バブルなの?

2025年10月24日(金)

さて、株式市場は日経平均株価が市場初めての5万円台突入か!?みたいな感じでお祭り騒ぎの展開ですが、受益者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。金融資産を持たない層の多い日本では、株価は日々過ごしている実体経済と乖離してバブルだ!と思われるかもしれません。本当にそうでしょうか?下図ではいわゆるお金の供給量と世界株の推移を示してみました。世の中にカネがばらまかれた分だけ、それに沿って株価が上昇しているようにも見えます。お金が増えれば、お金一単位当たりの価値が相対的に下がり、いろんな言い訳ができてモノが値上げされやすくなり、企業の売上高も上がり、企業利益も上がります。そのうち、原材料価格も上がり、気が付いたら給与も上げないと人が雇えなくなるので人件費も上がり、このままだと企業利益が減っちゃう!株主に怒られちゃう!ということでモノ・サービスのさらなる値上げが起こり...を繰り返すと企業利益の成長を織り込む形で株価も上昇していきます。賃金と物価の循環がちゃんと起こっていれば、世の中全体としてはハッピーですが、現実はそう簡単にはいきません企業利益は誰のもの?参照)。つまるところ、会社の経営者と株主は足元の堅調な株式市場は当然だよねと思う反面、株などの金融資産を持たない者が違和感を感じているということでしょう。一方、株高の背景にあるマネーサプライが逆回転して減少したら...と心配される方もいらっしゃるかもしれません。少子高齢化の進む先進国では、格差がどんどん拡大して、なんだかんだ言って金をばらまく動機があるので、この点はあまり心配しなくてもいいと私個人は考えています。(百聞は一見に如かず参照)

 

【お金の供給量と株価】

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。マネーサプライは米国・ユーロ圏・日本・中国のドル建てM2の合計。世界株は2015年10月末を100として指数化

 

 

海の向こうの米国株もなんだかんだ言って堅調です。ついこないだまで『解放の日』で世界的に株価が大暴落したと思ったら、AIブームで数か月後には米主要株価指数は史上最高値更新を続けています。トランプ大統領が独立記念日の7月4日に署名し成立した『一つの大きな美しい法案』で設備投資費用の即時償却を復活・拡張させたことも追い風だったでしょう。大きくて美しいことがNo1みたいな価値観はいかにも米国人らしいですね。下図では米国株式市場において時価総額の大きな3銘柄の株価と企業利益(予想EPS)の推移とそれぞれのバリュエーションを示してみました。いわゆる大手ハイテク銘柄のバリュエーションになりますが、株価は企業利益に沿った動きをしており、1990年代のドットコムバブルの主要ハイテク銘柄のバリュエーションが100倍近かったことを考慮すれば、決してバブルとは言えない状況だと思われます。もちろんAIストーリーがとん挫して、膨大な設備投資の回収目途が立たなければ企業利益ももちろん下方修正されるので、振り返ってみたらバブルだったねみたいなこともありえます。詳しいことは現在全国6ヵ所で開催している第21期運用報告会でも解説しておりますので、是非ご参加いただけますと幸いです。

 

さて、表題にあった『バブルなの?』という問いに答えるのであれば、『そんなのわからない』としか回答できません。かといって、わからないから長期投資をやめる理由にもならないと思います。残念ながらどんなに規模の大きな機関投資家であっても『一つの大きな美しい株式市場』を予測・コントロールすることはできません。短期的に株価は期待と不安が交差し形成されるわけですから、行き過ぎた期待が失望に変わりいわゆる大暴落することもあるでしょう。長期投資をするうえで重要なことは、たとえ期待が剥落したとしてもお金が戻ってくるようなダイナミズムを有する国・地域・企業への分散投資を継続することでしょう。大暴落!とアオられても、自身の投資のゴールを思い出し、自分自身をコントロールし、余裕資金で長期投資に向き合っていただけますと幸いです。まちがってもそういったノイズやお金にコントロールされることの無いようお気を付けください。

 

【米国株式市場時価総額TOP3のバリュエーション】

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。各種データは2019年1月末から2025年9月末までの月次推移

 

 

最後に、金(ゴールド)もバブルじゃないの?というお声もありますので、下記に当ファンドのゴールド投資について書いた回のリンクを貼っておきます。足元の投資環境はトランプ大統領が返り咲き『不確実性が増すことだけは確か』だと考えておりますので、金はさらに輝きを増すと考えております。(金が輝けば輝くほど、世の中おかしくなっていくので決して喜べませんが...)

 

●古くて新しい資産、金(ゴールド):2023年10月11日(水)

https://www.39asset.co.jp/blog/2023/10/001919.html

 

●金の爆買い?:2024年4月24日(水)

https://www.39asset.co.jp/blog/2024/04/002009.html

 

●金の重さ:2025年5月1日(木)

https://www.39asset.co.jp/blog/2025/05/002159.html

 

 

39!

ありがとう投信株式会社

ファンドマネージャー 真木喬敏

 

         

 

◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。

◆株価指数について:記載されている各国・地域市場の指数は特別注記が無い場合は以下の指数を使用しています。

【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)

【世界株】→FactSet Market Indices World 配当込み(税引き前配当再投資)

【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)

【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)

【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)

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