国・地域別資産配分比率見直しについて<月次レポート2017年5月より>
2017年05月19日(金)
先月、国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しレポートを公表し、2017年の世界経済成長率の予想を3.5%とし、1月時点の3.4%から0.1%引き上げました。
主に米国の大型財政出動や、欧州、日本などの先進国では製造業と貿易の循環的な回復を見込んでの上方修正でした。新興国は前回予想を据え置きましたが、依然予想成長率の絶対値は先進国対比で高く、足元の資源価格の回復・安定などから一部の資源輸出国では上方修正されました。
●IMF世界経済見通し
出所:IMFより、ありがとう投信作成
当ファンドでは、昨年9月月次レポート『より国際分散へ、国・地域別資産配分比率決定ロジックについて』で基準配分比率を適時変更するとお知らせしましたが、今回のタイミングをもって、基準値を国内株式:6%、海外株式(先進国):58%、海外株式等(新興国):33%、その他(現金等): 3%へ変更致します。
国内株式は前回7%から6%へ1%基準値を引き下げました。日本株は他市場に比べて割安の水準ではありますが、引き続き国内個人消費需要の長期低迷、海外からの需要についても依然為替頼りと長期で経済成長が見込めないうえ、やめられない金融緩和政策がエスカレートしていることを中長期的なマイナス要因として考慮し、引き下げを決定しました。
●日銀の爆買い:日銀の国債保有比率は40%近くへ...もう株価はついてこない
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成
●日銀の爆買い:日銀は上場投資信託(ETF)を通して日本株も買っている...いつまで買い続けられるの?
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成
海外株式(先進国)は、前回60%から58%へ2%基準値を引き下げました。主に株式市場の過熱感が高まる米国株式の配分を引き下げました。一株当たり利益(EPS)の相対的な伸びしろを考慮した場合、米国よりも欧州の方が大きいため、やや欧州の配分を増やしました。58%の内訳は米国28%、欧州30%程度を想定しています。
●企業利益の推移は新興国と欧州が出遅れていたが、底を打ち感があり、今後の伸びしろは大きい
出所:ファクトセットよりありがとう投信計算、EPSは2007年2月末を1として指数化
海外株式等(新興国)は、前回28%から33%へ5%基準値を引き上げました。足元では原油をはじめとした資源価格が安定的に推移していることなどが新興国の安定的な経済回復・成長に貢献しており、長期的には労働人口増、中間所得者層の増加、個人消費の増加といったメガトレンドから経済規模の拡大が期待でき、これらの点について前回変更時より確度が増した結果、基準値の引き上げを決定致しました。しかしながら値動きの大きな市場でもありますので、一部債券を組み入れることにより安定的な長期投資を目指します。
その他現金等については、前回5%から3%へ2%基準値を引き下げました。米国をはじめとした金融緩和からの出口戦略が進む中、金利は上昇傾向(債券の価格は逆相関で下落)にあり、株式市場への資金流入が続くと考えていますので、現金を持つより株式に投資した方が良いと判断しました。
●米国利上げ、金融緩和の出口戦略などは金利に上昇圧力→債券価格下落→株式市場へ資金流入
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成
また、詳しい各国・地域の見通しについては、5月後半から始まる半期運用報告会にて説明させて頂く予定でございますので、是非参加ご検討頂けると幸いです。
参考までにですが、新基準値を決定する際にベースとした、時価総額、純資産総額などのデータを以下に記載させて頂きます。
●時価総額、純資産総額の世界比較(過去12か月平均値)
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成
●名目GDPの世界比較(IMF世界経済見通し2017年4月より作成)
出所:IMFより、ありがとう投信作成
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