日本の輸出依存度
昨年来、世界の主要国中で日本経済の落ち込みが目立って大きかったことから、日本経済が輸出に依存し過ぎていることを反省するような機運が強まりました。内需を盛り上げねば、国内消費を伸ばさねばと、何だかバラマキ政策の根拠に利用されてしまったような感じもあります。
こうした議論を受けて、日本の輸出依存度は実は高くない、という指摘もなされています。輸出額のGDPに占める割合は2008年度は16%。これは主要国の中では米国を除けばほぼ最低の水準です。EU諸国のようにお互いに国境を接し通貨も統合されている国々と比較することに、あまり意味があるとも思えませんが、それにしても、この程度の輸出依存度でも輸出依存経済になっている、またはそう思われていることには間違いありません。株式市場も円高になれば輸出への影響を懸念して株価が下がります。どうしてそういうことになっているのか、ちょっと頭の中を整理してみました。
まずは変化率の問題です。金融危機で途切れるまで続いた景気拡大。実感を伴わないとさんざん言われましたが、この間の経済成長はまさに輸出依存でした。GDPに占める輸出額は10年ほど前には10%程度だったものが16%まで駆け上がりました。そして輸出品目。日本の主要な輸出品は言わずと知れた自動車ですが、その他にも電気機器や一般機械などが並びます。輸出品が食料や衣類などの生活必需品であれば、景気の荒波の中でも急速に減少することはなかったでしょうが、機械類や自動車では高波をまともに受けてしまいます。日本の輸出はとにかく非常に景気敏感な品目で構成されているわけです。
株式市場では輸出依存度はどの程度でしょうか。公式な統計があるわけではありませんが、輸出比率の高い業種、低い業種、どちらとも言えない業種、と分類してみると、高い業種の時価総額が全体の3割、どちらとも言えないのが2割強、低い業種、いわゆる内需が5割弱となりました(東証一部)。3割という比率はGDPの内訳よりは遥かに高いけれど、存在感としてはもっとありそうにも思えます。トヨタをはじめとする優良企業が輸出企業ですし、それらの企業の業績が、為替によって大きく変動することもあって、株式市場全体が何となく為替敏感になってしまっているのでしょう。
昨今は、小売り・食品・日用品のように、従来内需型産業と呼ばれてきた産業の中でも、海外市場で活躍する企業に勢いがあります。内需の活性化にはやはり何らかの助けが要る状態のようで、日本の経済にとってはそこを何とかすることが望ましいのは明らかですが、各企業レベルで見れば、内需主導などとは言っていられません。国境を越えた企業活動は、益々盛んになるはずです。優秀な企業は国内の停滞にも負けずに成長してくれるでしょう。株式市場も、国内経済以上の成長を見せる可能性が大いにあるわけです。
ありがとう投信ファンドマネージャー 川元 由喜子
2009.9.16


