【今月のFP情報コラム】相続税対策に生命保険が向いている4つのポイント(2024年7月)
相続税対策のひとつに「生命保険(死亡保険がある保険)」を利用する方法があります。なぜ、生命保険を活用すると相続税対策として有用なのか4つのポイントにまとめました。
生命保険が相続対策として有用な4つのポイント
① 非課税枠が設けられている
② 保険金受取人が指定できる
③ すぐに受け取ることができ、納税資金を確保できる
④ 代償分割に活用できる
① 非課税枠が設けられている
生命保険金を相続人が受け取った場合、一定の金額が非課税になる「非課税限度額(非課税枠)」が設けられています。非課税枠を有効活用することにより、相続税の支払いを軽減することができます。死亡保険金は、相続税法上では「みなし相続財産」として遺産総額に含めて相続税を計算することになります。死亡保険金の受取人が法定相続人の場合は下記の計算式に基づいて非課税枠を利用することができます。
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
② 保険金受取人が指定できる
死亡保険金の受取人を遺したい人に指定することである意味『遺言』代わりとして使うことができます。受取人指定された保険金は遺産分割協議の対象外となるため、受け取った相続人の固有の財産となります。
保険契約は「契約者:保険料を支払う人」・「被保険者:その保険の対象となる人」・「受取人:保険金を受け取る人」を指定しますが、 死亡保険金はこの三者の関係によって税金の種類が変わるので注意をする必要があります。下表は被保険者が亡くなった場合の生命保険について課税される税金の種類を示しています。
③ すぐに受け取ることができ、納税資金を確保できる
預金口座の場合、被相続人の死後は口座が凍結され、原則として相続人全員の合意がないと引出しができなくなります。一方、保険金は受取人固有の財産のため、保険金の請求であれば受取人が単独で保険会社に申請ができ、早期に受けることができます。
また、相続税は原則では現金一括納付となります。もし、相続財産のほとんどが不動産だった場合は納税資金の確保が難しくなりますが、死亡保険金があればそれを充てることができます。
④ 代償分割に活用できる
代償分割とは、相続人が複数いるケースで、遺産のうち不動産など分割の難しいまとまった財産を受け取った人が、ほかの相続人に代償金を支払うことで、相続のバランスをとる方法のことです。
【長男が自宅を相続する。長男は自宅を相続する代わりに生命保険金のうち3,500万円を次男に渡す】
この場合、長男が自宅不動産を相続すると、次男は相続するものがなく不公平になってしまいます。そこで長男の固有の財産である生命保険金から次男に相応の額の金銭を渡すことで、スムーズに遺産分割ができます。代償分割で問題になるのは代償金をどうやって準備するかです。このケースのように受取人を長男として生命保険にあらかじめ加入しておくことで、代償金を調達することができます。
生命保険を使った代償分割は、効果的な方法ですが、やり方を間違ってしまうと、贈与税がかかってしまうことがあるため注意が必要です。
【上記の条件で、自宅は次男が相続し、さらに長男が次男に500万円を払う】
生命保険金は相続財産ではなく、受取人の固有の財産なので、他の相続人に分けると個人の財産を贈与していることと同じになります。長男が次男に渡した500万円は、長男が次男に贈与したとみなされて贈与税の対象になってしまいます。贈与税は相続税と比べても税率が高いので気を付けてください。
その他、「遺産分割協議書に記載がない」、「遺産を上回る金額を支払った」場合も贈与税がかかる恐れがあります。
生命保険は、4つのポイントの特徴を活かすことで相続税対策になることがおわかりいただけたと思います。ただし、契約者、被保険者、受取人の関係によって課税される税金が異なり、契約内容によっては相続税対策にならない場合もあるため、相続手続きに精通した相続を専門とする税理士等の専門家への相談をおすすめします。
<本件に関するお問合せ>
ありがとう投信株式会社 カスタマーサービス部
フリーコール:0800-888-3900
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