常識の常識
数年前のことですが、父の日のプレゼントとしてアマゾンで日本酒を注文し、実家へ送りました。その後、父の日当日に父から電話が来て、『置き配で注文するなんて非常識だ!二度と置き配で送るな!』とキレられました。そのありがたいお言葉をいただいて、『今後置き配でしか送れない人間になると仮定すれば、もう二度と高い日本酒を買わず、送らなくていいんだ、ラッキー!』と解釈したものです。2024年の働き方改革でトラックドライバーの労働時間上限規制などの背景から置き配や宅配ボックス、コンビニ受け取りなどで再配達を減らす施策が広がり始めました。今月はこれからブラックフライデーのセールで配送物が増えると考えられるので、ただでさえ未曽有の人手不足の中、配送業者の方々は大変そうですね。もちろん『置き配』は盗難リスクがあるので、配送方法の『新しい常識』にはなっていないのかもしれませんが、すぐに配送の人手が増えるような感じでもないですし、長期的にオンラインショッピングの需要が減少するとも思えないので、需給を考慮すれば『置き配』の利用は増えていくことでしょう。特に共働きの我が家としては、もし『置き配』が無ければいつ受け取ればいいんだよと『モームリ』なレベルです。このように、常識は時代によって変わるものでしょう、もちろん世代間でも異なりますし、富裕層と中・低所得層のような階層別でも異なる常識を有することでしょう。
未就学児も置き配で送り迎えしてくれたらいいんですけどね
ロボタクシーに期待でしょうか?
日本では実用化に時間がかかりそうですね。
来世に期待です!
【専業主婦世帯・共働き世帯の推移】
出所:『ヤングケアラー・サツキ』より、一部抜粋
考えてみれば、運用の世界の常識についても近年変化がみられるように思えます。第二次世界大戦後のグローバリゼーションを主導してきた米国の内向き化、トランプ関税で揺さぶりをかけられる世界(米国側か?中国側か?)、揺らぐドルの信認、米国のNATOへの関与が後退する中で再軍備を始める欧州、AIブームによる株高から恩恵を受けられる層とただただ物価高に苦しむ層との格差拡大、連日森のクマさんとこんにちはニュース等、数年前までは考えられなかったことがいたるところで起こっております。これらの変化は『数年すれば元通り!みんな仲良し&お花畑♪』という半端なものではなく、不可逆的な『シン・世界の常識』と捉えたほうが現実的かもしれません。
ドルの信認低下?ユーロへ?金へ?
【世界の外貨準備の通貨別構成比率の推移】
出所:ファクトセット、IMFより、ありがとう投信作成。為替相場の変動により構成比は変化する点等に留意
誰かが『周りの5人の平均が自分だと』言っていた気がしますが、この言葉は概ね正しいと私は思います。同じような世代、同じような階層、それぞれのグループの中でそれぞれの常識が形成されるのでしょう。逆に言えば、すこし不快かもしれませんが、その心地よいグループを離れて他のグループをみれば、新しいアイディアが生まれるかもしれません。留学や転勤で自身が外国人になったことが無い方に外国人の気持ちがわからないように、今後は米国や中国のような大国に限らずほかの国も内向き化して交流が減り、より世界が分断され、ますます不安定な世の中になりそうです...
円が安すぎて留学どころじゃないよ~
米就労ビザ(H-1Bビザ)の申請費用が約1,500万円ですからね~
【パスポート保有率とドル円相場の推移】
出所:『ますます内向きになる国』より、一部抜粋
『常識の常識』を考えるうえで重要なことは『常識は常に変わり、いろんな常識がそれぞれのグループに存在しうる』ことを認識しておくことでしょう。今までの『なんとなくみんな仲良しハッピーワールドの常識』が通じなくなっている今だからこそ、いろんな常識を知る余裕が求められているのかもしれません。そんな余裕を持っている人が減っていること自体が問題なのですが...
最後に、先日証券会社主催の朝のコールを聞いていたところ、ブラックフライデーはこれから始まるホリデーシーズンの低・中所得層の消費動向を把握するうえで非常に重要なイベントだと強調されていました。『そんなの毎年言ってる常識じゃん』と思いましたが、視点を変えて考えてみると、ブラックフライデーなどの誰かが仕掛けたお祭りは富裕層の消費動向をはかるイベントではないということです。富裕層ならセールを待たずに欲しい物を欲しいと思った時に買えばいいだけですからね。ついつい朝の満員電車でスマホを片手に、ブラックフライデーで子供達のクリスマスプレゼント何買おうかな、なんて考えちゃってました(もちろん置き配で)。いつの日かカッコイイおカネの使い方ができる日が来るよう、常識にとらわれず日々見識を広げたいと思います!そもそもなんでクリスマスのためにプレゼント買わないといけないんでしょうかね...?キリスト教徒でもなければ仏教徒でもないし...考え始めるとキリがありません...
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ありがとう投信株式会社
ファンドマネージャー 真木喬敏
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