留学時に開設したバンカメの銀行口座を日本から閉鎖してみた件

2026年01月30日(金)

さて、今回のありがとうトピックスでは数年前にお話しした『Amazonで注文したものとは異なる商品が届いた件』に続き、私の身近な体験から長期投資まで深堀してみたいと思います。表題にもありますように、今回はさかのぼること数十年前に米国の大学院に留学していた際に開設したバンク・オブ・アメリカの銀行口座を日本から閉鎖してみた体験から、感じたことを徒然なるままに書いてみたいと思います。さて、通常皆様が日本の銀行の口座を閉鎖する場合、どういうアプローチをとるでしょうか?一番手っ取り早い方法は最寄りの支店に行けばいいだけで、窓口の方に口座閉鎖の旨を伝えれば事足りるでしょう。米国の銀行の場合でも同様で、支店に行けばいいだけです。ただここがなかなか難しく、ただでさえ円安で口座閉鎖だけのために米国本土に行くのもコストがかかりますので、残高との見合いで考える必要があります。私の場合は口座維持手数料が免除される最低残高+αを残し、数十年前に日本に帰国したのでわざわざ渡航費をかけてまで...という感じでした。当初は、閉鎖したかったら出張なんかで米国に戻ることもあるだろうし、なんならハワイのホノルルマラソンに参加するついでに現地の支店に行けばいいんじゃね~みたいに軽く考えていました。ところがどっこい、下の図を見ていただいてお分かりいただけるように、比較的日本に近いハワイには米国本土の大手商業銀行の支店はないのです...

 

【バンク・オブ・アメリカの支店フットプリント】

 

【チェース・バンクの支店フットプリント】

 

【ウェルズ・ファーゴの支店フットプリント】

出所:ファクトセットより、一部抜粋

 

 

さてさて困ったねということで、通常次に考える方法はオンラインバンキングサービスを使っての口座閉鎖になりますが、こちらも数年前ぐらいから米国本土に住所がない場合やソーシャル・セキュリティー・ナンバー(日本で言うマイナンバーみたいなやつ)がないとオンラインバンキングのサイトにログインすらできなくなっていたので、最終奥義であるカスタマーセンターに電話することになります。じゃ普通に電話すりゃいいじゃんと思われるかもしれませんが、これがなかなかハードルが高いのです。まず、日本にもバンク・オブ・アメリカの子会社であるBofA証券株式会社が日本橋にあるのでそこに来店or電話すればいいじゃんと思うかもしれませんが、日本法人は個人相手の銀行商売はしておりませんので直接米国本土の1.800で始まる電話番号のリアルカスタマーセンターに英語でかける必要があるのです。今までも数年間何も口座アクティビティがないと口座をinactiveにしますよとか州政府に残高差し止められますよみたいな手紙が日本の住所にわざわざ送られてきて、そのたびにカスタマーセンターに電話して事情を説明してきたので、数年おきの儀式がまた来たなという感じでしたが、これがなかなかこたえます。まず、先方が米国時間での対応なので日本の夜中に電話する必要があります。また、最近では経費削減の一環なのかカスタマーセンターのリアル人間の採用を減らしているようで、リアルな人間のオペレーターに電話がつながるまで長い時では1時間近く待ちます。むしろ、全くつながらない場合もあり、待ち時間中に流れるガイダンスを暗記できるレベルに達します。さらに、拍車をかけるように今まではSkype(スカイプ)を使い米国内の電話番号にタダで電話をかけていたので長期戦にも耐えられましたが、Skypeはマイクロソフトに買収されており、2025年5月5日にサービスを終了していたのです!どうやって電話すりゃいいんだ!と叫びたくなりました。仕事と育児介護の合間、米国のリアル電話番号にかけられる格安アプリを何とか見つけるのに1ヶ月かかりました...これがすごいコスパで10米ドルぐらいで1,200時間ぐらい国際電話できるらしいので昨今問題になっている海外からの詐欺電話はこういうアプリを使うのかな?と感じた次第です。

 

なんとか国際電話できる環境が整い、いざ決戦ということで電話してみると...事前の予想通り1時間待たされて、人間のオペレーターにつながりました。次に本人確認をするのですが、留学当時のパスポートは期限が切れていて新しいパスポートではパスポート番号が変わっていますし、もちろん留学ビザも切れています。こうやってなかなか話のかみ合わない時間帯が続きます。しまいには『オンラインでも閉鎖できるからオンラインにログインしたらどう?』とか提案されるも『米国本土に住所がないこととソーシャル・セキュリティー・ナンバーを持ってないのでログインできないからここに電話しにきてるんです』とこちらが教える感じになっていきます。そして『I see...let me check with my manager...』と言われ、偉そうな方が出てきて話してみたり、不正関連の調査部の人と話してみたりして、その都度また『パスポート番号が異なる件から何故オンラインにログインできないのか?』まで同じ話を説明し本人確認を何とか終えて、やっと口座閉鎖についての話が始まります。この時点で電話を開始して2時間近くかかります。すごく眠いです...

 

で、次は口座に残っている米ドル残高を日本の銀行口座にどうやって送金するかが焦点になります。妻も以前ウェルズ・ファーゴで同様のコミュニケーションを経て口座閉鎖をしており電信送金(wire transfer)で対応してくれたと言っていたので、私もワイヤートランスファーでお願いしますとお伝えしたところ、当行では対応していないと言われ、小切手の郵送で対応するとのことでした。おっと...日本の銀行で海外銀行発行の小切手を扱ってくれる銀行が存在しているのか...と不安になってきました。ということで、一度その点を調べてみますと伝え電話を切り、海外銀行発行の小切手を扱ってくれる国内銀行探しの旅が始まりました。調べてみると、国内ではとある大手信託銀行のみ対応しているようで、そちらの口座開設などをして、さらに1か月ほど時間がかかりました...

 

そして再度2時間電話にチャレンジです。また1時間待たされて、本人確認をもう1時間やってみて...残高分の小切手を郵送して下さいとお伝えします。また、前回の電話の際に口頭で新しい住所に変更してもらっていたのですが、その電話の後に届いた月次残高のお知らせの手紙に印字された住所には『1CHONE(1ちょう)~』と書いてあり、郵便局は寛容なので『1ちょう』じゃなくて『1ちょう』でも届くかもしれないが、安心安全が1丁目1番地を自負しているであろう日本の大手信託銀行が小切手を換金する場合は、一文字一文字全合致しないとだめかもしれないというリスクを回避するために、念には念を入れてもう一度一文字ずつなが~い日本の住所をオペレーターのお姉さんに伝える作業が始まります。『instead of CHONE, it should be CHOME, M as in Mother』みたいな感じで一字一句間違わないように丁寧な対応に追われます(夜中の2時ぐらい)。正直相手も本人確認するだけでも超めんどくさい日本人のおっさんから電話を受けて、聞きなれない言語の地名の綴りを一字一句確認するのは超生産性の低いプロセスで、what a day!と思われたことでしょう。最後に為念住所をもう一度ご確認いただき、やっと完璧な住所になったので『Yes, CHOME, CHOME!!』不適切にもほどがある大声で喜んでしまいました。横でリモートワークしていた妻が『あんたこんな夜中に誰と電話しての?』とツッコミを入れるレベルでした。これで長い長い旅の終わりが見えてきました。最後に万が一小切手が届かないなんて場合も想定し、何週間後ぐらいに日本の住所に届くかなども確認し、オペレーターのお姉さん曰く遅くとも2週間ということでしたので、即メモりました。最後の最後に、『電話対応の品質改善のため電話の後にメールでフィードバックリクエストを送るから対応してね』と言われたので、『超感謝している旨書きます!』と言ったのですが、メールが送られてこなかったのでこの場を借りて感謝申し上げたいと思います。今の時代、リアルな人間に電話がつながるだけでも有難いものです。バンク・オブ・アメリカのオペレーターのお姉さん39 so much!!

 

で、終わらないのが海外口座あるあるです。遅くとも2週間で届くと言われた小切手ですが、1ヶ月近く経っても届きません...これはまた2時間電話の再来かと思った2025年のホリデーシーズン、サンタに祈りが通じたのか家のポストにひっそりと小切手が入っていたのです。リアルに有難いものです。年末年始のごたごたが終わり、先週例の大手信託銀行に小切手を持って行き手数料5,000円を払い、小切手の換金をお願いしました。規制環境の変化や物価高騰のあおりを受けてか、4月以降の手数料は20,000円になるそうです。小切手を米国に郵送してから送金になるということで問題がなければ2週間後には日本国内の口座に米ドルが着金するそうです。不渡りになった場合はさらに手数料5,000円を取られるそうです。そうなったら...また2時間電話でしょうか...信託銀行窓口のお姉さんに『私と同じようなケースはどれぐらい見られますか?』と試しに聞いたところ週に3名ほどいらっしゃるとのことでした。私のこの体験談が響く層はかなり限られていると思いますが、同じ境遇の方の参考になりましたら幸いです。

 

 

さて、長々と書きましたが、この一連の体験談から何が学べるのでしょうか?

 

まずは英語の重要性です。ちょうど今は大学受験シーズンですが、満員電車に揺られながら参考書片手に勉強する学生を見かけると『頑張って!』と声かけたくなります。昭和生まれの私は中学校1年生から英語の授業を受けました。『This is a pen. Is this a pen?』みたいな見りゃわかるだろう系の英語学習から始めました。高校に入ると『To be, or not to be, that is the question.』みたいな哲学的要素maxみたいな英語になり、どういうシチュエーションで使うんだよ!とツッコミたくなるレベルでした。その後板前修業を経て、板前修業したらアメリカ武者修行してもいんじゃね?ということで最初はカナダ、次にアメリカへ留学しました。これらの留学で体験したことは過去6年以上日本で勉強した英語はほぼ無駄な努力で、最初にカナダで過ごした1週間のほうが実りが多かったということです。現在の教育課程では小学生から使えない英語を学び、『少しでも良さそうな英語教育をさせないと!』みたいな脅迫概念でアオられて子供達に中学受験をさせる親御さんも多いようです。こういった生産性の低い無駄な時間を過ごすよりは、小学生や中学生の課程で1年ぐらい英語圏に行けば最もコスパが高い気がしますが、共働きで時間がなく、円安で留学費用も出せないというジリ貧状態に陥っている気がします。加えていえば、大学入学試験についても使えない英語の試験をするのではなく、英語圏のカスタマーセンターに電話して英語で本人確認と住所変更できたらくだらない試験免除みたいにした方が将来『働いて×、稼いで×5、納税して×5、社会貢献して参ります』的有望な世代が生まれるのかもしれません。(あくまでも私の個人的な見解です)

 

【日本の英語学習の投資効率はどう?】

出所:『カネを眺めて100年人生』より、一部抜粋

 

円が安すぎて留学どころじゃないよ~

米就労ビザ(H-1Bビザ)の申請費用が約1,500万円ですからね~

【パスポート保有率とドル円相場の推移】

出所:『ますます内向きになる国』より、一部抜粋

 

 

他に気づかされた点は、送金システムの進化です。ずいぶん前になりますが『BNPLとは?』で言及したように今は私が留学していた数十年前と比べ新しい決済システムや送金システムが登場しています。私の留学時代は現地銀行口座への送金一択でしたが、最近の留学界隈では安い手数料で使えるアプリを介しての送金やステーブルコインでの送金なども使われていると聞きました。小切手とかワイヤートランスファーは時代遅れなのかもしれませんね...

 

さらにもう一つ学びがあるとすれば...、小切手を換金する際に大手信託銀行の広告を見たのですが、そこには『1ドルのものは、1ドルで買う。』というキャッチフレーズが書かれており、当たり前のことを言っているだけだね思われがちですが、こういう広告が出る背景としては1ドルを稼ぐのに多くの円と労力がかかっている裏返しのように感じました。『1ドルのもの=1ドル』などのフレーズはわかりやすく響くのかもしれません。同じくわかりやすい表現に『1丁目1番地』というフレーズがあります。今回の衆議院選の『1丁目1番地』は何でしょうかね。消費減税でしょうか、社会保険料の引き下げでしょうか、耳ざわりがよろしいですね~。選挙中は『円安=輸入物価高騰=物価高=消費者悲しい=票減る』受験必出公式が成り立つため、為替介入を続けるかもしれませんが、選挙が終わったら『3丁目9番地』ぐらいになっているかもしれません。日本が世界の真ん中で咲き誇るためには安定した通貨と海外でも活躍できる人材が必要かと思われます。

 

【国民負担率の推移】

出所:『令和時代も五公五民』より、一部抜粋

 

 

そして一番重要な学びは、体験するという点にあると思います。正直、今回の私のような境遇の方は少ないと思うので全く共感できない人も多いでしょう。しかしこの深夜2時間同じような電話×3回ぐらいを経て勝ち取った口座閉鎖&小切手の達成感は体験した本人でしか味わえないものです。私は投資も体験することが重要だと考えています。最近では家庭科で金融教育をされるそうですが、投資に限って言えば金融リテラシーとか高尚なお話ではなく、英語と同じで毎日の生活で使って習得する部類のものでしょう。よって、自分でアルバイトして稼いだ大切なお金で投資をしてみて、損してみて、悲しくなってみる。そこで自分にはこういったリスクは許容できないと考えるのであれば、無駄な時間を投資に割く必要がなくなり他のことを学ぶ時間に使えますし、一方投資は続けたいけど次は失敗したくないと考えるのであれば、そのために何を学ぶべきかを自分で調べるようになります。ライフプランや進路を決めるのも同じロジックで対応できるでしょう。先に触れた大学受験を例にすると、『周りの友達が進学するから』とか『無償化で進学しないと損だから』とかいう理由ではなく、大学で本当に学びたいことがあるのであれば一旦板前修業でもしてお金を貯めてからアプローチしてもいいかもしれません。そうやって自分でお金のやりくりをしていたら自然と金融リテラシーなんて身につくものです。ここ数年毎年のように国民の信を問われてうんざりしていたところ、足元また騒がしくなってきましたが、こういった機能不全を目の当たりにするといい加減自分で考えて自分で行動しないといけない時代になっているのかもしれません。

 

当ファンドで長期投資を実践されてマーケットの良い時も悪い時も経験されてきた受益者の皆様においてはこの点を改めてお伝えする必要はないかと思いますが、これから投資を始める方は『NISAしないと損だから』とかではなく自分で長期投資の目標を設定し、自分で許容できるリスクも定め、長期投資に挑めば暴落とあおられても心穏やかに過ごせると思います。

 

おまけ:

最初のカナダ留学で初めて口座開設したRBC(ロイヤル・バンク・オブ・カナダ)の支店フットプリントも調べてみました!もちろん口座閉鎖はdoneしてま~す♬RBCの子会社のRBCブルーベイ・アセット・マネジメントにはありがとうファンドの新興国株を担当してもらっております。この場を借りて感謝申し上げます。

 

こうやってみるとグリーンランドは重要そうな場所にありますよね~

【RBCの支店フットプリント】

(カナダ内)

 

シアトルの人はバンクーバーに行けよみたいな感じでしょうか

お酒飲める年齢がカナダのバンクーバーの方が低かった気がします

調べたらカナダのバンクーバーは19歳以上、米国シアトルは21歳以上で飲酒OKらしいです

19~20歳の米国人は越境飲みの際に支店行けそうですね♪

【RBCの支店フットプリント】

(米国内)

出所:ファクトセットより、一部抜粋

 

 

39!

ありがとう投信株式会社

ファンドマネージャー 真木喬敏

 

         

 

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【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)

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【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)

【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)

【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)

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