市場平均と比べると、今月相対的に強かった米国株式の保有割合が少なかったことなどによりやや出遅れる結果になりました。
7月中の売買状況については、米国大型株を投資対象とするキャピタルICAを一部売却し、北米小型株を投資対象とするアバディーン北米小型へスイッチングしました。米国大型株のみの運用から小型株を一部組み入れることによりさらなる分散効果を狙えると考えております。
また、昨年からありがとうファンド全体の信託報酬を下げるべく、信託報酬が安くかつ優れた運用パフォーマンスを有するファンドの組入を開始した背景から、コムジェスト・ヨーロッパをアリアンツ・ヨーロッパセレクトへ、コムジェスト・エマージングをABエマージング・エクイティへスイッチングしました。
【値動きの大きさの推移(250営業日リスク推移)】
※値動きの大きさの推移について:設定来の日次リターンを基に過去250営業日のリスク(日次リターンの標準偏差の年率換算値)の推移を表したもの。簡単に説明すると、数値が高いほど日々の値動きの幅が大きいことを表し、逆に数値が低いほど日々の値動きの幅が小さいことを表します。ありがとうファンドは値動きの幅を低位に抑える運用を心掛けています。
【資産配分(6月末)】
【ポートフォリオ(7月末)】
※「年率複利」は、過去の実績値であって将来の成績を保証するものではなく、またお客様ごとの購入時期によって運用結果は異なります。「年率複利」と「標準偏差」については、ありがとうファンド設定来(2004年9月1日)からのデータを基に、弊社にて計算しております。参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
<今後の見通しについて>
今後の見通しについては、北朝鮮問題など一過性のイベントはあるものの世界経済は引き続きリーマン・ショックからの回復・成長が続くと考えています。ファンダメンタルズの改善に基づいた企業利益の成長がより注視される市場になるでしょう。下図ではリーマン・ショック前からの4国・地域のEPS(1株当たり利益)の水準をまとめました。足元5年ほど低迷していたエマージング市場とヨーロッパ市場は底を打ち活気を取り戻しはじめたように見えます。
出所:ファクトセットよりありがとう投信計算、EPSは2007年1月末を1として指数化し2018年7月末までの推移
<今後の運用方針について>
株式市場という観点から足元の状況を考えると、リーマン・ショック後各国・地域は量的緩和などの金融緩和で各々の経済・市場を支え世界的にカネ余りの状況が続いています。リターンを求めてやや過熱感のある市場も出てきました。このような環境下では一つの市場だけに投資することはリスクが高く、特定の市場に過度に偏ることなく幅広く分散投資することにより長期的に持続性のあるリターンを享受できると考えております。ありがとうファンドでは、世界経済の成長をグローバル市場で競争力のある企業の成長に沿った形で享受できるよう、国際分散・厳選・長期投資を継続していきます。
アクティブファンドというと上昇局面で大きく稼ぐといった様な派手なイメージが強いと思いますが、ありがとうファンドでは上昇局面で無理に上値を狙うといった運用よりは市場全体が下落する局面にて市場相対で下げ幅を抑制することにより結果的に長期で安定したパフォーマンスを提供できると考えております。その源泉としては、①実績のある投資先ファンドによる成長企業の厳選、②国・地域別資産配分の見直し・調整、③金ETFなど株式市場と相関が低い資産を組み入れることによる資産分散を主に考えております。下図はあくまでも参考までにですが、上昇局面では90%ほど市場に追従し、下落局面では下落幅を抑制した場合のバックテスト例になります。ダウンサイドリスクを抑制することにより、長期で価格変動リスクを抑えながら運用パフォーマンスを向上できたことが確認いただけると思います。
出所:ファクトセットよりありがとう投信計算、株価は1987年年初を100として指数化し2017年9月末までの推移、注:上昇・下落局面は月次騰落率ベースで判断。平均年率パフォーマンスと標準偏差についても月次ベースのデータから計算
<投資先ファンドの状況について>
月間騰落率については、ヨーロッパ株式を主な投資対象としているコムジェスト・ヨーロッパファンドと新興国株式を主な投資対象としているコムジェスト・エマージング、ABエマージング・マルチファンドが各種参考指数(円ベース)に対しアウトパフォームし、ありがとうファンドの基準価額上昇に貢献しました。一方、北米株式を主な投資対象としているABアメリカン・グロースとアバディーン北米小型ファンドが米国株式市場全体の上昇に出遅れる形になりました。
ABアメリカン・グロースでは、指数と比較して今月大きく値を下げたファイスブックを多く保有していたことなどがマイナス要因になりました。フェイスブック株価の急落は同社決算にて成長率が鈍化する見通しを発表したためですが、成長率鈍化は新たなEUの規制対応などの影響で短期的な問題だと考えます。同社では過去にもPCからスマホ等モバイルへのシフトなど大規模な移行を経験しており、今回の変更についても構造的な問題ではないと考えます。
アバディーン北米小型については、米国内で稼ぐ比較的小さな企業に投資しているため、米国内企業に有利なニュースフローが出ると上昇する傾向があります。今月は米中貿易摩擦が和らぐ展開になり、米国内で稼ぐ小型株よりグローバル市場で稼ぐ大型株が買われたため、やや出遅れた形になりました。このような相場で、大型株(キャピタルICA)から小型株へスイッチングしました。
【月間騰落率】
注:参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
【年間騰落率】
注:参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
<投資先ファンドの運用パフォーマンス>
注:参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
【本文で使用している指数の注記】 騰落率は、FACTSETよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
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