ありがとう39ランキング【世界は広いよ!:時価総額比 運輸セクター編】 後編

航空貨物・航空輸送業種について】

さて、次は航空貨物・航空運送業種について見てみましょう。時価総額比2位ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)が同業種間のトップになっています。それに、5位フェデックス8位ドイツポスト(DHL)が続きます。宅配便の売上高シェアを表した下図を参照すると、これら3社で世界の宅急便市場の半分以上をカバーしています。大手3社は自国に限らず世界各地に拠点を有し、陸運、空運を統合してグローバルで迅速な宅配を可能にしています。一方、41位ヤマトホールディングス(ランク外)は世界大手3社に比べるとまだまだ国内事業の比重が大きく、売上ベースでも大きく差をつけられています。17位順豊控股は中国発の総合物流サービス企業です。国内外で大規模な拠点を構築し、日本にも2011年2月に日本法人を設立しています。今後の伸びに期待ですね!

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成、データは2018年10月末時点で抽出できる直近データ、na、-は開示情報が無いか、ファクトセットのデータベースに無いデータ。ROIC ( Return on Invested Capital)は投下資本利益率のこと。   

       

    

売上高シェア(世界、宅配便)

出所:ファクトセットよりありがとう投信作成。売上高データは各社全体の売上高から宅配便関連事業分をファクトセットより抽出、2018年10月時点。

         

          

5位フェデックスのロゴは皆さんもどこかで見かけたことがあるのでは?

実はロゴの中に宅配屋さんならではのメッセージが隠れています!

Eとxの間をじーっと見ていると・・・→

        

        

収益性は、前編で紹介した鉄道業種と比べると大分見劣りしてしまいますね。39位詳細比較リストの従業員数を比較すると鉄道業に比べて多くの従業員を抱えている点に気づいていただけると思います。人件費もばかにならないのでしょう。特に近年日本では、宅配クライシスと言われるように、慢性的な人手不足であるにもかかわらず競争激化で低価格を保ってきたことから、厳しい経営環境が続いてきました。41位ヤマトホールディングス(ランク外)の利益率の水準を見ていただくとそれを物語っているようです。こういった背景から近年物流業界では各種プロセスの自動化を推し進めています。ありがとうファンドが投資している企業はどちらかというとそういった自動化ビジネスを提供している企業になります。魅力的なネット通販の拡大を自動化ビジネスの成長で享受していこうという考えでございます。

        

EBITDAマージン比較

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。データは四半期ごとで、2018年9月末までの推移

        

                     

主な航空貨物・航空輸送業種銘柄の株価推移

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価(すべて日本円ベース)は2007年末を100として指数化、2018年10月末までの推移。17位順豊控股については、期初のデータが無いため割愛。

       

                

                                 

旅客航空輸送業種について】

運輸の花形がやってきました!私の大学の教え子達の中でも将来はパイロットやCAになりたいという子は依然として多いです。でも、本当にそんな華やかな業種なのでしょうかね?下図のマーケッシェアを見てパッと気づくこととしては、多くの競合他社がいるということです。34位日本航空38位ANAホールディングスの2社で国内シェアのほとんどを占めていると思いますが、グローバルな競争環境は厳しいものがあるようです。さらに近年LCC(格安航空会社)の浸透により、大手エアラインの価格決定力はさらに低下していくことでしょう。26位ライアンエア・ホールディングスは欧州最大規模のLCCです。27位インターナショナル・コンソリデーテッド・エアラインズ・グループはなんかスゲー名前長くて聞いたこと無いよ!と思われるかもしれませんが、イギリスの代表的エアラインのブリティッシュ・エアウェイズとスペインの代表的なエアラインのイベリア航空の持株会社です。競争が激化する業界で、経営統合による合理化を進めるべく、2011年に設立されました。

                         

売上高シェア(世界、旅客航空輸送)

出所:ファクトセットよりありがとう投信作成。売上高データは各社全体の売上高から旅客航空輸送関連事業分をファクトセットより抽出、2018年10月時点。

                  

エアラインの収益性は、いわゆる景気敏感型です。ジェット燃料の価格の変動は激しく、さらに競争が激化していることから燃料上昇分を顧客に転嫁することも難しく、厳しい経営環境です。追い打ちをかけるように、機体の購入・リース・メンテナンスにも多額の設備投資を必要とします。但し、近年原油価格が低迷する中では、利益率を改善させています。下図では2013年頃からの利益改善が顕著に見えますね。ありがとうファンドでは、あまり景気敏感銘柄を保有しない方針でございますので、原則大手エアラインは保有しない方針です。しかし、近年インバウンド消費の拡大で特にアジア地域でのエアライン利用が増えているのも事実です。当ファンドではそういった世界の旅客航空輸送に関する需要をエアライン銘柄を保有することにより享受するのではなく、エアラインの縁の下の力持ち的企業を保有することによって旅客航空輸送業界の成長を享受する考えです。詳しくは以前『景気サイクルに影響を受けにくい質の高さとは?:アマデウス IT グループ(スペイン銘柄)』で書いていますので、ご参照下さい。

                   

EBITDAマージン比較

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。データは四半期ごとで、2018年9月末までの推移

                      

                     

主な旅客航空輸送業種銘柄の株価推移

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価(すべて日本円ベース)は2007年末を100として指数化、2018年10月末までの推移。25位アメリカン航空グループと34位日本航空については、期初の時点で上場していなかった等の理由によりデータが無いため割愛。

                              

                  

おかげさまでありがとう39ランキングシリーズも今月で4回目になります。毎回もう少し深掘りしたいのですが、39位もあると企業数が少し多くて、ブログでは書ききれないことも多くありますので、来年から数回に分けてセミナー等でもう少し詳しく&わかりやすく説明させていただければと思います。では、続きはセミナーで!


39!

ありがとう投信株式会社

ファンドマネージャー 真木喬敏

         

◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。

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