金(ゴールド)投資について【前編】

2017年10月18日(水)

 今回は、金(ゴールド)投資について取り上げたいと思います。

 

 金(ゴールド)と言えば、学校の歴史の授業で習った古代エジプト時代より黄金の輝きとともに富と財産の象徴であり、権力者が沢山の金を所有しているイメージを抱かれているのではないでしょうか?あるいは、お金持ちが金の延べ棒を自宅金庫に沢山持っているイメージがあるかもしれません。また、金は指輪やネックレスなど宝飾品としても広く流通しております。このように、富の象徴でもあり、庶民の憧れでもあるのが、今も昔も金(ゴールド)の魅力かもしれません。

  

  

 また、現在は貨幣経済ですが、円にしてもドルにしても紙幣それ自体はただの紙切れですが、中央銀行による信用があるので通貨としての価値が担保されています。実はこの紙幣についても1971年のニクソンショック以前は金による裏付けが必要で各国の中央銀行は一定量の金を保有しておりました。そのため、無制限に紙幣を発行することはできない状態でしたが、現在は金の裏付けがなくても中央銀行がお金を自由に刷ることができるようになりました。日銀やFRB、ECBなどの中央銀行が金融緩和でお金の量を自由に増やせるのも金の裏付けが必要なくなったおかげだと言えるでしょう。

  

 

 さて、そのような金(ゴールド)についてですが、資産運用の世界では昔から実物資産として資産の中に一定比率を保有することが富裕層の間では行われてきました。

 

 一般的な金に投資することのメリットとしては、実物資産であるためインフレに強く、通貨と違ってそれ自体に価値があるため通貨の代替となること、株式や債券などの他の資産との相関が低いこと、「有事の金」と言われるように安全資産として市場混乱時や暴落時において、テールリスクをヘッジして資産保全できることなどが挙げられます。

 

 一方のデメリットとしては、金は、現物の保管や輸送費用などがかかること、保有していても債券のように金利が付かない(インカムがない)こと、株式のように利益成長による価値の増大が期待できないことなどが挙げれられます。しかしながら、デメリットである金現物の保管費用等の問題は、金ETFの登場などにより改善されており、ポートフォリオへの組み入れが容易になってきております。また、金利が付かないデメリットに関しては世界的な低金利、マイナス金利によって影響が小さくなってきております。

 

 

 

 

 

 金の在庫は、2016年末時点で18万6790トンあると言われており、需要の約半分である48%は宝飾品が占めており、投資需要は21%に過ぎません。そのため、ファンダメンタルズで見れば株式や債券などの投資需要以外の実需の増加による価格の上昇も見込むことができると言えます。特にインドや中国における需要は増えている一方で、供給には制限がありますので金市場を支える要因になっております。

 

 金への投資方法としては、金延べ棒や金貨への投資、金先物、金鉱株、金の投資信託、金ETFなどがあり、それぞれ下図のようにメリット、デメリットがあります。

 

  

   

  

(後編へ続く)

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