マーケット動向・ファンド運用状況<月次レポート2017年9月より>
<8月のマーケット動向>
8月のマーケットの動きですが、前月から引き続き中国などのエマージング株式市場が世界株式市場を牽引する相場でした。4-6月決算発表がひと段落し、夏季休暇シーズンという事もあり序盤から中盤にかけては大きな動きはありませんでした。後半にかけて北朝鮮がグアム近郊へのミサイル攻撃の可能性を公言したことに対してトランプ大統領が激しい口調で反撃し、両国の緊張が高まりました。グアムへミサイルを発射しなかった代わりに、8月29日に日本上空を超える弾道ミサイルを発射し、一時的に世界同時株安が起きました。同時に米ドル/円では108円台まで円高が進行する局面もありましたが、月末までに月初の水準まで反発しました。
月間の騰落率としては、TOPIX(配当込み)は0.05%の下落、米国S&P500(配当込み)はドルベースで0.31%の上昇、欧州MSCIヨーロッパ(配当込み)はユーロベースで0.76%の下落、新興国MSCIエマージング(配当込み)はドルベースで2.27%の上昇となりました。
為替相場は月末時点で、米ドル/円が110円台前半と前月末比でほぼ同じ水準でした。また、ユーロ/円についても130円台前半となり、前月末比でほぼ同水準で月末を迎えました。
<ありがとうファンドの運用状況>
ありがとうファンドの7月月間騰落率は0.8%の上昇となりました。主にエマージング株式市場の上昇がありがとうファンドの基準価額上昇に貢献しました。
7月中の売買状況については、国・地域別配分新基準値への変更に向けて、キャピタルICAファンドを一部売却しました。また、コムジェスト・ヨーロッパファンドを一部売却し、アリアンツ・ヨーロッパセレクトファンドを買付け、スイッチングしました。
【資産配分(7月末)】
【ポートフォリオ(8月末)】
※「年率複利」は、過去の実績値であって将来の成績を保証するものではなく、またお客様ごとの購入時期によって運用結果は異なります。「年率複利」と「標準偏差」については、ありがとうファンド設定来(2004年9月1日)からのデータを基に、弊社にて計算しております。参考指数(円ベース)の騰落率についてはファクトセットよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
<今後の見通しについて>
今後の見通しについては、トランプ大統領の動向に一喜一憂するのではなく、あくまでも長期投資の視点からファンダメンタルズの改善に基づいた企業利益の成長に沿った成長銘柄が見直される相場になると考えております。下図では、リーマン・ショック前からの4国・地域のEPS(1株当たり利益)の水準をまとめました。足元5年ほど低迷していたエマージング市場と、ヨーロッパ市場は活気を取り戻しつつあります。
出所:ファクトセットよりありがとう投信計算、EPSは2007年1月末を1として指数化し2017年8月末までの推移
<今後の運用方針について>
今後の運用方針についてですが、世界経済はBrexit、トランプ大統領の選出、イタリア国民投票の結果などを見るに、保護主義・ポピュリズムが台頭するなど、大きな変革期にあるように見えます。株式市場という観点から考えると、リーマン・ショック後各国・地域は金融緩和で各々の経済・株式市場を支え各市場同じ方向に動く局面が多く見られましたが、保護主義が色濃くなってきた昨今では、ある意味各市場同士の相関が薄れ、分散効果が見られるようになってきました。このような環境下では、一つの市場だけに投資することは非常にリスクが高いと考えますので、特定の市場に偏ることなく幅広く分散投資することにより、長期的に持続性のあるリターンを享受できると考えております。その点、ありがとうファンドでは引き続き国際分散を推し進めることにより、世界経済の変革期に対応していきたいと考えております。
また、投資対象のファンドという観点からは、去年後半から金融関連銘柄といった景気敏感株の株価上昇が目立ちましたが、当ファンドではあくまでも長期投資を前提とし、長期で企業利益成長が見込まれる銘柄を発掘するファンドを厳選して投資を続けていきたいと考えております。投資対象国・地域についても、上図のEPS推移が示しているように、長く低迷していたエマージング市場、ヨーロッパ市場の企業利益改善にも注目しており、今後長期で伸びしろのある市場と考えております。
<投資先ファンドの状況について>
月間騰落率については、コムジェスト日本株式ファンド、ABエマージング・エクイティファンド、ABアメリカン・グロースファンド、コムジェストヨーロッパファンド、アリアンツ・ヨーロッパセレクトファンドが参考指数(円ベース)に対しアウトパフォームしました。組入銘柄の決算内容が好調だったことが堅調なパフォーマンスに寄与しました。特にコムジェスト日本株式ファンド内で組入第2位(8月末時点)の物流ソリューション世界最大手のダイフクは、第一四半期の決算発表に続いて通年の業績目標を引き上げました。これはEコマースの物流倉庫、空港の手荷物運搬システム、自動車工場、液晶パネル製造からの需要が強いことが要因でした。
【月間騰落率】
年間騰落率については、去年年初に原油安などからの資源銘柄安、またマイナス金利導入後で銀行をはじめとする金融銘柄などの景気敏感銘柄が大きく下げました。一方、昨年後半からのトランプラリーでは、そういった景気敏感株が買い戻された相場になったため、景気敏感株をほとんど保有しない当ファンドの年間騰落率は景気敏感も含む指数に対しやや低調なパフォーマンスになりました。
【年間騰落率】
【本文で使用している指数の注記】 騰落率は、FACTSETよりデータを参照し、弊社にて計算しております。
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