もしもしアメリカさん
先日、北海道の実家に帰った際、父が利用している介護施設に向かうクルマの中で、弟と最近観た映画の話になりました。我が家では未就学児がいるので直近観た映画といえば...『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー! ドキドキ・ゲームの世界で大冒険!』でした。子供達にとって映画館は初めてということで、前日から楽しみにしていました。私自身も『君たちはどう生きるか』以来映画館にいっていなかったので、子供用の映画タイトルではありましたが少しワクワクしたものです。結果は、下の子はプリキュアの衣装を着てやる気満々で向かったものの、映画館の暗さが眠気を誘ったのか、開始30分で爆睡していました。チケット代大人2,000円、子供900円×2は少し損したかもと感じたものです。さて、一方弟が最近観た映画は『シビル・ウォー アメリカ最後の日』だったそうです。タイトルからして全米が泣く感動的な映画ではなさそうですね。違う意味で泣いちゃう人はいるかもしれませんが...
さて、前置きが長くなりましたが足元では米大統領選まで2週間を切り、マーケットでは毎日のように『もしトラ』、『もしハリ』と騒がしくなってきました。今年の7月にバイデン大統領が選挙戦撤退を表明し、その後ハリス副大統領が民主党の大統領候補になってからは、ハリス氏優勢との報道が多かったのですが、彼女が正式に大統領候補になってから3カ月経ち、目新しさも無くなりハネムーン期間は終了したとの観測も出てきています。一方、トランプ前大統領が創設したSNS「トゥルース・ソーシャル」の運営企業「Trump Media & Technology Group Corp(TMTG)」の株価は足元急速に上昇しています。皮肉にも、株価はどんな先行指標よりも早く投資材料を織り込むと言われますので、『もしトラ』の確度が上がっているのかもしれません。いずれにせよ、選挙は最後までどうなるかわからないものです。一番のリスクは、ひょっとしたら大統領選の投票日である11月5日に勝者がきまらないことかもしれませんね。そうなったら、米国内に混乱が広がりリアルにシビル・ウォーに一歩近づいてしまうかもしれません。結果がどうなるにせよ、事前にどちらかの候補に賭けるような投資行動や、選挙前に一旦マーケットから退出するようなことはせず、余裕資金の積み立て投資で乗り越えるべきでしょう。
【TMTGの年初来からの株価推移】
出所:ファクトセットより、一部抜粋
政治の話をしてもキリが無いので、株価を考えるうえで一丁目一番地である企業利益をみてみましょう。確かに米国株は底堅く上昇していますが、企業利益の推移から大きく逸脱しているようにはみえません。もちろん新しい大統領の政策次第では企業利益予想にも悪影響が出て、株価は調整を余儀なくされる可能性もあります。しかしながら、以前から述べているようになんだかんだ言って米国は世界有数の資源国であり、さらにイノベーションが生まれる環境も整っているので、長期的な企業利益の成長という点ではあまり心配していません。よって、たとえ株価が調整したとしても他の国・地域マーケットと比較してより長期投資に値する市場との理解です。
【株価と企業利益の推移】
出所:ありがとうファンド第20期運用報告会資料より、一部抜粋
むしろ、心配すべきは日本の状況ではないでしょうか?ウクライナ戦争、イスラエル・ガザ戦争などにみられるように、既に国際秩序は大きく揺らいでいます。それは遠い海の向こうのお話しで、『スーパーのお米が高くて困るのよ~』と言っている日本はまだ平和なのでしょう。冷静に現状を整理してみると、エネルギー自給率はロシアからの安価な天然ガスに頼れないドイツより低く、食糧自給率も同じ島国の英国よりも低位です。原油の輸入先のほとんどが中東の国々。もし台湾有事が起こったら原油タンカーは海峡を無事に通れるのでしょうか?資源を輸入に頼る日本はもう少し危機感があってもいいのかもしれませんね。米国がくしゃみをすると日本は肺炎になると揶揄されるぐらいですから、もしアメリカさんで内戦なんておこったら、一番悪影響を受けるのは日本なのかもしれませんね。と、どこかの野党みたいなことを言ってみました。
【主要な先進国のエネルギー自給率】
【日本の原油輸入先(2022年)】
【主要な先進国の食料自給率】
大騒ぎした米の自給率は99%...
【日本の食料自給率詳細】
(カロリーベース、2022年度)
出所:資源エネルギー庁資料、農林水産省資料より、ありがとう投信作成。エネルギー自給率:日本は2020年度確報値、その他は2020年推計値。食料自給率:日本は2020年度確報値、その他は2020年、英国は生産額ベース
資源を持たず、需要も外需頼り...
アメリカさんから需要を頂いている限り
誰が大統領になっても米国への設備投資は増える...
国内経済は長期停滞でも大企業の株価だけは上がり続けるのか?
【日本企業の海外生産・売上比率の推移】
出所:ファクトセット、国際協力銀行より、ありがとう投信作成
冒頭の映画館の話には続きがあります。弟は北海道の地方都市に住んでいるのですが、彼は仕事が終わった後定期的に映画館へ映画を観に行くそうです。彼のザックリとした定点観測によると、7割ほど彼の貸し切りになるそうです。流石にエイリアンの新作を貸し切り状態で観たときは少し怖かったと言っていました。この現状に至った背景を考えてみると...単純に地方に人がいない、大人2,000円のチケットが相対的に高い、子育・介護や共働きで忙しくてそんな時間が無いなどが浮かびました。視点を変えて、供給側の状況を考えてみると、ライバルのAmazonのプライム・ビデオ、Netflix、YouTube等の動画配信サービスの方が安価で時と場所を選ばず視聴でき、早送りもできるからコスパが良いため、映画館にわざわざ足を運ぶ必要が無くなったなどが浮かびました。それはそれで、デジタル赤字拡大につながるので由々しき問題だと思いますがね...
さて、以上今月はアメリカさんの大統領選挙についての雑感でございました。つまるところ、毎回変わらない結論で恐縮ですが、多くの日本人の方が国内で日本円しか稼げない状況のなか、金融所得ぐらいは米国など海外に分散させることは理に適っていると思います。また、米大統領選を含む足元の投資環境につきましては、只今全国6都市で開催しているありがとうファンド第20期運用報告会でも解説させていただいておりますので、是非ご参加ご検討いただけますと幸いです。
長期保有している金(ゴールド)の話もしてま~す♬
本当は金価格が上がらない世の中の方が平和でよろしいような気もします...
出所:ありがとうファンド第20期運用報告会資料より、一部抜粋
39!
ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。
◆株価指数について:記載されている各国・地域市場の指数は特別注記が無い場合は以下の指数を使用しています。
【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)
【世界株】→FactSet Market Indices World 配当込み(税引き前配当再投資)
【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)
【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)
【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)
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